カロル×ユーリ
数年後妄想。
ユーリを甘えさせたいカロル先生とカロル先生にでろでろに甘やかされてもやっぱりカロル先生を甘やかせたいユーリの話。
添えるだけのつもりがガッツリ致してしまっているので注意。
自制心の強い人間を甘やかせて、溶かして、蕩けさせたらどうなるだろうか。
それを行うことは簡単ではない。
けど、開かない扉が無いのと同じで、人の心も理性という鍵さえ取っ払ってしまえば、そのあとはただ与えられる甘美なそれに溺れていくだけだ。
「ユーリ、きもちい?」
自分の下で甘い声を上げて乱れる年上の彼の耳元に唇を寄せれば、声にならない声を上げて必死に頷く。
凛とした夜空のような瞳は甘い快楽と熱に浮かされてとろりとしており、形のいい薄い唇は色に濡れて、刺激を与えるたびに艶のある甘い吐息混じりの嬌声を紡いでいる。白い肌も淡い桃に色付いており、昼間の彼からはとても想像できない姿を晒しているのだ。
鍵のない扉を開けるように、少しずつゆっくり触れて、傷を付けないように幾重にも重なった柵を解き、その核心に触れる。普段、人に見せることのない本心に触れてしまえば鍵が開いたも同然で、抑えつけるものの無くなった心はただ素直に甘く温かいそれに甘えて蕩けていくだけだった。
「かろ、る…っ、」
喘ぎ混じりに必死に名前を呼んで縋り付く彼に、返事の代わりに唇を重ねる。
薄く開いたそこに舌をすべり込ませれば、何の抵抗もなく受け入れて嬉々としてその熱を貪る。その間にも彼の中を犯している熱で、彼の好きなところを突き上げれば、くぐもった声が咥内に反響し、そのまま直接脳に響いてくるようだった。
「んぁっ!そこ、そこ……やっ、んっ!!」
自分の熱をぐりぐりと彼のナカにあるしこりに押し付ければ、嫌々と子供のように首を振って、快楽から逃げようとする。
「本当に、嫌なの?」
ぐずる子供を慰めるように言って、お互いの腹の間で擦れている屹立に触れる。すると、解放を望むそこはびくりと震えて、より一層ナカを締め付けたのだ。
「そこ、じゃ、ない…っ、」
泣きそうになりながら快楽に堪える彼の頬を撫でて、どこ?とわざとらしく訊ねると、遠慮がちに腰を揺らしてさらに奥へと熱を飲み込もうとしていた。
無言のおねだりが愛らしくて焦らすように腰を動かす。物足りないであろう彼はまた子供のように首を振って、甘い喘ぎを溢しながら誘うように内壁を収縮させる。そして、早くと言わんばかりに熱で蕩けた瞳で此方を見つめて、物欲しそうに唇を重ねた。
触れるだけのそれが離れて、彼に覆いかぶさっていた身体を起こす。そして、繋がったまま彼の身体を引っ張り起こして向かい合う形になった。
「あっ、ひぃあっ!あ……っ、」
重力に逆らえずに欲しがりな彼のそこはひと思いにボクの熱を飲み込む。予想してなかったそれに、彼は悲鳴にも似た嬌声を上げて、散々焦らされた熱を解放すした。その際に、ナカが大きく脈打ち、意識を持っていかれそうになるが何とか堪えて、自分に凭れ掛かり、快楽の余韻に震える彼を抱きしめた。
「あっ、はぁ、んっ、」
まだ熱の引かない身体を整えようと肩で息をしながら、焦点の合わない瞳を彷徨わせるユーリ。その頬に触れれば、自らボクの手に頬を擦り寄せて、嬉しそうに目を細めて笑った。
すっかり熱に蕩けたその顔は普段の彼からはとてもじゃないが想像できないし、同じ人間だとは思えない。けど、普段の彼は自律心と責任感、そして周りが作り上げた姿で、本当の彼は強くもないし、寂しがりやで甘えたがりなのだ。それを赦さないのは彼の積み上げてきた生き方で、それを悪いとは思わない。ボクだってユーリは「強くてかっこいい」とずっと思っていた。けど、成長してみると思ったよりも彼の背中は小さく、気丈に振る舞うその姿は砂上の城のようで今にも消えてしまいそうに見えたのだ。
周りの仲間には「カロルはユーリを甘やかせ過ぎ」と言われるが、ボクが甘やかさなかったら誰が彼を甘やかせるというのだろうか。甘えを赦さず生きてきた彼にそれを赦せるのは、彼に甘やかせられて来た自分じゃないのか。初めて優しくしてくれた大人はユーリで、彼はボクを否定することは一度もなかった。だから、ボクが彼に返せるのは貰った分の優しさと彼を受け入れることだと思った。
しかし、彼を甘やかせる事は彼の理性が赦さないようで、錠破りのように慌てず焦らずゆっくりと、傷を付けないようにその理性を解いていくしかなかった。それを面倒臭いと感じた事はないし、少しずつ顔を出し始める彼の本心に触れる事は嬉しかった。どんな形であれ、必要とされる事が幸せだった。
「……カロ、ル、」
繋がったまま抱き合っていると、不意にユーリに名前を呼ばれる。その声に、何?と言って腰を撫でると、ん。と甘い声を上げて熱い吐息を吐き出した。
「お前、まだ、イってないだろ、」
そう言って、わざとらしくナカを締め付ける。まだ欲を放っていない昂ったそこは、些細な刺激でも感じてしまうようで、口からは上擦った声が無意識に溢れた。
「けど、ユーリ辛いでしょ?」
先程、大袈裟な程に身体を震わせて絶頂した彼を見つめれば、不敵に笑ってボクの唇を奪っていく。
「……オレが欲しいんだよ、」
触れるだけのキスをして呟かれた不意打ちのような言葉に嫌でも熱は昂って、繋がった部分を締め付けるそこに興奮してしまう自分がいた。此方が彼を甘やかせたいのに、彼はいつだって自分の責任にして他を甘やかせようとするのだ。それは今に始まった事じゃないし、今更どうにもならないことはわかっていた。ボクだってその優しさに何回も助けられたのだから。
「ありがとう、ユーリ」
今度はボクから触れるだけのキスをして、切なげに疼く彼のナカに留まっていた熱を穿つ。何回か絶頂を迎えてる身体は、やはり力が入らないようで、離れないように必死にしがみついているのがやっとのようだった。
しかし、快楽を得ようと動き出せば、気遣いなんて出来るわけがなく、彼に誘われるがままに甘い熱を享受する。その度に彼の口からは甘い嬌声が溢れ、熱を受け入れるそこは早くと言わんばかりに蠢いていた。
「あっ、かろ、る…っ、そこ……っ、」
「ここ、すき、だよね、」
彼の身体が一際大きく震えたのを見逃さずに、反応を示したそこを穿ち、更に奥を目指す。閉ざされた最奥を何回か突き上げれば、その熱を受け入れようと物欲しげに蠢き始め、限界の近いそれを痛いくらいに締め付けられた。
「あっ、ん…っ、きも、ちい、か?」
自分もいっぱいいっぱいの癖に此方を気遣う彼に、こくりと頷いて嬌声を零す唇に自分のそれを重ねる。触れるだけじゃなく、全部を飲み込むように深いものにすれば、応えるように必死に舌を差し出してくぐもった声を響かせる。
直接、鼓膜に響く喘ぎと舌を絡め合う水音に聴覚まで犯されたような感覚に陥り、お互いの欲を高めていった。
「ゆー、り……っ、そろ、そろっ、」
限界が近いことを伝えて律動を早めれば、甲高い声を上げながら受け入れようと必死にしがみついてくるユーリ。ナカに出さないようにと腰を引こうとしたのに、彼の足が背中に絡みついてそれは許してもらえなかった。そして、彼に誘われるまま、一際大きい快楽の波に攫われて、昂まった欲を呆気なく彼のナカに吐き出したのだ。
「はぁっ、あっ、ごめ、んっ、」
ナカに出してしまった事を謝ると、何も言わずに唇が重なって、ふにゃりと顔を綻ばせるユーリ。その表情は幼い子供のようで、色事に臨んでいた年上の彼とは真逆のようだった。
「いい、よ…、オレが、欲しがったん、だからっ、」
達した余韻に震えながら紡がれる言葉がじんわりと胸に溶けて優しく広がっていく。その言葉を聞きながらゆっくりと熱を失った欲を脱ぎ去れば、また甘い声を上げてその刺激に身体を震わせる。後ろで絶頂を迎えた後はどうしても敏感になるようで、些細な刺激でも感じてしまうようだった。
「……ユーリって、甘いよね、」
「どういう意味で?」
優しい彼を甘えるように抱きしめれば、力の入らない腕で抱きしめ返そうと縋り付いてくる。そんな彼に、そういうところ。と言ってそのまま横になると、お前もな。と苦笑しながら気怠そうに擦り寄ってきたのだ。
どんなに甘やかしたって結局また彼に甘やかされてしまう。貰った分を返そうとしたって、また彼から与えられてイタチごっこになっている。けど、それに悪い気はしないのだからそれもまた困ったもので。
「カロル」
甘い声で名前を呼ばれて彼を見つめる。すると、頬を両手で包まれてそっと触れるだけのキスをされる。ほんの一瞬、振れるだけのそれだが、今迄の行為よりも満たされた気がして、じんわりと胸の中にあたたかさが広がっていった。
それに目を細めて彼の綺麗な髪に触れれば、ん。と声を上げてもっとと言わんばかりに擦り寄ってくる。それに応えるように頬を撫でてみると、気持ちよさそうに目を細めて優しく微笑むのだった。
終