あるところに、いっぴきの猫がいました。
可愛らしい顔をした、ちいさな、白い猫でした。
その猫には好きな猫がいました。
まっ黒い猫でした。
白い猫は言います。
「わたしは、あなたがすき」
黒い猫は言います。
「ぼくは、きみがきらい」
なんども なんども そのやり取りを
繰り返しました。
雨が降っていても、雪が舞っていても
晴れの日も、曇りの日も
春も夏も秋も冬も
白い猫は言います。
「わたしは、あなたがすき」
黒い猫は言います。
「ぼくは、きみがきらい」
なんども なんども 繰り返しました。
ある日、黒い猫は聞きました。
「ぼくのどこがそんなに好きなんだい」と。
白い猫は答えました。「あなたはすてきな色ね」
黒い猫は怒りました。
黒いからだなんて、嫌いでした。
じぶんのことなんて、ぜんぶぜんぶ嫌いでした。
白い猫は言いました。
「わたしは、あなたがすき」
この春、
二匹のあいだに子猫が生まれました。
灰色ではなく
しろくろの子猫でした。
二匹は、白も黒もだいすきになりました。
2011-12-11 17:47
あれから、僕たちは、大人になった。
驚くことに僕の職業と言えば宇宙を探索して回る、アレなんだ。
今週末 僕は初めて地球を離れる。
その前の時間を、彼女と静かに過ごしている。
さっきから話しかけてるのは僕の方ばっかりなんだけど…。
「ふたご座でのんびり地球を見てくるよ。」
そう言って僕はまた砂時計をひっくり返した。
紫色の砂が、君と僕で違う2分を何度も刻んでいく。
隣にいても、多分心はすれ違っているんだろうな。
強がりな君は寂しいなんて言わない。わかってるよ。
「…出掛けない?」
一呼吸置いてから、僕は言った。
残りの一週間
どこにだって一緒に行こう
お揃いの記憶を集めよう
何回だって話をしよう
忘れないように、教えあおう。
死ぬまでなんて嘘みたいなことを
本気で思うのは
生きている君に僕はこうして出会えたんだから。
宇宙から帰ってきたら、言おうと思う
言葉でしか知らなかった「幸せ」ってやつを教えてくれた君に。
私は、手紙を書いた。
届ける術もない、手紙を。
「宇宙は、綺麗ですか?
地球は、青いですか?
帰ってきたら、またあの公園に行きたいです。」
2010-11-21 18:05
:: 基本性能
恋人とだけは、解り合いたいという気持ちが強い、
深めのお付き合いに向いているモデルです。
恋人のある「一瞬の表情」が目に焼きついて
離れない「瞬恋シャッター」を搭載しています。
:: 充電方法
感謝の言葉、メール、あと直筆の手紙とか最高です。
瞬間充電できます。
笑わせるとなんだかスゴイ元気になります。
:: 取り扱い注意点
付き合うとすぐ妄想する「瞬間妄想機能」を
標準搭載しています。
ひとりでむふっと笑う時がありますが怖がらないで下さい
10分間の沈黙をしない「沈黙ブロッカー」が
付いています。
※眠い時、満腹時に「沈黙ブロッカー」が
動かないこともあります。
心赤外線通信は多めにお願いします。
いろいろ知りたいので、いろいろ話してください。
一回ちゅーすると、すぐまたちゅーしたくなる
「ちゅースヌーズ機能」が初期設定でオンになっています。
「心保護フィルム」は意外と傷つきやすいです。
気持ちを伝えるときには「遠回りモード」が
作動します。
「陰口ブラックプラン」はご利用いただけません。
他人の陰口を言う人は、恋人でも冷めてしまいます。
「積極告白モード」が初期設定されています。
告白しないであきらめるよりも、
実らなくても告白はしておきたいです。
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あえて、ノーコメントで。笑
2010-6-27 16:00