*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋8』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第8章です⇒
story.5:『濃厚』
水嶋:「離婚したのは、5年前か。大夢くんは3歳だな…」
水嶋の言葉を聞いて、透真が少し戸惑ったようにこう言ってくる。
『…離婚原因は妻の夏実さんが竜也さんと浮気をして、その間に大夢くんを授かっていたことを矢神拓斗さんに黙って……。
なるほどなぁ……自分たちが裏切った矢神さんが槐として親子を一人ずつ殺害しようとしてるって怯えてんのか。
第8の槐は"八条"という名字の親子を狙う……なら、矢神さんが槐説も濃厚かもしれねーぞ』
透真はそう言うが、水嶋はこう言ってきた。
水嶋:「だが、裁判をしている。
3年間自分の息子同然に育てて、親権も争ったのなら、大夢くんをターゲットにするかな…」
高柳:「それに、現場で2人に会ったから分かったことなんですけども…」
高柳は遠慮っぽい態度で、話しに割って入るなり言った。
高柳:「5年も…。しかも3歳という物心が付かない頃に離れ離れになっていたはずの矢神さんを、大夢くんは普通に"パパ"と呼んでいたし、被害者で実父であるはずの竜也さんのことは"お兄ちゃん"と呼んでいました…。」
白波:「そういえば、夏実さんは指摘しませんでしたね…。
あと、気になると言えば……私、気付いてしまったんですが」
白波は深刻そうな表情を浮かべながら、こう言ってきた。
白波:「翔太さんも、水嶋警視たちも気付いてましたか。
まだ梅雨とはいえ、暑いこの時期に大夢くんは長袖に長ズボンでした…。それに、ちらりと服の襟や袖から打撲痕が……」
『!……今までの槐事件では比較的、未成年者が犯人だったことが多かったな』
『大夢くんが槐説も濃厚か…』
石塚と透真が重い口調で、その可能性を口にした時、舘巻が言ってきた。
舘巻:「それにあの坊っちゃん、明らかに様子がおかしかった…。
最初は母親の夏実さんを疑うような発言をしてから、『ママを裏切ったなら自分が槐になって殺しに行った』とか恐ろしいことを言うし……」
高柳:「槐事件特有のマインドコントロールの可能性は高いです。
それにあんな小さな子供が正面から大人を押し倒したり、何度も突き刺そうとしたりすれば、必ず抵抗されるはずですよ…」
高柳の言い分はごもっともだ。
大夢が一人で犯行が出来るという考えは有り得ない------------が、水嶋には"もう一つの可能性"が浮かび上がる。
水嶋:「いや、ひょっとしたらふ--------〜〜〜ッ!?」
舘巻:「水嶋!」
高柳:「何で!アートロの話をしようとしたわけじゃないのに!」
高柳の証言で、電話の向こうの石塚たちにも水嶋が催眠術の影響で声が出なくなったことに気付く。
すると、石塚はこう言った。
『水嶋は今、この事件の最大のヒントを直感して言おうとしたんだな…』
水嶋:「…な、なら!」
水嶋は自分の指を動かして、せめて高柳たちが察知出来るようにしてみるが、上手く指が動かない。
まるで、操り人形にでもなったかのように。
水嶋:「畜生…!」
高柳:「水嶋先輩…。……待ってください!今の話を整理します」
高柳はそう言うと、こう言った。
高柳:「第8の槐事件は、竜也さんに復讐心を抱く人物の候補が今の時点で3人います!
一人は妻の夏実さん。借金や浮気のことで恨んでいた可能性があることからの犯行が、動機。」
高柳はそう言うと、続けて言ってきた。
高柳:「第2候補が矢神拓斗さん。夏実さんの元夫で、大夢くんの一件で夫婦を憎んでいる可能性があることからの犯行が、動機。」
高柳は、ホワイトボードの幼い写真を見ながら言った。
高柳:「第3候補が八条大夢くん。夫婦の一人息子だが、恐らく竜也さん……と、たぶん夏実さんに虐待を受けている可能性があることからの、動機。……だが、矢神さん以外は2人にはアリバイがある。大夢くんに至っては先ず犯行は不可能…」
水嶋:「……………。」
高柳はちらっと水嶋を見ると、水嶋の視線は真っ直ぐに大夢の写真を見ていた。
そして、高柳は察知した。
水嶋は夏実と矢神……両方の写真と大夢を見ていた。
高柳:「……水嶋先輩の考えは、大夢くんと夏実さん、もしくは矢神さんが協力し合ったということですね。」
白波:「我々が見た夏実さんとのやり取りはカモフラージュ…。
でも、槐事件にはまだアートロと姿を現していない兎の仮面の人物もいます。」
舘巻:「鳥の仮面の男……城之内のように、薫くんをサポートしてたような線の方が濃厚だな。
……だが、水嶋は夏実さんと矢神さんを疑った。」
舘巻はそう話すと、水嶋に言ってくる。
舘巻:「だが、とりあえずは矢神さんと会った方がいいな。
透真くん、すぐに矢神さんの自宅へ行って話を聞いて来てくれよ。候補に挙がっている以上、矢神さんの証言がないとこちらも動きづらい……」
『了解です。……と、それと話は違うが、りっちゃんよォ』
透真にわざとらしく愛称で呼ばれて虫酸が走ったようなイライラを感じたが、すぐに失せる。
『姫井が"猫が馴れるまで有給休暇取りたい"って電話してきた。……お前から言ってくれよ?今はそんな悠長に構えている時じゃねぇってよ』
水嶋:「とはいえ、初日だからな。3匹も転がり込んだら、姫井ん家にいる猫もびっくりするだろうから……。俺から、3日までって連絡しておくよ」
水嶋の決定に、透真が深いため息を付きながら了承する。
そして思い出したように、透真が言ってきた。
『あと、お前らが行った後に里沙が訪ねてきたぞー。直弥くんたちのことを気にしてた。
自宅へ行きたいけど、どうせなら律とも一緒に夕食を…って言ってたー』
透真の話を聞いて、水嶋は久しぶりに若月里沙の顔を思い出す。
若月は直弥が通っていた中学校の保健医で、17年ぶりに再会した昔馴染みだ。
水嶋:「分かった、里沙にも電話しておく。……じゃあ、俺たちはこの隙に飯を食うか----------」
『若月さんには、解決してからでもいいんじゃないか』
石塚の一言で、ざわついていた電話の向こうまで沈黙する。
ごく、普通の意見を言っているはずなのに。
今が忙しい時だということも理解してのアドバイスなはずなのに。
高柳:(……何だろう最近、石塚警部にとてつもなく違和感を感じるような)
ちょうど、若月里沙と双子の妹・葉隠真紀が現れてから。
水嶋もその事に気付いているみたいだが、敢えて触れずに石塚には「了解」と言っておき、さっさと電話を切った。
水嶋:「…はぁ」
高柳:「あの…水嶋先輩------」
白波:「とりあえず……話は、食事をしながらにしません?
私と翔太さんとで何か買って来るか、出前にしましょう」
舘巻:「そうだな。…水嶋。その間に、姫井のお嬢ちゃんと里沙ちゃんに電話しておけ?」
水嶋:「…あ、ありがとっす。石塚さんには……内緒で。」
水嶋は困ったような笑みを浮かべながら、2人とついでに姉の沢田法子にも電話を掛けた。
高柳:(というか、水嶋先輩も石塚警部の違和感に気付いてる…)
最初の電話応対の時も石塚を避けていたし、自分たちが沈黙した時、一緒に凍り付いていたようだった。
水嶋の行動などを見逃せないという理由から、高柳たちは晩御飯を出前にすることを決めた。
------------To be Continued...