*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋2』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第2章です⇒
story.27:『振り返り2』
それから1週間半経った頃、警察に逮捕されたのは中森、原田、斎藤、そしてあの"酒田"と信じられない人物だった。
美森の夫である平山龍太郎が逮捕されたことを知った武長たちは動揺した。
酒田は結婚式の時以来、武長とは仲の良い友人だった。
この酒田が事件発生から3日経った頃に、二条家を訪れたことがきっかけとなり事件の真相を語ってくれたのだ。
酒田の証言で殺害方法が解明されて、酒田たちのアリバイがなかったこと。
何より後々、事件発生直後に5人がアパートから出て行くところを目撃した人や、隣の住民が怪しい会話を聞いていたから確証が持てたのだ。
酒田……彼も、真実を話すことで悩み、悔やんでいた。
美森を殺害した理由は、平山の不倫が彼女にバレてしまい、問い詰められた平山は素手で美森の首を絞めて、殺害。
その後、自殺に見せ掛けるために中森、原田、斎藤、そして酒田を呼び出して4人に自殺工作をさせたのだ。
酒田は"罪を償う"と誓い、水嶋たち刑事が5人を連行して行った。
悔しかった…。
酒田はあの平山の指示に従ってしまったが、もし自分が事前に知っていたなら酒田を思いとどませることも出来たはず。
見た目は不良少年。でも、心は優しくて明るくて楽しい人。
よく知っている人なら、彼が人殺しをするような人間ではないことは明白なのに、美森という尊い命が失われている事件では赤の他人は誰も信じてはくれないだろう。
なら、彼を理解している自分は帰ってくるのを待とうと思った。
そして、裁判前日--------------------予想外の出来事が起こるまでは。
母親:「何故ですか!!」
母親がテーブルを叩いて怒鳴り声を上げながら凄い剣幕で目の前にいる水嶋に問い詰める。
逮捕前日、警察に捕まっていた中森、原田、斎藤、酒田、そして平山が大金で保釈されたのだ。
そのうえ、何故か彼らの逮捕は取り下げられ事件は"自殺"として片付けられてしまった。
水嶋:「申し訳ありません…。
これ以上は俺たちにも分かりません。ですが、必ず裏を調べます…だから----------!」
父親:「…もう、いいです。」
水嶋が頭を下げながら謝罪をしていると、父親は急にそんなことを言ってきた。
父親のその言葉に、水嶋だけでなく母親、武長も驚いた。
父親:「…もう、いいんですよ水嶋さん。
私が悪かったんだ……平山との結婚を許した、私が悪かった。」
水嶋:「二条さん!なぜ自分を責めるんですか!?俺、絶対に嘘は付きません…」
父親:「あなたを信じてないわけじゃない。
これ以上、平山の腹の中を知りたくないんです…。"あの子"に平山のことを知られた時に、深く傷付いてほしくないんです…っ!」
父親はそう言って、視線を座敷の部屋の方へ向ける。
ベビーベッドには、すやすやと眠る赤ん坊の"飛鳥"がいた。
あの事件の一番の被害者が何も知らないまま、静かに寝息をたてて眠っている。
父親:「分かってください、飛鳥のためなんです…」
父親はそう言いながら悔しそうに泣いていた。
平山のこと、中森のこと、原田のこと、斎藤のこと----------娘を殺し、それを手伝い、なに食わぬ顔していたアイツらは心の底から憎い。
本当は、とことん追い詰めたい。
大金で釈放させたという人物も、追い詰めてきちんと反省をさせたい----------だが、父親の背には大きなものが抱えられている。
仕事をして、家族を養うこと。
そして妻と、息子である自分と孫を守るという…大事なこと。
平山側の家から頑として渡さなかった孫の飛鳥のために、父親に裏切られたあの子のために"父親"代わりになる。
父親はそう、この時…その前から決めていたのかもしれない。
武長:「…---------------」
涙が止まらなかった。
悔しかった。
でも、これからは"飛鳥の兄"としてあの子を守らないと----------武長はこの時、決意した。
平山たちのことは全て忘れて、美森のものはほとんど処分して。
最初から"いなかった"ことにして、あの事件を忘れようとした--------------"あのメール"が受信されるまでは。
--------------------------…
?:「…もしもし?」
大物代議士との密会中に突然、ケータイに着信が掛かってきて平山龍太郎はその場から離れ、電話の指示で店の外の路地裏に呼び出されたのだ。
電話を掛けてきたのは、つい昼間名刺を交換したばかりの弁護士からで、"話しがある"と言われたのだ。
だが、しばらくしてもなかなか現れないその弁護士に平山は少し苛つきながらその場で電話を鳴らすが、留守番電話サービスの応答だけが流れるばかり。
平山:「まったく、呼び出しといて何なんだよ…っ」
平山は教師を止めてから、父親の後を継いで若手の政治家となっていた。
美森のことや、飛鳥のことをなど既に忘れてしまったかのように再婚をし、子供もいるそうだ。
平山:「クソッ…」
弁護士が来ないと悟った平山は父や、大物代議士が待つ飲み屋へ戻ろうとした瞬間、足元の地面に鋭くカードが突き刺さる。
平山はそのカードを見て怪訝な表情を浮かべながら、ふと投げられた方を振り向く。
そこにいたのは、ニット帽を被り黒い衣装に身を包み、スカーフで顔を隠した----------。
平山はその特徴を記憶していたためか、ハッと気が付くと引きつった笑み顔を浮かべながら言った。
平山:「なっ…君、有名だよねぇ〜……えっと、そう!エンジュだっけ!?」
平山は後退りながら、恐怖に震える。
平山:「ぼ、僕は…君に何かしたかな?」
とりあえず、この男には言わなきゃ分からないということがよく分かった。
槐:「お前を消しにきた復讐者だ。
…お前の話しなんか聞きたくないから、もうくたばってくれないか?」
槐はそう言うと、スッとナイフを両手に1本ずつ構えて平山にに近付いてゆく。
平山:「ま、待ってくれ…!何が欲しい!?金か?権力か?こ、殺すなんて言わずに…交渉しようよ〜…ねっ!?」
平山がそう言ってくると、槐は鋭く睨み付けながらこう応えた。
槐:「"あの子を還してくれる"とでも言うつもりか?」
槐はそう言ってからわざと平山の足元に向かって一本のナイフを投げた。
平山:「ひぃっ!」
平山は飛んできたナイフに驚いて、その場に尻餅をついた。
情けない。情けない。情けない。
こんな奴に大好きな人を命ごと奪われただなんて。やっぱり認めてはいけなかったんだ。
何があっても、一人になってでも反対し続けるべきだった----------!
そう思った時、槐はスカーフを外して地面に落とした。
槐:「…俺は、4年前に死んだ二条美森の双子の弟だ!!」
平山:「えッ!」
正体を明かした武長の顔を見た平山は一気に青ざめる。
どうやら意外にも武長のことは覚えていたようだ。
だが、そんなことははっきり言ってどうでもいい。
武長:「----------失ったものは、戻らない。」
武長はもう一本のナイフを構えた。
武長:「Never More…!」
武長が構えていたナイフは勢いよく真っ直ぐに、平山へ向かって投げ放たれた----------が。
----------ドプァンッ!!
だが、ナイフは突然、武長と平山の間で弾かれ、粉々に砕かれてしまった。
------------To be Continued...