*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋10』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第10章です⇒
story.7:『総理の秘密』
夕日も沈んだ頃、水嶋、高柳、白波は今回の被害者、安住浩二の実家の豪邸にいた。
内閣総理大臣である父親の順一氏を待って、安住家の応接室で待たせてもらうこと数時間後、ようやく順一が帰宅してきた。
自宅には既に、順一の妻・知子と次男の太一、長女の美佳やその夫の弘、幼い息子の涼太、家政婦も揃っていたので、水嶋は早速、聞き込み調査を開始した。
水嶋:「先ず、今回の事件は皆さんも聞いてらっしゃる通り、槐事件の可能性がありますが一応、聞きます。
皆さん、昨日はどちらにいらっしゃいましたか?」
水嶋がそう聞くと、妻の知子が先に口を開いた。
知子:「私は、家政婦と自宅にいました。
ご近所の友達も訪ねて来てますから、間違いありません」
知子がそう言うと、今度は次男の太一が話した。
太一:「私は会社にいました」
美佳:「私は息子と買い物に。
夫は会社にいますから、裏取りしてください」
弘:「よろしくお願いします」
太一、美佳の証言をしていると退屈な息子の涼太が水嶋の傍に寄って来る。
涼太:「……………。」
じっと顔を見てくる涼太に気付いた水嶋は愛想笑いを浮かべながら聞いた。
水嶋:「涼太くん、ママとどこにお出掛けしたの?」
水嶋がそう聞くと、涼太はぱぁと明るい表情で言う。
涼太:「おようふく屋さん!」
水嶋:「そっか。教えてくれて、ありがとう。
高柳、しっかり書いておけよ」
高柳:「はい。バッチリです」
高柳がそう言うと、涼太は嬉しそうに高柳と白波の方へ行き、高柳のメモ帳を覗き込む。
涼太は、なぜ自分たち警察が来ているのか、まだよく分かっていない様子だ。
順一たちもそれが分かっているから、特に何も言わないし、水嶋たちも敢えて涼太に構ってみた。
水嶋:「………えっと、総理はどうでしょう?」
順一:「うん?あぁ…その時間はまだ国会議事堂にいましたよ」
改めて水嶋が順一に尋ねると、順一は優しい表情で応えた。
すると、いきなり水嶋の膝に涼太が座った。
水嶋:「おっと!?」
美佳:「涼太!失礼でしょう!」
涼太:「!」
美佳に一喝された涼太が水嶋に抱き付く。
そんな様子を見ていた高柳がふと思い出す。
高柳:(水嶋先輩って、何気に子供に好かれるよなぁ…)
甥の魅華斗とか、第4の槐、四条勇人と井上弥生の娘の夜空という幼い子に。
順一:「ハハッ!涼太、刑事さんのことが気に入ったみたいですね。
あまり人に懐く子じゃないんですよ」
水嶋:「そうですか…」
知子:「涼太くん。刑事さん、お仕事中だからママのところへ行きなさい?」
涼太:「………………。」
涼太の返事は、NO。
水嶋:「あぁ、私はこのままでも大丈夫…なんですが、ここからは涼太くんの前では話しにくい内容になります。
けど、美佳さん夫婦にはここに残ってもらいたいので…」
家政婦:「では、私が涼太くんを連れて行きましょうか?」
知子:「そうね。お願い出来る?」
「はい」と言うと、家政婦は涼太に声を掛けた。
家政婦:「涼太くん。一緒にダイニングへ行きましょう」
涼太:「…………。」
水嶋:「ゴメンね。少し席を外してもらっていいかな?」
涼太:「………うん」
涼太は残念そうにしながら、家政婦と共に応接室を出て行った。
涼太と家政婦が出ていってから、水嶋は早速、順一たちに話をした。
水嶋:「先に話しましたが、これは槐事件の可能性があります。
浩二さんも含めて、誰かに復讐されるような心当たりありますか?例えば…」
水嶋は、こう言った。
水嶋:「若い女性とか…」
知子:「若い女性って…?」
知子がそう言うと、水嶋は包み隠さず話した。
水嶋:「実は、今回の槐事件で見付かった『悪魔のカード』に黒いペンで『rabbit』という文字が記されていたんです。
『rabbit』といえば、兎の仮面の女です。
……情報が少なくて申し訳ないですが、心当たりありますか?」
水嶋がそう言うと、急に知子が暗い顔を浮かべる。
その事を気にしていると、順一が口を開く。
順一:「若い女性…には、心当たりありませんが……」
順一はそう言うと、少し俯きながらこう言った。
順一:「槐事件は、ずっと男が犯人だったはずです」
水嶋:「はい。……あの、男には心当たりありますか?」
水嶋がそう言うと、順一は浅く頷いた。
順一:「はい、あります。若い男性なら…」
知子:「あなた……」
順一の言葉に、知子が突き刺すような声音でそう言う。
水嶋:「その男性とは、どのような関係で?」
水嶋がそう聞くと、順一が水嶋たちを見ながらまっすぐにこう言った。
順一:「息子です」
知子:「あなた…!!」
知子が絶叫すると、その場にいた太一、美佳、弘が怪訝な表情をしながら順一を見る。
白波:「失礼ですが、総理のお子さんは浩二さんと太一さんと美佳さんの3人では?」
白波がそう問い掛けると、順一はこう言った。
順一:「もう1人いるんです。
妻以外の女性との間に、男の子が……」
水嶋:「失礼ですが、愛人ってこと……ですか?」
順一:「はい…」
知子:「…うわぁぁん!」
順一の失言に、知子が泣き叫ぶと、太一が聞く。
太一:「俺たち以外に子供がいたのかよ、父さん!」
太一がそう問い詰めると、美佳が身を震わせながら言う。
美佳:「信じられないっ…」
美佳はそう怒りをあらわにしながら、応接室を飛び出してゆく。
そんな後ろ姿を弘も追った。
2人が出ていくと、順一は話を続けた。
順一:「息子の名前は、十条隆志。今は26歳です」
高柳:「十条…!?」
高柳は思わず、声に出してしまう。槐事件において、名字は重要視しているからだ。
高柳は口を閉じると、すぐに今の情報をメモ帳に記した。
順一はさらに話を続けた。
順一:「小学校の高学年までは1ヶ月に一度のペースで会っていたんですが、ニュースとかで私のことを知って失望したんでしょう。
あの子が中学に進学してからは、なかなか会えなくて…」
水嶋:「今はどうしているか、分かりますか?」
水嶋がそう聞くと、順一は首を横に振って言った。
順一:「いえ。…ですが、あの子の母親がどこに暮らしているかは分かっています」
高柳:「住所、教えてください」
順一:「はい」
順一は包み隠さず、水嶋たちに十条隆志の母親が住む家の住所を教えてくれる。
知子は落胆としながら、太一はそれをやり場のない怒りを感じながら話を聞いている様子だった。
順一:「刑事さん、今回の槐事件は兎の仮面の女の仕業だと言ってましたが、隆志は本当に何も------------」
------------パリーン!!
順一の話の途中、上の離れたところからガラスが割れる音がした、その瞬間。
ギャー!!
女性の、叫び声。
知子:「美佳!?」
尋常ではない叫び声を聞いた水嶋たちは立ち上がり、応接室を出ていく。
すると、2階からさらに声が聞こえた。
弘:「美佳!誰か、誰か来てくれー!」
弘は、続けて言った。
弘:「兎の仮面の女だ!」
弘の言葉で、水嶋と高柳、白波は先行して2階へ急行したのであった。
------------To be Continued...