*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋4』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第4章です⇒
story.17:『疑惑』
第4の槐による3度目の事件が起きたその日の深夜、水嶋は一人、病院のロビーの椅子に腰掛けていた。
事件の知らせを聞き付け現場にやって来た水嶋は、部屋の様子を見てすぐに直感したのだ。
目撃者の話によると、男の『シュウ、止めろ』という叫び声を聞き付けて駆け付けたところ、被害者の竹田蓮実は既に倒れいた。
部屋の奥にはぐったりと微動だにしない槐の姿と、仮面の女こと、シュウがいたらしい。
シュウは目撃者に気付くと、槐を肩に背負って目撃者を素通りし、猛スピードで廊下を走っていくと、窓ガラスを粉々に割って逃亡をしたようだ。
水嶋:(背負われていたってことは、槐は気を失っていたか…)
竹田は背中を切られていたし、目撃者の話から、ドア側出前に立っていたのはシュウの方。
しかもシュウは、大の男を肩に背負って走って逃げたときた。
水嶋:(あの部屋にも空気孔はあったが、槐を背負った状態では不可能だからな…)
空気孔があったということは、槐もシュウもそこから控室に浸入したことは言うまでもない。
廊下に設置されていた監視カメラに、怪しい人物は映っていなかったし。
槐が逃走ルートに空気孔を利用することは何度もあった。
今回の槐は常習犯と言っても過言ではない。
水嶋:「ハァ……」
水嶋はため息を付きながら、椅子に背もたれて天井を見上げた。
槐のこともだが、水嶋には今回のことで引っ掛かりを見つけた。
水嶋:(------------今まで、シュウが事件現場で目撃されたのは、"2回")
1回目は第2の槐、二条武長が起こした"最初の事件"。
武長が巨大デパートを脱出する際に、観覧車のエリアに設置された防犯ガラスを爆破させ、逃走ルートを作った。
2回目は第3の槐、三条一貴の逮捕直前の踏み切り現場だ。
あの時は"槐ゲーム"に失敗した一貴を真っ先に助けに、シュウは迷わず飛び出して行った。
たぶん、今回の逃走劇もシュウにとっては"役目"だったに違いない------------だが。
水嶋:「槐と同等の運動神経…」
槐たちも人間とは思えない運動神経を持っていたが、実際に警察病院で行われた調査では、真幸も、武長もそれほど運動神経はなく。
だから槐は、一貴の一件も含めて何らかの黒幕によるマンイドコントロールだと水嶋は思ってきた。
水嶋:(まさか、シュウも操られている?)
はっきりと断定出来ないことがミソだが、そうでなければあの身体能力の説明が。
声質の感じや身体付きから、シュウの正体は"女"と判断されている。いくらマンイドコントロールされているとはいえ、女であるシュウが男を担いで逃走したり、電車が迫っている線路へ飛び込んで男を助けるのか。
しかも、気になるのはシュウの身体能力だけではない。
水嶋:「今回は、槐の仕業じゃない…」
シュウが立っていたであろう位置の真上には空気孔があった。
つまりシュウもあそこから犯行現場を見ていたのだ。
水嶋:(それが正しければ…)
槐は全員、マンイドコントロールを施されている疑惑がある。
第4の槐も例外ではないはず。
だが、もし第4の槐のマンイドコントロールが何らかの拍子で解かれ、"犯行を途中で止めた"のだとしたら。
シュウが上から降りてきて、竹田を後ろから襲ったのだとしたら------------。
水嶋:「…そっか。なら、槐が気を失っていたこともつじつまが合うな。」
シュウは槐事件を"ゲーム"として、主人の意志として、監視役として、長い間見守っていた。
そのシュウが今回に限って、槐に変わって竹田を襲った理由は、たぶん主人の思考からか。
シュウは催眠術が使える------------ということは、第4の槐が自分が傍にいるところで催眠が解けたことは、想定外だったというわけか。
水嶋:(だが、そんなこと今までだってあっただろうに…)
特に真幸は、犯行現場で110番通報をしたり髪の毛を落として行ったりしていたし。
水嶋:(いや、その時シュウは真幸の部屋で真幸のふりをしていたから不可能か…)
武長と一貴に至っては、ほとんど彼らの意思だったわけだから…………やはり、今回は特別だということか。
だが、槐とは"復讐者"なのだ。
その槐が復讐をする理由を無くした以上、もうゲームに参加する理由もない。
水嶋も、そして槐事件に関わった警察の人間も今回の事を不可解に思っていた。
水嶋:「ハァ〜…」
水嶋はもう一回、ため息をつきながら俯いて、床を見つめる。
シュウは、そうまでして槐に復讐させたいのか。…はたまた。
『そもそも、"槐"って何なんでしょうか------------』
真幸の口にした疑問が、また水嶋の脳裏に浮かび上がった。
本人たちが"覚えていない"ことを自分たちが分かるわけがない。
水嶋:(こんなに、考えてるのになぁ…)
水嶋は前髪をかき上げながら、むしゃくしゃした気分になった。
が、今はとにかく"第4の槐"に追い付かないと、とただ焦るばかりだった。
------------To be Continued...