【一日目】・7
養生気功に入る前に
「では、お立ち下さい。」
そう言って、私はその場で立ち上がった。
「坐ってばかりいたので、養生気功の練習に入る前に、少し体をほぐしましょう。」
と言って、私は腰を左右に捻り、両腕をムチのようにしてウエストに巻き付けていった。
同じように立ち上がった塾生のみんなも真似をし、「捻りのスワイショウ をし始めた。
「ウエストがゆるんで絞られていく感覚や、腰椎から胸椎が螺旋階段のようにねじられていく感覚も体感しましょう。」
「これ、太極拳でもします!」
勿論、健太君だ。
「坐禅の前や後に、体をほぐす目的で、ストレッチなどと併せて、この動き、してました。」
と、お坊さんの翔君も言った。
すると、鍼灸師の慎二君が、
「これ、仕事の前や合間にすると良いでしょうね。」
と言った。
「では、故意に動かすことをやめ、揺れが独りでに止まるのを待ちましょう。
私が言うと、みんなの動きがそれぞれにゆらゆらしながら収まっていった。
「しばらく、自分の皮膚や体内に現れてくる感覚に没頭して下さい。」
少しすると、ヨガの香代さんが、
「この、ジワーッとする感覚が気の感覚なんですか?」
と訊いた。
「それは体内が緩んできた時の感覚なので、直接、それを気の感覚とする訳にはいかないでしょうが、気を体感する前段階の感覚としては大事な感覚なので、何かの動きが終わった後に、いつも、しばらく立って、その感覚を体感することは必要だと思いますよ。」
と、私は応えた。
「では、養生気功フルヴァージョンを行ないますので、足を肩幅より少し広めにして下さい。
足の内側は平行にして立って下さいね。」
そして、私は、最初の動作である「昇降開合」に入ったのである。
【一日目】・6
養生気功の構成
「養生気功フルヴァージョンもシンプルヴァージョンも、基本構成は同じなんですが、フルヴァージョンの方が一つの構成部分の種類が多くなっているんです。
その構成ですが、次の六つから成り立っています。」
そう言って、私はホワイトボードに、
1、昇降開合
2、鳥の舞(4種)
3、気のボール遊び(4種)
4、馬歩雲手(マープーユィンショウ)
5、三円式タントウ功
6、採気(4種)
と記し、
「シンプルヴァージョンでは、このカッコの中の4種を1種類にしているんです。」
と言った。
すると、太極拳の健太君が嬉しそうな声を上げた。
「僕のしている太極拳にも馬歩雲手(マープーユィンショウ)やタントウなどがあります!」
「用語的には、太極拳から戴いた訳で、そっちの方が先ですから…。」
私は健太君に笑って顔を向けた。
そして、私たちは「養生気功フルヴァージョン」の実習に入ったのである。