洒落たレンガの建物がならぶ街路樹を歩く。
決して暖かくはないけど、春の香りをたずさえた風が頬をなでていく。
僕に、行くあてはない。
目的地は特にないんだ。
ただ、思い描いた未来を、
いつかそうなればいいなとは思って抱いてる。
とりあえず
今ここにあるものだけ。
僕が持っているのは、それ以上でも以下でもない。
僕は、僕しか持っていない。
でも もし
「僕しか持っていない僕」を君が好きになってくれたら
それはとっても素敵なことではないかな。
「僕しか持っていない僕」だから、
もっといい僕になれるようがんばれるよ。
すべてを切り離して
残った部分は寂しい部分じゃない。
そこに輝きかあるんじゃないかと僕は思うんだよ。
もちろん 誰にでにも。
夕暮れは今日を連れて帰っていく。
僕は今日の僕を連れて明日の僕になる。
2012-2-28 11:40
あるところに、いっぴきの猫がいました。
可愛らしい顔をした、ちいさな、白い猫でした。
その猫には好きな猫がいました。
まっ黒い猫でした。
白い猫は言います。
「わたしは、あなたがすき」
黒い猫は言います。
「ぼくは、きみがきらい」
なんども なんども そのやり取りを
繰り返しました。
雨が降っていても、雪が舞っていても
晴れの日も、曇りの日も
春も夏も秋も冬も
白い猫は言います。
「わたしは、あなたがすき」
黒い猫は言います。
「ぼくは、きみがきらい」
なんども なんども 繰り返しました。
ある日、黒い猫は聞きました。
「ぼくのどこがそんなに好きなんだい」と。
白い猫は答えました。「あなたはすてきな色ね」
黒い猫は怒りました。
黒いからだなんて、嫌いでした。
じぶんのことなんて、ぜんぶぜんぶ嫌いでした。
白い猫は言いました。
「わたしは、あなたがすき」
この春、
二匹のあいだに子猫が生まれました。
灰色ではなく
しろくろの子猫でした。
二匹は、白も黒もだいすきになりました。
2011-12-11 17:47