*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋6』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第6章です⇒
story.33:『終わらない』
警察病院・精神科病棟の機密重要患者収用病室エリア5------------ここは、槐事件の容疑者たちが個別に収用されている。
そんな個室に、一人の女が。
名前は、六角恵梨香------------第6の槐事件の容疑者だが、それはあくまで"表向き"。
確かに、彼女はストーカー殺人未遂事件という容疑があり、それは紛れもなく事実。
第6の槐に仕立て上げたのは、槐側の都合で本物の第6の槐・六条薫を自由の身にするため。
彼女は、利用されたのだ。
いずれ、彼女には死が待っているとも知らずに…。
------------記憶を奪われた彼女は今、なにを考えているのだろうか。
精神科医の川平は、ガラス越しから彼女をしばらく見てからゆっくりと歩き出す。
夕暮れ時、川平には第3の槐・三条一貴に栄養材を投与するという役目と第4の槐・四条勇人に夕食を食べさせるという雑務がある。
川平:(…ですが、もう自分で食事を取って頂きたい)
正直、毎日毎日こんなことをやっていては自由が損なえる。
川平は、三条一貴が眠り続けている病室に足を踏み入れた。
川平:「"だから許可を取ってきました"」
川平は意味深な独り言を口にしてから、一貴の額に自身の手のひらを置いた。
川平:「------------さぁ、目覚めなさい。第3の槐…」
貴方の望み通り"一部の記憶"だけは解放して、槐事件の記憶は封じさせて頂きます------------。
川平の手のひらが一貴の額から離された時、一貴の眉間がピクリと動く。
そして、一貴はゆっくりと瞼を開いて天井を見上げた。
すると、目の前には見知らぬ、白衣を着た男性・川平がうつる。
川平:「一貴くん!一貴くん、分かりますか?」
一貴:「あ……ここ、は?」
川平:「病院です!すぐに他の先生を呼んで来るので、ちょっと待ってて!」
川平がそう言うと、一貴はコクリと頷いた。
川平は一貴にニコリと笑みを浮かべてから、病院から出て行く。
そして、収用病室エリアからも出てから出入り口付近に設置してある非常用公衆電話の受話器を手に取り、1階の精神科医フロアーで休憩中の上司である沢田法子に連絡をする。
透明ガラスに映る川平の首に下げてある名札------------。
『警察病院・精神科医師
川平 ランディ』
そう、彼は異国人とのハーフ。
そして槐事件の共犯者・鳥の仮面の男こと、"R"は"川平ランディ"の"R"。
川平:「…素晴らしい。
まさに"我が意のまま"ですね」
そう口にした後、法子が電話に応対する。
川平:「沢田先生!
三条一貴くんが目を覚ましました!
至急、エリア5に来てください!」
『分かったわ!』
そう言ってから、法子からの通話は切れた。
受話器を戻してから、再びエリア5に侵入した川平は病院の真正面に広がる外の景色を見つめた。
夕暮れ------------今日は忙しく終わる一日になるだろう。
川平:(…さて。第7の槐にそろそろメールが送信される頃合いですねぇ)
まだまだ、終わらない------------私の復讐を成すまでは。
--------------------------…
Pipipi------------!
メールの着信音が鳴り響いた時、一人の少年は"また"蹴られた。
少年:「うっ…」
あっはははは!
少年を笑ったのは、少年と歳が変わらない柄の悪い連中だった。
連中のうち、リーダー各の少年が面白おかしく言ってきた。
リーダー:「なんだよ!
お前みたいなクズにメールしてくれる優しいお友達がいたのか?」
不良1:「それか迷惑メール?ダメだぞ!
迷惑メール防止対策しとかなきゃ!」
不良2:「優しいなぁ、お前!」
そうやって笑っている連中の隙を付いて、痛い体を起き上がらせてケータイが入った鞄を抱き抱えて少年は逃げ出した。
不良1:「待てよ!まだ遊ぼーぜ〜!」
不良2:「逃げんなよッ!!」
案の定、追い掛けてきた不良たちから少年は必死に逃げた。
学校の、保健室へ逃げ込んできた少年を保健の先生が目を丸くさせて声を掛ける。
先生:「…どうしたの、血相変えて。
怪我してるし、落ち着きなさい?」
先生のその声が聞こえたのか、不良たちは渋々と退散して行く。
ようやく落ち着いた少年は一先ず、ソファーに腰掛けてケータイのメールをチェックする。
『お怪我は、大丈夫ですか?
私は貴方のことがとても心配です。
このメールを無事、読んでくれていることを願います。
さて。第6の槐・六条薫くんの槐ゲームは一時中断し、新たに第7の槐ゲームを始めましょう。
-----------そう、次の槐-エンジュ-は貴方です。
貴方の恨み、晴らしませんか?』
少年:「待ってたよ……この時を、ね。」
学校にいても、家にいても、僕に居場所なんてもうないんだ。
なら、いっそ彼らから全てを奪ってしまおう。
"彼らが僕にそうしたように"。
少年:(第7の槐-エンジュ-は------------この、僕だ!)
少年はそう決意を露に、メールの内容を即刻削除したのだ。
--------------------------…
夕暮れが沈み、夜になった。
第6の槐が分かったのに捕まえることが出来なかった水嶋律の目には涙の痕があった。
警察署に戻って来るなり気落ちした様子の水嶋を見て、高柳は心配の色が隠せない。
高柳:(水嶋先輩が、泣いた?)
第6の槐事件も、ストーカー殺人未遂事件も一先ず解決したと言うのに何があった。
高柳:(それとも水嶋先輩も僕と同じ考えなのかもしれない…)
"第6の槐は、六条薫"だと言うことだ。
だが、状況証拠しか掴めなかった上に六角恵梨香に屋上から落とされそうになっているあの姿を見せられたら、誰もが六角恵梨香が黒だと思い込んでも仕方ない。
でも、やはり六角恵梨香は槐ではない。
高柳:(第2の槐事件と同じで、それ以上に悪い形で終わってしまった…)
水嶋が泣いていた理由が槐事件のことかはさておき、水嶋があのような形で終わることを気にしていないはずがない。
高柳:(でも、水嶋先輩は…)
捜査から外されて、刑事生命の危機------------そう思っていた時、上司の石塚紀章が高柳の横を通り過ぎ、椅子に座って俯いたまま思い更ける水嶋の側に立った。
石塚:「!水嶋……どうした?
……もしかして、泣いていたのか?」
水嶋:「…石塚さん、か。
まぁ…色々と、あってな……。
……それより、俺に何か用か?
あ。とうとう人事異動の通告でも出た?それともクビ?」
水嶋は冗談っぽく笑いながら石塚に尋ねると、石塚は首を横に振った。
石塚:「むしろ逆だ。
お前には槐事件の捜査本部に復帰してもらうことになった!」
高柳:「それって本当ですか!」
石塚:「ああ。警視庁の局長から直々にお前の復帰を支持してくれたんだ。
お前を買ってくれてる」
水嶋:「ま…マジかよ……随分と急な話だな。
…いや有りがてーけどよ」
石塚:「しかもそれだけじゃないんだ、水嶋」
石塚は明るい表情をしながら、その口でとんでもない事を言ってきた。
それを聞いた高柳や、その場にいた姫井や透真、白波も思わず声を上げて驚く。
当の水嶋は信じられないと言った様子で、苦笑いを浮かべた。
水嶋:「…ま、マジ…ですか?」
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