*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋2』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第2章です⇒
story.29:『これが、最期』
?:「おにいちゃん…?」
突然聞こえた幼い声に反応して、武長、酒田そして水嶋たち警官と平山が振り返る。
その幼い子供の存在を見付けた武長は目を見張った。
武長:「…あ、…すか…」
目の前に現れた飛鳥を見て、武長が小さく名前を呟いた。
どうしてこんなところにいるのか、と困惑していた武長を見付けた飛鳥は、ふと武長の向こうで警官に守護されている平山を見た。
武長:「------------!!」
飛鳥の視線が平山に向けていることを察した武長は、急に大声を上げる。
武長:「ワアアァァァアアァァ!!!!!!」
武長は悲鳴を上げると、同時にナイフを地面に落とした。
飛鳥もびっくりした表情を浮かべながら、こちらに駆け寄る武長を見た。
武長は焦った顔で飛鳥のもとへ来ると、飛鳥から平山を隠すように抱きしめながら大声を上げた。
武長:「…見るなーーーッ!」
飛鳥:「お、おにいちゃん?」
武長:「…見ないで………っ…」
武長は体を震わせて、飛鳥の頭の上に涙を落とした。
飛鳥はそれに気付くと、武長の頬に小さな手で涙を拭きながら言った。
飛鳥:「うん、見ないよ。
だから、おにいちゃんも泣かないで…」
飛鳥の、優しい言葉が心に染み渡る。
美森が死んでから、酒田と一切連絡が取れなくなってから武長、そして両親も。
飛鳥という美森がこの世に残してくれた宝物がいたから、今まで救われてきた。
母親:「飛鳥ちゃん!武長!」
先に飛び出して行った飛鳥を追って、両親がやって来た。
両親は重い気を抱えつつ、息子たちの向こうで尻餅をつき情けない顔をしている平山を見付ける。
それに少し顔をしかめていながらすぐに視界を避けると、その先に武長と瓜二つの顔を見付けて驚いた。
母親:「…え!た、武長!?」
両親が困惑していると、酒田が頭を下げながら口を開く。
酒田:「…お久しぶりです。酒田です、酒田雅春。」
父親:「酒田くん…本当に?」
なぜ息子と同じ顔をしているのか気になりながら、両親は目の前にいる武長そっくりの青年をそれ以上疑わなかった。
だが、酒田は真顔でこう話しを進めた。
酒田:「武長くんになり済まし、槐事件を起こしたのは俺です」
それを聞いた武長や水嶋たちは耳を疑う。
武長:(…なに、言って------------…)
武長が困惑していると、酒田は一度捨てた拳銃を拾った。
武長:「酒田!違う、俺が槐だ!
…俺は、飛鳥に将来そいつの存在を知られたくなかったから!」
酒田の話を聞いた武長がそう声を上げていると、酒田は笑みを浮かべながら言った。
酒田:「武長くん、言ったでしょう。"心は捨てた"んです。俺は、自分の身勝手な考えを持ち武長くんを利用して…傷付けて。さらに孤独にしました…」
武長:「酒田…止めてくれ、お前だけのせいだと決め付けないで…ッ!」
武長がまた涙を流しながらそう言ったのを聞いて水嶋が言った。
水嶋:「もっと違う形でお互いを守れなかったのか…。今さらだけどよ」
水嶋はそう言うと、武長はさらに泣いた。
飛鳥は酒田を見ながらこの沈んだような緊迫した空気を心配そうに見ていた。
すると、拳銃を構えていた高柳が酒田に向かって言った。
高柳:「銃を降ろしてください」
高柳がそう言ってきたが、酒田の応えはNoだった。
首を横に振ってから酒田が淡々とこう言った。
酒田:「今からあなたの憎い平山龍太郎と、槐のあなたは死にます。
あなたは今日からまた、飛鳥くんの優しいお兄ちゃんの二条武長に、元の生活に戻るんです。」
水嶋:「違う!お前がいなくなったからって、武長の罪が消えるわけじゃねぇ!」
水嶋がそう説得するが、酒田は急にフッと笑ってみせた。
そして、もう片方の手に持っていた刀を構え、それを平山に向けて投げ放つ。
平山:「ひぃっ------------ぐはあっ!!」
刀は胸を貫通し、勢いよく突き刺さる。
平山を護衛していた警官たちは反応が一歩遅れ、酒田に平山を仕留めることを許してしまった。
水嶋:「なっ…!」
水嶋たち警官が呆気に取られているなか、咄嗟に飛鳥の視界から酒田の罪を隠した武長たちのところへ両親が駆け寄る。
武長は酒田の方を振り返ると、酒田は自信の頭部に拳銃を突き立てていた。
武長:「酒田…!」
酒田:「武長様」
武長が名前を呼ぶと、酒田がこちらを見ながら引き金を引く準備をしたことが分かった--------------そして。
酒田:「武長様、最後です。
私のことは、忘れてください----------」
酒田が自ら引き金を引いた瞬間、武長は手を伸ばした。
武長:「酒田ーーーッ!!」
目の前で自殺を図った酒田の姿を見て、武長は必死にその手を伸ばした瞬間、目の前が急に真っ白になった。
走馬灯のように過去の思い出が、悲劇までも頭の中で溢れ出る感覚を身で感じた。
そして、自分と瓜二つの顔がよく知る酒田の姿となった時、フッと酒田は消えてしまった。
そして次に目の前に現れたのは、この世で1番大好きだった双子の姉・美森の姿が消えてゆく。
『武ちゃん------------』
そう言っているような気がしたのだ。
------------To be Continued...