*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋4』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第4章です⇒
story.9:『朝食』
翌朝、見馴れぬ天井が目に入った。四条勇人はしばらくボーッとしていると、隣から寝息の音が聞こえてきたことに気付く。
弥生:「すぅー……」
勇人:「……………。」
勇人は昨日のことをゆっくり思い出す。
確か。昨晩は独り暮らしをしている弥生の部屋で泊まることになって、シャワーを浴びて、2人で色々な会話をして------------。
勇人:「ふぅ…」
昨日のことを思い出した勇人が前髪を掻き上げながら息を吐く。
勇人はとりあえず体を起こして、ベッドの下にあった自分の服に手を延ばした。
静かにベッドから離れて、昨日着ていたYシャツとズボンを着てから、ちらっとまだ眠っている弥生を見た。
勇人:「……………。」
まだ寝かせておいてあげよう。
勇人はそう思って、弥生に気付かれないようにベッドから静かに離れていった。
--------------------------…
弥生:「…ん………」
------------1時間後。
目が覚めると、キッチンからジュウゥ…という音がしたことに気付いて、弥生は起き上がった。
弥生:「あ…」
弥生は自身の状況に気付くと、慌てて服を着た。
服を着終えると、弥生はゆっくりとキッチンの方へ行き、そっと覗き込んだ。
今まで見たことがないような真顔の勇人がフライパンと箸を片手に目玉焼きを焼いている。
弥生はそれが妙に不思議に思えて、ボーッと見ていると、ようやく勇人がこちらに気付いて、いつもの優しい笑顔で声を掛けた。
勇人:「おはよう、弥生ちゃん」
弥生:「おはよう…」
弥生はホッとしながらそう返事をして勇人に近付いた。
弥生:「朝ごはん、作ってたの?」
勇人:「ああ。ごめんね、勝手に。迷惑だったかな?」
弥生:「ううん!大丈夫だよ!」
弥生はそう言ってから尋ねた。
弥生:「何か手伝うことある?」
勇人:「うん?そうだなぁ…。
じゃあ、食パン焼いてくれるかな。」
実はさっき買って来たんだ、と言って勇人は炊飯器の上に置いてある食パンを指差す。
それを見付けた弥生は「うん」と返事をして、食パンを2枚取り出してオーブンで焼くことにした。
勇・弥:「……………。」
沈黙する2人。オーブンの音。
フライパンから出るジュウゥという音。
弥生は密かにドキドキしながらこんなことを思っていた。
弥生:(お休みの朝。目が覚めたら彼の手作り朝食…なんて!)
かぁぁっと顔を赤くしながら、子供の頃から愛読していた少女漫画のワンシーンを思い出す。
勇人は仕事が出来て、明るくて優しい人。その上、面倒見が良くて料理が出来る。
素敵な人だと、弥生は思った。
弥生:(でも、まだ分からないこともあるんだよね…)
『勇人はクラシックが好きらしい』と、同僚の野中から聞いて昨日、午前中を利用して宮城清美という無名のピアニストのコンサートへ勇人を誘った。
だが、宮城がどうやら槐事件に巻き込まれたとかでコンサートは中止となった。
弥生:(あの刑事さんの言う通りだったな…)
確か、"水嶋律"という名前だったはず。
警察手帳をしっかり見た弥生は水嶋のことを覚えていた。
怖そうなイメージだったけど、悪い人ではなさそうだし、何より下の名前が印象的だった。
その水嶋から槐が絡んでいるという話を聞いてから、夕方になりニュースであのコンサート会場の映像と槐の話が出た時はなんだか心配だった。
弥生:(第4の槐、なんだよね…)
水嶋という刑事が自分たちの前に現れ、槐の名前を出した時、弥生はふと勇人の手を見た。
ピクリと反応したあの指の動き。
そして何より、あの水嶋の聞き方が弥生の中に引っ掛かっていた。
弥生:(もしかして、刑事さん………勇人くんを疑ってたりしないよ、ね。)
あの日ほど、勇人に対して不可解なことを抱いたことはなかった。
だけど先程、自分がキッチンを覗き込んで勇人を見た時の表情が気になった。
勇人は、何か考えていた。
一人で。真顔…というより、静かに険しい、そんな表情だったと思った。
弥生:(知りたい…)
でも自分には関係ない、と言われて嫌われたくはない。
弥生がそう考え込んでいると、後ろから腕が伸びてオーブンのドアを開いた。
弥生:「!」
勇人:「何か考え事?」
オーブン鳴ったのに気付かなかったでしょう、と勇人は意地悪な笑みを浮かべながら食パンを取って、皿に盛った。
その上に半熟の目玉焼きを乗せて、ウィンナーとサラダを添えて、朝食は完成した。
弥生:「ご、ごめんね。手伝うって言ったのに…」
弥生はすぐに勇人に向かって謝ると、勇人は弥生の頭をポンポンと撫でながら言った。
勇人:「気にしないで。さ、朝食にしようか。」
勇人はそう言って、先に2つ分の皿を持って部屋にあるテーブルに置きに行く。
弥生はハッとして、冷蔵庫から牛乳を取ってコップを用意すると、テーブルに付いた。
そして何より、もう6時半が過ぎている。
出勤時間直前で弥生が焦っていた時、勇人は突然こう言った。
勇人:「ああ、弥生ちゃん。
僕は今日、どうしても外せない用事があって1日だけ有給休暇取ったんだ。」
弥生:「え!」
勇人からいきなりそう言われて、弥生は困惑しながら聞く。
弥生:「も、もしかして。
昨日の時点では分かって…?」
勇人:「うん」
弥生:「!?わっ私ったら!
ごめんなさい!わがまま言ったつもりとか全然無くって!」
勇人:「いやいや!弥生ちゃんは悪くないよ。
それに、弥生ちゃんの家からなら駅も近いからね。着替えは向こうに着いてからでもなんとかなるから……」
勇人はそう言い掛けてから思い出したように弥生を見ながら言ってきた。
勇人:「彼女の家から直接来たって話したら、良い自慢話になるしね。弥生ちゃんにも、また別の機会に紹介してあげるよ」
勇人は笑顔で言ってきた。
勇人:「大学時代の親友なんだ」
勇人はなんだか誇らしげな表情をしながらそう話してくれた。
弥生はそんな勇人を見て、先程の考えを忘れることにした。
自分に、大切な親友と会わせてあげると言ってくれた人が悪い人なわけがない。
弥生:「楽しみにしてるね。
あと、お友達によろしく伝えてください」
弥生からそう言われた勇人の顔から一瞬、色が消えた。が、すぐに柔らかい表情を作り出して言ってきた。
勇人:「うん。ありがとう」
勇人はそう言ってから、両手を合わせる。
それを見た弥生も両手を合わせると、2人で笑顔で言った。
勇・弥:「いただきます」
今だけは、2人きりでゆっくり朝食を楽しむ。弥生も、勇人もそのつもりで、テレビは付けずに会話をしながら朝食を取ったのであった。
------------To be Continued...