*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋10』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第10章です⇒
story.23:『思わず』
中学3年間、俺は"好きな人"を遠くから見ていることしか出来なかった。
入学式の時、初めて話した時以来、会話をすることもなかった。
……高校受験の時期に、このままでは嫌だと思って、"彼"が受験する学校を調べて、親を説得して、追い掛けるようにその高校へ入学した。
"彼"とは、またクラスが別々。
石塚:(このまま、また3年間………会話を交わすことなく終わっちゃうのかな)
俺は、自信を無くしそうになっていた。
"彼"を好きだと確信した時は、女の子を好きになるのと同じだと思っていた。
だが、"彼"は男の子なのだ。
自分の性癖がおかしいというのも気付いていたし、"彼"とはきっと恋人にはなれないことも、何となく分かっていた。
石塚:(それでもせめて、友達になりたい…)
友達……ゆくゆくは、何でも話せる親友に。
そしたら、きっと幸せだ。
俺は、そう思い続けていた------------その時だった。
水嶋:「石塚くん」
図書室のテーブルで本を読んでいた時、"彼"が……"水嶋律"が声を掛けてきた。
水嶋:「やっぱり!中学校、一緒だった水嶋っていうんだ。
入学式の時に一度、話したことあんだけど……覚えてる?」
------------忘れるわけない。
石塚:「うん!覚えてるよ、水嶋くん。そっちこそ、覚えてたんですね…」
今、最高に嬉しい。
水嶋がいなかったら、嬉しくて泣いてしまっていたかもしれない。
水嶋は、俺の隣の椅子に座ると、周りに迷惑にならないように声を低く話した。
水嶋:「中学の時の友達はみんな別の高校に進学したから、知り合いがいなくてちょっと寂しかったんだ。なんつって〜」
水嶋は、満面の笑顔で俺の顔を覗き込む。
水嶋:「石塚くんのこと、高校の入学式の時に見掛けてから声を掛けようか迷ってて、やっと声を掛けたんだー」
石塚:「そ、そうなの?」
水嶋:「うん」
水嶋はそう言うと、こう続けた。
水嶋:「石塚くん、いつも一人みたいだけど、高校で仲良い子と会った?」
石塚:「ううん。…残念ながら。
初めて会う人たちばかりで、俺…人見知りするからまだクラスメイトともなかなか話せなくて…」
俺がそう言うと、水嶋は真面目に頷きながら話を聞いてくれる。
俺は、水嶋が隣に座っているだけで胸がドキドキしていたのに、見つめられたらもっとドキドキしてしまっていた。
そんな俺をよそに、水嶋はニコリと笑いながら言った。
水嶋:「じゃあ……クラスはバラバラだけど、男同士だし、これから仲良くしようぜ。
学校まで来て話し相手いないって寂しいもんな」
石塚:「いいの?」
------------俺の心拍は高まる。
水嶋:「おう!友達になろうぜ。
俺のことは、"律"でいいよ。俺も石塚くんのことは下の名前で呼んでもいい?」
ドキドキを通り越して、バクバクとする胸を抑えながら、俺は応えた。
石塚:「うん!分かったよ!」
俺がそう言うと、水嶋はそれまで以上に俺のことを見て笑顔を見せてくれた。
まさか、こんなふうに水嶋と友達になれるだなんて思わなかった。
水嶋:「…ところで、石塚くんって下の名前は何て言うの?」
石塚:「紀章(キショウ)だよ」
水嶋:「おっ、古風だな。」
石塚:「水嶋くんの名前は、女の子みたい」
水嶋:「女の子みたいな名前って言うの禁句〜」
水嶋は両手人差し指でバッテンを作って、面白い顔をした。
そんな水嶋を見て、俺が思わず吹き出すと、水嶋も後から笑ってくれた。
------------この日を境に、俺と水嶋は仲の良い友達になった。
高校2年になると、初めて同じクラスになった。
高校3年の時------------進路を考えなくてはならない時期になった時、水嶋は自分の将来の夢を話してくれた。
水嶋:「俺の夢は、ドラマに出てくるような警察官になること。
だから、高校を卒業したら警察学校へ行くんだ。」
水嶋の将来の夢を聞いて、俺は思わずこう口にした。
石塚:「一緒だね!俺も刑事になるのが夢なんだ!」
------------うそ。本当は、水嶋……お前と離れたくないから。
そんな俺の本心に気付かない水嶋は、俺の言ったことを笑顔で鵜呑みにした。
水嶋:「じゃあ、一緒に受験を受けようか。紀章!」
石塚:「うん。約束…」
水嶋と一緒にいる時間を長く過ごすたびに胸の高鳴りと共に、欲が増してゆく。
この時にはもう、俺は水嶋と離ればなれになるなんて考えられなかった。
------------To be Continued...