2010-7-22 00:42
A migratory bird…聊斎 子続集(2)
翌年、葉が緑になり花が赤く咲くと、弟が待っていた燕がまた来た。
二羽の燕は弟の頭の上をグルグル回り、嘴から一粒の瓢箪の種を落とした。
弟が拾ってみると、眩しいくらい光っている。
見れば見るほどいい種なので、窓の前に穴を掘って植えた。
春風が吹き、種は数日で土の中から芽をだし、水をやると二枚の嫩葉がでた。
葉の成長は早く、一枚また一枚と大きな葉に育ち、弟は棒を立て瓢箪の棚をこしらえた。
蔓は棚にからみ、やがてラッパのような小さな花をつけた。
花は雪のように白く輝やいていた。
花がしぼむと瓢箪がなった。
瓢箪は何日もせず刺繍した手毬より大きくなった。
弟はまた水をやり、肥料をやると、六月になって瓢箪は花瓶ほどの大きさになった。
翠に光り棚から吊り下がり、素晴らしかった。
何回か霜が降ったあと、燕はまた南の空に帰って行った。
瓢箪の葉も黄色になり、大きく光った瓢箪も熟した。
割ってみると、アレ−、中はピカピカの金の粒だ。
全部とりだすと、十升もあった。
誰も壁を通さない風はないと言う。
兄は早くもこの事を耳にすると、欲しくてたまらず、もし、俺が燕から瓢箪の種を貰えば、どんなに金の粒を手にできるかと、急いで胸算用してみた。
そうすれば座ったまま暮らせ、働かないで済む。
そう考えると、すぐ弟の家へ出かけ、
「俺たちはおっかさんが生んでくれた血肉を分けた兄弟だ。お前だけ金持ちになって、俺には知らんぷりはないだろう。家を取り替えてくれ」
と言った。
弟はおとなしいから、兄の言葉に逆らわず、その場で承諾した。
藁葺きの弟の家へ引っ越した兄は、毎日燕が帰って来るのを待っていた。
冬が過ぎ春が来て、燕は帰って来た。
燕はやっぱり土をくわえて来てもとの巣を直し、卵を生んだ。
四月の末には雛がかえった。
兄は両目をしっかり開いて見ていたが、子燕は何時になっても落ちて来ない。
ある日、親燕が餌をとりにいくと、兄は一羽の子燕を掴んで脚を折り、布でくるみまた巣に戻しておいた。
親燕が餌をとって帰って来ると、子燕は痛くてチチチと叫んだ。
兄は親切そうに
「親燕さんや、また子燕さんを助けてやったよ。来年は忘れずに瓢箪の種を持って来ておくれ」
と言った。
秋十月になって、燕はまた南の空へ飛んで行った。
そして年を越した春、燕はまた帰って来て、兄に一粒のすべすべ光る瓢箪の種をくれた。
兄はその種を窓の前に植えた。
数日して二枚の嫩葉が芽をだし、葉が育ち蔓が伸びてきた。
兄は太い木でしっかりと瓢箪の棚を作った。
蔓は棚に這い上がり、ある朝、白い花を咲かせた。
花がしぼみ瓢箪がなった。
瓢箪は風をうけて育ち、わずかな間に人の半分ほどの大きさになった。
兄は心の中で……このまま育つと秋にはどのくらい大きくなるか分からない。
弟は金の粒が十升だったというから、俺のは少なくみても二十升はとれる。
こんなに沢山の金の粒は、いくら使っても使いきれない……と考えた。
もともと怠け者の兄は、それから何もせず、ずっと食べたり飲んだり遊び続け、家や財産をすっかり元手にして博打をし、方々に借金をし、秋になったら幾らでも払えるとあちこちに行って、大きな瓢箪の話をして
「瓢箪が熟したら払うからな」
と言って回った。
河岸に柳の黄葉が一杯に散った頃、燕はまた南の空へ帰って行った。
大きな瓢箪も熟し、人の背丈ほどにもなった。
瓢箪を割る日がくると、貸し主たちはみんなきて、家の外から内まで二重三重になり庭に一杯になった。
大きな鋸で切ると、瓢箪はパッと割れて、中から一人の白い髭の老人が龍の頭を彫った杖をついて現れ、溜め息をついた。
見ていた貸し主の一人が
「どうして溜め息をつくのか?」
と聞くと、老人は杖で兄を指して
「わしは、あいつがこんな借金をどうして返すのかと心配しているのだ」
と言った。
兄は目を丸くし口をあけ、何も言えなかった。
聊斎 子続集
寺内 重夫
こんにちわ(・∪・)ノシ
なんだかプリンが思い浮かぶお話でした。
楽をしたいが金は欲しい…正に、て感じです(笑)
福島県にも語り部さんいらっしゃいますよ。
昔、地元の公民館で遠野物語を聞いた事があります。
内容は忘れましたが、独特の雰囲気が好きでした。
とめ吉さんとこにも、カタリベこいるだど!!!!
んだげど、プリンこさどんだけデレスケだない。
そらプリンこさゲーボ悪いだど、ビッチくアッポアマだにしゃあーあんめ。
どもども(*゜∇゜)ノ
あー…どうやら、福島の語りべには通訳いるみたいね。
つか、ソッコーで……まあ5分程度で……習得した福島弁なんで、しかも福島訛りのタレント代表が西田敏行ゆうことで、完全に勢いで語る福島弁←になっとります。
まあ……こんだけ愛郷心全開で語る福島県民も……
めったにいないとは思いますが……