「オオオオオーーーーーーーーーーっっ!!」

正門を突破した人波は
一気に長い回廊を抜け
大階段の元まで!!


カツッ・・・


先陣を切る騎士隊長
MJの目の前に

一人の影が立ち塞がった


「お前は・・・!!
アリエール卿!!」




それは
幼き日から
MJと共に鍛練を重ね
剣の腕を競い合った
アリエール卿であった!!

「おい
お前どっから入った?!」

「へ?
裏門開いてたけど?」


・・・


「ま、まあいいっ!!
そこ通せよ」

「・・・嫌だ
と言ったら?」


アリエール卿の口元に
不遜な笑みが浮かぶ

シャッ!!

腰に差したサーベルが
MJを襲った!!

「なっなぜっ?!」

「MJ!!」
「クッ・・・
お前たちは先へ行け!!
ここは俺が食い止める!!」

「(定石も
MJが言うとかっこいいな)
先に行って待ってるぜっ!」

「早く済ませて
来てくださいよー!!」


バタバタと賑やかしく
群集が大階段を登っていく

それを見送り
MJは静かに笑みを浮かべた


フッ・・・


「なんだ?
笑ってるのか?」


「ああ
お前も同じだろ」

「やっぱりな」


仕える主君を同じくする2人

しかし
いつの日か
本気で剣を交えたいと
思っていた!!

「今日がその日だっ」


鞘から
火花の如く光が閃いた
居合

モーションも見せず
剣先がアリエール卿の
頬をかすめる!


ツ・・・

うっすらと血が浮かんだ


「腕、上げたじゃねぇか」

「へへっお前こそ」


ニヤリと笑う2人の騎士

光の軌道が弧を描く
一閃・・・ニ閃!
石造りの広く静かな空間に
剣のぶつかる音が響く


「ジェムボール
クラッシュっっ!!」

交わした隙に
アリエール卿が
怒涛の突きを繰り出した
その手捌き流星より速く

「っ!!」


カシーーーーーン

一突きが
MJの手の甲をかすめ
剣を弾き飛ばした!!

「覚悟っ!!」

アリエール卿が
迫った瞬間!!


っ!


「消えたっ?!」

「甘ぇよっ!!
馬鹿野郎!」

クルリ
アリエール卿の足元に
素早くすべりこみ


重い一蹴っ!!


「かはっ」

ふくらはぎをしたたか打たれ
足を押さえるアリエール卿

「終わりだ」

MJが
素早く拾い上げた剣を
その首筋にスラリと当てた


「ふっ
やるじゃねぇか」

アリエール卿が
参ったというふうに
両手を挙げる

「お前も強くなったな
ま、俺ほどじゃねーけど」

「言うなぁ〜」

クククッと漏れる笑いが
顔を見合わせて
大きく響きだす

踵を返し
階段を登りながら
MJの背中が
小さく手を振った

「また3年ぐらいしたら
やり合おうぜ」


「おうっ!」