ドライブの途中、
珍しく港に入って行ったNさん。
『何かあるの?』
『ううん、何となく…
若い頃はよく来てたから。』
夕方の寂れた港は
岸壁で釣りをしてるオジさんがいたりして、
ちょっとのんびりした風景。
車を止めてNさんが外に出た。
まだ少し暑いのに、
なんで外に出るんだろ…?
私も渋々車から降りた。
『あ、ちょっとだけ風が気持ちいいね。』
『…… やっぱり気付かない( ̄∇ ̄)』
Nさんが意味深なことを言ってる。
『ほら、ここ!』
愛車の足もとを指した。
『ホイール買っちゃった(^^;)』
『あっっ! ホントだ(^0^;)
いつの間に…』
『さっき迎えに行った時に、わざわざ見えるように止めたのに気付かないんだもん。笑』
Nさんは、
私に買い替えたホイールを見せたくてわざわざ車から降りたんだ。
しかもタイヤまで替えてるし。
『もう何もイジらないから(^^;)
これで満足!』
最近スポイラーをつけて、
車内にもシートをカッティングしたりして色々細工をしてた。
まるで職人。
車を買ってから、
地味にイジりまくってるNさん。
足もとは、しばらくガマンする…なんて言ってたのに、
ガマンできなかったのね( ̄∇ ̄)
あなたの車バカは、
今に始まったことじゃないから許すわ。
でもね、
私に気付けって言う方が無理よ。
だって、
あなたが迎えに来てくれたことが嬉しくて、
早く助手席に座りたいんだもの。
タイヤまで見るわけないでしょ?
車の色が変わってない限り気付かないわよ。
実家に戻ってから、
かれこれ2ヶ月近くが経つ。
Nさんと会う機会はグッと減って、
正直、帰ってきたことを後悔することもある。
お互い『仕方ないね』って言ってるけれど、
本当はとてももどかしい思いをしてる。
一緒に過ごす時間が減った分、
電話で話す時間が増えた。
仕事が終わると
ラインでお互いの様子を探る。
勤務が上がると
必ずNさんから電話をかけてくれる。
今日忙しかった?
夜はずいぶん涼しくなったね。
コスモス祭りやってたよ。
今日 会社の〇〇さんが美味しいお店を教えてくれたの!
内容なんてたいしたことはない。
Nさんの優しい声を聞いてるだけで心地いい。
でもやっぱり…
会いたいよ。
仕事帰りに、
Nさんと夕飯を食べることにした。
『何が食べたい?』
『えっとね、
ハンバーグか回転寿司!
ご飯とスイーツ両方食べたいの(^-^)』
『自動的に、
びっくりド〇キーか ス〇ローになっちゃうな( ̄∇ ̄)』
ひと通りお寿司を食べて、
シメのスイーツを注文した。
『ホントに幸せそうに食べるよね(^^;)』
そろそろお開きにしようとした時に
Nさんが手洗いに立った。
退屈だから注文画面見てたら、
もう1個スイーツが食べたくなっちゃって、
ポチってしまった( ̄∇ ̄)
手洗いから戻ったNさん、
『会計しようか。』
『ぁ、… ちょっと待って( ̄∇ ̄;)』
『ん…?
あっっ! まさか(^0^;)』
注文履歴の所をタッチされた。
『やだ〜、バレちゃった?笑
なんでわかったの?』
『目が泳いでたからね。 わかるよ(▼∀▼)
それにしても、スイーツ2個いくとはね…笑』
Nさんはお腹を抱えて笑ってる。
自分が席を立ってる間に、
こっそりスイーツを注文したりして。
大人に隠れてイタズラしてる子供みたいだと…
『いや〜、
本日も面白かった( ̄∇ ̄)』
〜面白い…
Nさんの褒め言葉だ。
カワイイとか、ステキだとか、
そういうことは一切言わない。
私を褒めてくれる時は、
『面白い』。
ま、
『つまんない』より
ずっといいか。