*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋3』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第3章です⇒
story.28:『必要』
急停車した電車の向こう側に、第3の槐、三条一貴と共犯者の仮面の女こと、シュウがいる。
すぐに移動する手段がない状況で水嶋たちが悩んでいた時、電車の上でトンッという音がした。
それに気付き、水嶋たち警察や友人の鈴木と山下、そして松尾が見上げると、シュウが一貴を抱っこしながらこちらを見下ろした。
水嶋:「テメェ…」
水嶋がそう口にした時、シュウはゆっくり電車の上に一貴を降ろした。
一貴を寝かせると、シュウはちらっと気を失った一貴の母親を見てこう言った。
シュウ:「なに、その女。まだ生きてるの?
3代目様の邪魔だわ……死ねばいいのに。」
シュウがそう言った瞬間、鈴木が声を上げる。
鈴木:「ふざけんな!
あんたも聞いてたんじゃないのか?
一貴は、おばさんのことも好きなんだよ!」
山下:「そうだ!お前とは違う!
二度と一貴に近寄んな!」
鈴木と山下がそう言いながらシュウを睨む。
だが、シュウはそんな2人の言葉を嘲笑うかのようにこう言ってきた。
シュウ:「二度と…なんて、そんな約束は出来ませんね。
何故なら、3代目様が私を望みました………それに。」
シュウはそうおかしそうな声で言うと、はっきりこう続けた。
シュウ:「…私たちにも、3代目様は必要な存在なのです。」
シュウの不可解な台詞に、水嶋は怪訝な表情を浮かべながら問い掛けた。
水嶋:「どうして必要なんだ?」
シュウ:「ノーコメントです」
水嶋の質問をあっさり断ったシュウに対して、いくつかの拳銃が向けられた。
高柳:「手を挙げて!こっちへ降りなさい!」
高柳がそう言うと、シュウは飽き飽きしたような声を出しながらぼやいた。
シュウ:「…そんなお決まり台詞、聞き飽きたわ〜。
それに、こっちは前回の2代目様の時にリオが勝手に降りたお陰で大変だっていうのに…」
シュウはリオこと、酒田雅春の自殺についてそう口にすると、水嶋たちの上を大きく飛び上がって先程いた屋根の上に移った。
水嶋:「なっ!!」
水嶋が振り返ると、遠出からシュウはこちらを見下ろしてながら淡々とこう言ってきた。
シュウ:「では、皆さん。
また会う機会があれば、その時によろしくお願いします。」
淡々と棒読みでそう言ってのけたシュウは、さっさとその場を退散してゆく。
槐事件の共犯者であるシュウを易々と逃がしてしまい、水嶋は上司の石塚警部のところへ行き、謝罪をした。
水嶋:「…すみません、逃がした」
水嶋の一言を聞き、石塚は首を横に振ってから言った。
石塚:「いや…その場にいた俺も何も出来なかった。
だが、今は三条一貴の確保を優先しよう。」
石塚の指示に、水嶋は「あぁ」と力無い返事をしてから電車の上に置き去りにされた一貴の方を振り向いた。
------------この槐事件、最初の一条真幸の逮捕当時からおかしかったのは確かだった。
狐の仮面の被った女、シュウの存在やこの先また現れるであろう槐の存在。
そしてここでも結局掴むことが叶わなかった"メールの主"の存在に、水嶋だけでなく警察は精神的にドッと疲れていた。
ただでさえ犯罪が減らない世の中で、今回の件は非常に悩まさせられる。
槐たちの復讐は複雑で、記憶障害やマインドコントロールなどが存在し、全員ケータイが行方不明状態だ。
『そもそも…槐って何なんでしょうか?』
初代、槐だった真幸が言った問い掛けが脳裏に過る。水嶋の中でその言葉が何度もリピートされ、ため息交じりに水嶋は呟いた。
水嶋:「…本当に、何なんだよ」
今や槐だった本人たちさえ記憶を失っている状況で、追っている側の自分たちが分かるわけがない。
嫌な予感ばかりが水嶋の中で煩く訴え続けていたのだ。
------------To be Continued...