ごうごうと行き交う鉄の塊が跳ね上げたつい先ほどまで確かに息をしていたそれは今は物言わぬタンパク質の塊に成り下がりその腹部からははらわたを投げ出して烏に食われるのを今か今かと待っているように感じやるせない気持ちになると共に行き交う鉄の塊の流れに逆らう勇気も意気地もない僕は心の中で手を合わせてはらわたから湯気を出すそれを後にした


雪でも降るのではないかと思える程冷えた夜にふと先ほどのタンパク質の塊を思い出した時自分が酷く醜く感じそれを払拭するかのように隣に眠る女を抱きながらどろりとしたタンパク質を放出してはみたもののそれがあのタンパク質の塊のように思え泣き始めた僕を女は冷たい目で見やりながらいそいそと服を着て報酬を得るために財布に手を伸ばした


気持ちが落ち着き始めて初めて部屋に独りになったことに気が付いた時にはもはやタンパク質の塊は僕の頭から離れ遠い虚空へと追いやられながらもまだ僕の中で確かに息をしているのだ


茶色い毛を赤く染めながら舌を出しはらわたから湯気を立てながらアレは確かに息をしているのだ