*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋4』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第4章です⇒
story.2:『コンサート中止』
大勢の人たちがコンサート会場から流れるように退場してゆく。
宮城清美のピアノクラシック公演を鑑賞しに会場へ来たとあるIT会社に勤務する男性、四条勇人は同じ会社に勤めている恋人の井上弥生と手を繋いで、近くの駅へ向かって人並みの中を歩いていた。
今回のメイン、宮城清美が事件に巻き込まれたというアナウンスを聞き、コンサートは中止になり、勇人たちは事情聴取に協力してから退場した。
勇人:(我ながら、平気で嘘を付いたな…)
元々、弥生に誘われて行った公演がたまたまファーストターゲットの宮城清美が出演する公演だと聞いて、槐は動き出した。
お手洗いに行くと行って、弥生を客席に残し男子トイレで共犯の仮面の女こと、シュウと合流した勇人はすぐに個室のトイレて黒服に着替えた。
トイレの上にあった天井の換気孔を上って、槐は宮城の控え室に侵入したのだ。
犯行時間、わずか10分だった。
弥生が待っている客席へ急いで行くために、怪しまれないように事前にシュウに控え室までのルートを印で示してもらって素早く移動することを心掛けた結果だ。
客席に戻ってから40分後、アナウンスが流れ、予定通りに公演は中止となった。
会場の外には既に警察車両が多数停車しており、周辺を鑑識官や警察官が捜索している様子が伺えた。
そんな姿を横目でちらっと見ながら、勇人はフッと笑みを浮かべて思っていた。
その辺を探しても何も見付からない。
だって槐ゲームというのは基本的、完璧で出来ている。証拠も基本的には残さない。
要するに、槐か共犯のシュウがよほどのミスをしなければこのゲームは迷宮入りも在りうるのだ。
勇人がそう思いながら警察を嘲笑っていた時、弥生が話し掛けてきた。
弥生:「勇人くん。
人多いし、あそこのカフェでお茶しない?」
弥生はそう言いながら会場の目と鼻の先にあったカフェへ指を差しながら提案する。
勇人;「いいね。行こうか」
勇人は頷きながらそう言うと、弥生の手をしっかり握って人並みを横切ってカフェへ向かって歩き出した。
カフェにに辿り着いた2人は、店の中を覗き込んだ。
多くの人がカフェの中にいたが、来店するとすぐに席へ案内してもらい、2人は席に座った。
会場がよく見えるベランダ側の席に案内された勇人はふと一点に視線を引かれた。
勇人:「………。」
会場の屋根に佇む槐の共犯者、シュウの姿を見付けたのだ。
シュウはこちらが気付いたと察するかのようにお辞儀をして見せると、すぐにその場を去った。
それを見た勇人だったが、特に顔色も変えず、騒ぐこともなくシュウを見送った。
すると、店員からメニューを貰った弥生が勇人に話し掛ける。
弥生:「何にする?私は、紅茶にするけど…」
弥生がそう言ってくると、勇人は優しい笑みを浮かべながら弥生から受け取ったメニューを見る。
勇人:「寒いからホットコーヒーにしようかな。あと小腹がすいたからサンドイッチか何か…」
弥生:「う、うん」
勇人がそう言うと、弥生はなぜかドキドキした様子でメニューをじっと見つめる。
どれにしようか迷っているのか、と勇人は思いながら弥生の手の甲に自分の手で触れようとした------------その時だった。
?:「すみません、ちょっといいですか?」
その声を聞いて、勇人は咄嗟に触れようとした手をテーブルに置いて、声がした方を向いた。
弥生もビクッと肩を震わせてから恐る恐る振り返ると、見知らぬジャンバーを着たラフな格好の男性がこちらを見ている。
一見、厳つい感じの男性は、にこやかな表情で他人には見えないように2人に急に警察手帳を見せて言ってきた。
名前は、"水嶋"------------。
水嶋:「初めまして。
神奈川警察署の者なんですけど、ちょっといいですか?」
水嶋がそう聞いてくると、普段から人見知りをする弥生はちょっと戸惑った表情で対応を勇人に委ねる視線を送ってきた。
勇人は柔和な表情で、小さく頷きながら言った。
勇人:「はい。何ですか?」
勇人の返事を聞いた水嶋は早速、話しをした。
水嶋:「たった今、ここに入りましたよね。会場にいましたか?」
勇人:「はい。事件だったんですよね…」
勇人がそう言うと、水嶋は小さな声でこう言ってきた。
水嶋:「そうなんですよ。
会場にいたお客さんの一人がね、槐を見たって言ってたんです」
水嶋の話しに、勇人は一瞬だけ指で反応してしまった。
行動には充分に気を付けていたはずなのに、知らないところで目撃されていただなんて。
心臓が止まりかけた勇人だったが、表情は絶対に崩さずに話しを合わせた。
勇人:「槐って…。え…こんなところに?」
勇人はそう言って会場の方に視線を向けると、水嶋はなぜか無言になった。
ガラス越しに映った水嶋の表情が、まるで疑うかのような真剣なものとなっていたことに気付く。
勇人:(チッ…!)
それを察した勇人は心の中で舌打ちをすると、水嶋は静かにこう問い掛ける。
水嶋:「…お2人は、怪しい人を見ませんでしたか?」
水嶋はそう言いながら勇人と弥生を交互に見てくる。
弥生は首を傾げながら、変わったことがなかったか思い出そうとしていた。
勇人:(この刑事、もしや…)
先ほどシュウと目でコンタクトを取っていたところを見ていたのでは、と察した。
勇人は警戒しながら弥生と一緒に考えるふりをする。
勇人:「僕、彼女が行った後にトイレに行ったんですけど…特に変わったことはなかったですよ。」
弥生:「わ、私も…。始まる前にお手洗い行く人は結構いましたから…」
弥生は勇人の話しに合わせて頷いた。
2人がそう話した時、水嶋はいきなり勇人と弥生の頭を押さえて、間近にぐいっと2人の顔を寄せた。
勇人:「っ!?」
弥生:「きゃあっ!?」
びっくりして目を丸くさせる勇人と、思わず悲鳴を上げながら顔を真っ赤にさせる弥生。
いきなり目の前に勇人の顔が近付いた弥生は、軽くパニックに陥る。
くらくらと困惑する弥生を勇人が心配していると、水嶋は笑いながら言ってきた。
水嶋:「ありがとうございます。
それとお邪魔してすみませんね☆
では、後は2人でラブラブしちゃっててくださいっ!」
水嶋は軽く敬礼してから、その手をひらひらと振って店を後にする。そんな水嶋の背中を見送りながら勇人は思っていた。
勇人:("水嶋"…かぁ)
勇人はそう思いながら水嶋の顔と名前を頭に焼き付けた。
第4の槐ゲーム早々に御用になるわけにはいかない。
ともあれ、目の前で真っ赤になってパニックになっている弥生を先にどうにかしなければならないと思った勇人は、先ほど弥生に触れようとした手で弥生の手を握って、こう言った。
勇人:「さっきの刑事さんに感謝しなくちゃ。弥生ちゃんの手、握りたいと思ってたからさ」
弥生:「勇人くん…」
勇人が言ったベタな台詞も、人見知りで恋愛経験がほとんどなかった弥生には心惹かれた。
弥生は真っ赤な頬っぺたのまま、「うん」と返事をしながら頷いたのだった。
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カフェを出てから、水嶋は外から勇人と弥生の様子を見た。
仲良さげに手を握り合いながら見つめ合う2人を見て水嶋は独り言を口にした。
水嶋:「おーおー。
こんな寒い日にずいぶんと熱いなぁ…」
水嶋はそう言うと、寒さでブルッと身を震わせて両手をポケットに突っ込んだ。
そして、水嶋は再び勇人だけを見た。
水嶋:(気になる、あの男が。)
至って平常心。だが、自分が槐の話をした瞬間、確かに指先が反応していた。
絶対に、何かある。
勇人に何か違和感を抱いた水嶋だったが、とりあえず姫井と高柳に任せてきた本業に戻ることにしたのだ。
------------To be Continued...