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ーside Uー

ぴったりと隙間が埋まった。
俺とお前の隙間。
数時間前までカラカラだった隙間が、
今はぎゅうぎゅうに満たされている。

お前と出会ってから何度目かのラストまでの試みと、新しく買ったこのローションが当たりだった成果が出ているかもしれない。
すんなり入ってくれたし、王子のうっとりモードは続いてる。


わかってるよ、そういうこと以上に、お前が最高潮に酔ってくれている証拠だってことはさ。

こんな顔するお前のこと、知ってるのは俺だけなんだろ?
ひょっとしたら、お前自身も知らない顔なんじゃないかな。

王子も慣れてきたことが手伝ってか、ただきついだけじゃなくなってきたのも俺はわかったよ。
口で吸われるよりも幅広く、熱く締め付けてくれる感じ。

『待ってね、もうちょっと、待って、』

相変わらず耳まで赤い。
少しでも動くとどこかに触るらしくて、腰をおっかなびっくり動かせないでいるらしかった。
可愛い。
ごめんね、って何度も謝ってくる。
可愛い。
焦るな、待ってるから。

余裕がないその唇をそっと奪う。
すると肩の力が少しずつ抜けてきた。
肩の高さが下がるように。

好きなんだ、お前が。
優しくしたい。
寂しかったんだ、お前と居られなくて。

好きなんだ。
届いているか?
俺のキモチ。

ーside CMー


お腹一杯に貴方がいる。
僕も自分のイイトコロを知ってしまったから、そこに当たりそうになるのを避けることでいっぱいだ。
貴方がくれたキスでようやく我に返る。
落ち着いて、ユノが待っていてくれている、

ああ、ユノは優しい。

待たせてごめんね。

今、動くから。
だからユノも、気持ちよくなって。
溶けよう。

キスが優しい。
気持ちいい。
大丈夫って、好きだって、言ってもらえているような。
でも、少しせつない味もする。
なんでかな。

貴方の胸に手を添える。
僕を見上げてくる、貴方の目。
なんだろう。
甘えてくるような、ねだるような。

大丈夫、僕はもう、ここに居るんだから。
貴方と居るんだから。
僕はここに居るよ。
貴方と、ここに居るのは、僕なんだ。

だからそんな寂しそうな顔しないで。

うん、寂しかったんだ。
そうだったんだね。

ありがとう、届いたよ。
もう大丈夫。
寂しい思いはさせないから。
だから僕は、精一杯、貴方が好きなんだと気持ちを込めてまたキスをした。

最初から最後まで、何度も何度も、何度も何度も、キスをする。
言葉よりも、奥で伝わるような気がして。


それから貴方の目を見て、僕は動いた。



ーside Uー


キスだけで、俺のキモチが全部バレる。
届けって願うと、全部バレる。
もう、お前の前でやましいことはできないな。
しないけど。
ありがとう。

片割れ同士がひとつになれる。
唇が離れると、お前のすでに溶けているような腰が動きだした。
溢れでたドロドロのせいで変な音が盛大にすると、二人でちょっと恥ずかしくなって、ちょっと笑った。

しっかりとお前の腰を抱いてお前の動きにシンクロさせる。

もうお前がヤバイ(らしい)ところはわかったから、お前が避けつつ狙っているらしいその可愛い気持ちを汲み取って、俺は少しだけ狙ってやる。

『あ、ぁ、あ、』

鼻にかかった高い声。
不安定な、揺れる声。

下から少しずつ、狙ってやる。

『ん、あ、ユ』

首を振ってイヤイヤする。
ゆっくり、でも確実に狙ってやる。

『ああぁ、ユノ、…ゆの、』

中もそうだけど、声まで溶けてきたな。
なんだかお前の中にいる俺も、もう溶けちまってなくなってるんじゃないかってくらい。
気持ちいい。

こうしてると、満たされるような気持ちになるのは、なんだろうな。
興奮ともまた違う。
動物的な行為の中にある、穏やかな気持ち。



ーside CMー


『チャンミナ、』

耳元で囁かれる。
僕と貴方の動きがぴったり重なって、激しくないけれど、その動きの中で僕たちは酔っているように体をシンクロさせ続けた。

呼ばれた声に意識を少しだけ戻す。

『優しく、できてる?』

可愛い人ですね。

貴方が今、優しい顔をして僕を求めてくれているのだから。

『はい。』

一番優しい、非生産的な夜。

指と指を絡めて、しつこいくらいのキスを繰り返す。


上も下も、
体の中も、

心も、


溶け合う。




『ユノ、一緒に、いけるかな、』








ーside Uー




一度目が覚めたのは夜が明ける前。
あれから二人で潰れてなんにもしないまま眠ってた。

真っ暗やみの中、目の前にあるお前の寝顔を眺める。



つくづく思ったんだ。



お前が好きだ。


お前と居られるためなら、俺はなんだってしちゃうかもしれない。



寂しいって、感じたこの気持ちは、

お前には味あわせたくないかもしれない。



『チャンミナぁ、』


『寂しかった。』


『だから、』


『もう、寂しいって、』


『お前にも思わせねえから、』


『だから、お前も』


『俺のそばに居て?』



寂しいと死んじゃうって、ホントだと思ったんだ。







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ーside Uー

進化し続けているらしい。

俺が許可する前に、お前の手は俺の手を引いてベッドに座らされている。

なにリードしてくれちゃってるの?

下ろされて、俺はもう何も着てはいない。
足の間に跪くお前の姿。
マテもオテもできないけれど、オスワリだけはできたようだ。

マテができてないようだ。

うっすらと開いた唇を見たと思ったら、赤い舌がゆるく立ち上がった俺に触れていた。
なんだか、不思議な気分だ。
興奮してるのに、こう、胸の奥がむず痒い。

足の間にある頭にそっと触れる。
まだ少し湿っている髪を撫でる。
片目を瞑って、こちらを見上げてくる顔が、また胸を痒くさせる。
なんだろうな、これは。

真上から見るその甲斐甲斐しい姿に、背筋まで痒くなる。


ーside CMー

貴方の手に撫でられるのが好きで。
頬や、顔に触れられたり、撫でられたりするのが好きで。
もちろん、ユノだけ。
ユノだけに。

今、ものすごく嬉しかった。

貴方の気持ちがまた少し届いた気がして。
届いたの、気付いてる?

僕のこと、好きでしょ。

でも、こういう僕は嫌い?

優しくしてほしいから、優しくするよ。
歯を立てないようにしてできるだけ置くまで口に含む。
すでにたっぷりと口内は溢れてる。
その滑りで下から上へと唇を動かす。
さきっぽまで辿り着くと、もう一度貴方とアイコンタクト。

ねえ、どうしてそんな顔してるの?
今までもしてたでしょう?

困った顔してる、
僕の、可愛い人。



ーside Uー

よく目が合う。

変だな、今日のお前見てると、照れる。
照れるっていうか、なんだろう。

されてる間のお前の視線の動きから、目が離せないんだ。

伏せられた目も、
俺のこと見上げてくる目も、
少し苦しそうに瞑る目も、
離せない。

そのくせに、なんだかものすごく照れるんだ。
胸が、全身がむず痒い。

吸われる時の音が卑猥に聞こえるのも、いつもの三割増しくらい。
けどお前の顔って、物凄く穏やかで相変わらず俺にうっとりしてる感じ。

舌の動きがエロいんだけど、優しくて変な気持ちになる。

また、目が合う。

『溶けそう、ユノ。』
『え?』

『口のなかで、ユノが溶けそうなくらい、』
穏やかな首の動き。
緩く吸われる。
波はないのに、物凄く気持ちいい。

『可愛い、ユノが、』

声が優しい。
囁くように、言う。
優しくするのは俺なのに。
優しくされてる。

むず痒い、痒い。
胸が、むずむずする。

これってさ、


ーside CMー


もっと困った顔。

くちゅくちゅと、貴方を口のなかで少し揉んであげる。
困った顔の中に、気持ちよかった反応が混じって、もっと可愛い。

『チャンミナ、』
『なあに、』

今度はゆっくり全体的に出し入れしてあげる。
ああ、大きくなりましたね。

『すげえ、好きだ。』
『ふふ、』

やっと気づきましたね。

『今日、今、お前のことがめちゃくちゃ好きだ。』

知ってますよ、その困った顔が、全部伝えてくれてましたから。

『じゃあ、優しくて。』
『うん、』

貴方の前で、僕も何も纏わない姿になる。

『優しく、塗って、いれて、』

貴方を操る呪文みたいだ。

新しく買っておいたローション。
シーツ変えたけど、また汚しちゃうね。


ーside Uー


たっぷりと自分の手を濡らす。
ポタポタと、太股やシーツを汚す。
ベッドに座ったままの俺に、軋む音を立てて股がってくる。

俺とお前を擦りあわせるように、お前の腰が俺の上で落ち着く。
薄い、二つの尻がくっつく。
その間にあるお前尻とシーツとの隙間に手を忍ばせて、中指を垂直に突き立てる。
お前は後ろ手を付いて、尻に入る力を分散させようとしている。
指はすんなりと入っていく。
滑りは良いようだ。

『痛いか?』
『ううん、平気、まだいけそう。』

人差し指を加える。
奥が反応した。

『痛い?』
『大丈夫、いい感じ。』

唇から細く息を吐いて、ベッドについていた手を剥がすと二つの手を俺の肩に乗せてくる。
顔は楽しそうに、嬉しそうに、穏やかに笑っている。
本当に、いい感じな顔。

ネットでちょっとだけ調べてみたことを思い出して、その箇所目掛けて指を動かしてみる。

『ん、ん?』
『痛い?』

急に不安になる。
指の腹で内側を擦るように動かす。

『あ、わっ、』

口を押さえて、耳を急に赤くさせる。

『痛いか?やめる?』

口を押さえたまま、慌てて首を横に振る。
不安になる、俺。

優しくしたいのに。



ーside CMー


指の形がリアルに伝わる。
貴方の節が出た関節が擦れる度に、背筋がゾクゾクしました。
それと、初めてつつかれた場所。
なにこれ。
お尻が浮いちゃった。

『チャンミナ?』
ごめんなさい、本当に不安そうな顔をさせてしまった。
大丈夫、大丈夫なの。

『ユノ、もういっかい、そこ、もういっかい、して?』

二人で探り探り。
動く。
貴方の指が、僕を知ろうとして、そろそろと動く。
違う、そこじゃなくて。

『あぁっ、そこ、もっかい、』

端から見たら滑稽な絵だと思う。

『ここ?』

指なんか入れる場所じゃないのに。
僕、おっきくしている。
返事ができなくて、頷くだけで精一杯だった。
ユノもその場所を覚えてしまったみたいで、そこばかりつついてくる。
だから、もう、先からダラダラ、溢れちゃって大変だった。

『ユノ、やばい、そこ、ヤバイっ』

ほんとにヤバイってば。
貴方がしつこいから、指でいっちゃった。


ーside Uー


生暖かい。
腹から胸にかけてぶっかけられた。
少し弄ってこれって、本当に人体の不思議というか、神秘というか。

顔を真っ赤にして、マジで恥じらってる様子は反則だと思う。

ごめんねって言いながら、長い腕を伸ばして取ったティッシュで拭われる。

『ごめん、本当にびっくりして、でも、』
『へへ、』
『ほんと気持ちよかったの、』
『わかったわかった、』

『ユノもする?』
『は?』

いや、それはちょっと。

『だよね、ふふ、』

可笑しそうに笑った後で火照った顔をまだ押さえながら、甘えた目で見てくる。

なあ、なんのフィルター掛かってるんだろう。

『じゃあ、同じところ、お願い。』

そう言ってお前は、俺を掴んでさっきまで指が入っていたそこに導いてくる。

今日の俺たち、マジで甘くないか?



ーside CMー








『優しく動いてね、また、すぐいっちゃうから』











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ーside Uー

改めて言われるとけっこう緊張するもんだ。

優しくして。

それの最上級の言葉。


向かい合って、腕を掴む。
少し引き寄せて、鼻と鼻で挨拶。
笑って、触れるだけのキスをして。

それから肩を掴む。
お前の体の力も抜けていて、すぐにそばに寄ったんだ。
また笑って、今度は唇を啄む。
逃げないけど、俺の唇を待っている感じ。

出てこいよ、混ざりあおう。

舌を入れる。
舌が出てくる。
立ったまま、何度もゆっくりとしたキスをした。

目を閉じて、混ざりあう準備。





ーside CMー


床に貼り付いた足の裏がくすぐったい。
貴方の優しさが、くすぐったい。

本当に優しくなっちゃったから。

焦れったいとも違う、ゆっくりとしたキス。
ずっとしていられそうな、心地よさ。

やっとの思いで腕だけ動かして見る。
貴方の肩に手を添えて、閉じていた目をこっそり開けてみる。

そしたら、同じタイミング。

目があって、笑って、またキスをする。

貴方の唇にあるセクシーなほくろを吸ってあげる。
僕からも少しだけ、動いてみる。

舌先でなぞって、また吸ってあげる。

可愛い。
いつもは悪戯っ子みたいな唇なのに。
今日はとても控えめで優しい。
可愛い。

『ユノ、可愛い。』






ーside Uー


可愛いってなんだ。

王子が攻勢に出てきた。
瞳をうっとりさせて、俺の唇で遊んでいる。
お前の舌が俺の口内ではなくて、唇で遊んでいる。

時々首を傾げて目を覗きこんでくるんだ。

その目が、本当に俺しか映していなくて。
お前の心の中に俺しか居ないことを映しているのがわかるんだ。

酔ってる。
お前が、俺に。

酔ってるだろ。

少し反撃。

舌を出して、お前の舌を追いかける。
絡めとって、離さない。
逃げてみろよ、ほら。

唾液をすすりあげる音が俺からしたのか、お前から聴こえたのか。

どっちかな。




ーside CMー


爪先から温まる。
唇からも温まる。
溶ける準備。
あたたかい。

絡まる唾液が、甘くてとろける。

肩にあった手を、貴方の頬に添えて。
もっと近くてもっと温かい距離が欲しくて。
添えた手すらも、貴方の体に溶かしたくて。

溶ける?
熔ける?

『ふ、…んん、』
めずらしいですね、貴方が声を漏らすなんて。

可愛い人。
ねえ、もっと。
もっと、僕に囁いて。
優しく鳴いて。

肩にあった手をおろす。
貴方の体の線に沿って、ゆっくり。
胸の間にある溝に中指を落とす。
ゆっくり、ゆっくりずらして滑らせる。

そのまま、腹筋の溝に。




ーside Uー


まだ続いてる。
ずっと続いてる。
唇がふやけそうなくらい。

攻めてくる。
優しくしてって言うくせに。

俺に触れてくる指が、どこで覚えてきたんだかわからない、いつもとと違う動き。

挑発的で、魅惑的。

それなら、俺は優しくいくよ。
チャンミナ、優しくする。

指先で、想いを伝えるから。
届けるから。

今の俺の気持ち。
触れられる、よろこび。
愛しさ。
お前への、溢れる気持ち。

お前の濡れた顎を人差し指でその形をなぞる。
その後を唇で拭って、指を下ろす。
喉の凹凸を感じながらゆっくり辿る。

鎖骨は中指で。
それから人差し指と二本で、胸を撫でる。
少し、震えたな。

ツンと立ったお前の可愛い胸。

優しく潰して、声を聞き出そうとする。


『あぅ、…ん、』

目を見て。
意地悪しないって。
ほら、優しく触るから、


俺にくれよ。
捧げろよ。

チャンミナ。






ーside CMー


そんな触り方しないで。

優しい攻撃。
僕を想う熱が、本当はすぐにでも僕に触れたいくせに。

ああ、違う。

すぐに触れたいのは、感じたいのは、

僕のほうだ。


降参して、


跪く。


『ユノ、ちょうだい、』



低い位置から貴方の顔をみあげる。

一枚だけ纏った布を、下ろす許可を僕にください。


ダメ?





優しくしてって、言ったのに。



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デリバー!86

ーside Uー

今夜はお前の部屋に帰ったんだ。
久しぶりのお前の部屋。

王子が飯の支度してる間に虫の残り香と残像をひとつひとつ片付けていく。
飲みかけのペットボトル。
今朝までに出たゴミ。

ベッドのシーツ。
お前が貸して着せてたスウェット。
洗濯機にぶちこむ。

『ごめん、ありがとう!』

なんて感謝されてるけど、違うんだな。
これは最後の最後の、俺の怨み辛みを晴らす細やかすぎる行為。

洗濯とは偉大なパワーを与えてくれる。

気がする。

『お風呂入ってきちゃえば?』
背中を向けたまま。
『上がったら僕も入るから、』
それから少し振り返って。
『はやく、食べる時間遅くなるよ、』
名前を呼ぶ。
『ユノ、』
お前の方が背が高いのに。
『ね?』
上目使いされている。


勝ち取ったと思った瞬間。
何から勝ち取ったのかは、あれだが。
エプロンこそしてないものの、ベタベタな展開。
後ろから抱き締めて、汗のにおいがするうなじに鼻を埋める。
食べる執念と酒を愛するがゆえに、上達した料理の腕から振る舞われる今夜の飯は、全部俺のもの。
お前のものは俺のもの。

『入ってくる。だから、』
お前の腕はまだ動いていた。
『お前のことも、食わせろよな』
動きが止まった。
返事は聞かないで、バスルームに向かったんだ。
答えは知ってるから。


ーside CMー


本当にベタベタな展開。
自覚してますよ。
でも、たまにはいいでしょう?

このあとだって、もっとベタベタな展開になる。
わかってる。
だから、嬉しい。

ベタベタしたい。
したい。
したい。
ユノとしたい。

『したい』っていう三文字だけを頭の中に置いて僕はネギとニラを刻んでいった。
暑い季節に、涼しい部屋で、煮込んだ麺。
でもね、キンキンに冷やしたビールで流し込む。
それからナッツとチーズでお酒も変える。
酔ってきたら、きっと、

『あつい!!!』
『うわぁっ!!!』

『上がった!!』
『裸で歩くな!ちゃんと拭いてから歩いて!』

『へいっ!!!』
『うるさいですよぉっ!!』

床に続く貴方のお子様な行動の跡。
タオルを投げつけて拭かせる命令をしてから、僕も汗を流しにいく。
あとは食べるときに麺を入れて火を通せばいい。

久しぶりに怒鳴った気がする。
少し、スッキリ。



ーside Uー


きちんと、何かを食べたいと思うのも久しぶりかもしれない。
水音が止んだ。
ドアが開く音がして、湿気が流れ込んでくる。
王子に替わってキッチンに立つ。
麺を湯がくだけなら俺にもできる。

『涼しい、』

バスタオルを被って拭きながら、トランクス一枚で歩く姿。
俺も同じ姿。
どうせ全部脱ぐなら暑いし開放的な下着の方がいいって考えは同じだったようだ。
ほらな、お前、食われる気満々だろ。

冷蔵庫を覗いて缶ビールを二つ取り出す。
タン、タン、と缶を置く独特の音が聞こえた。

赤くしたスープがグラグラ言ってて食欲をそそる。
王子の姿を見ると、ニュースを見ながら突っ立っている。
また引き締まった気がするその脇腹を伝う水滴を見て、性欲はそそられる。




『チャンミナ、腹減った!』
『あ、うん、』

何かの缶詰だとか、何かのレトルトとか開けてとにかく食った気がする。
俺も王子も久しぶりに食欲に火がついた。

涼しい部屋で熱いものを食べながら飲むビールは最高だった。
テレビを見て、面白くもないバラエティ番組で笑ったのもいつぶりだろう。
面白くないのに笑えるのは、多分、お前の効果十割増し。

お前と飯食ってる自分が好きだ。

誰かと一緒に居て、自分を好きだと思えるって、それまでにあっただろうか。
自分についた自信とはまた少し違う、なんていうか、ネ。



ーside CMー


最後にちょっとだけワイン。
それも片付けながら。

『いいよ、明日にしよーって、』
『はいー』

シンクに食器を下げて、言われた通りに今日は家事を放棄した。
明日、休みだし。
もう飲んじゃったし。

グラスに残ったワインを煽る。

『ユノ、』
『あー?』

リビングで床に裸の背中を預けている。

『歯磨いて、』
『えーー、なんで、』
『ネギとニラ食べたじゃない』

あ、起きた。
本当に分かりやすい人。


キスしますよ。
ほら、早く。

ベッドを改めてみおろすと、シーツがよれている。
ちょっと下手くそ。
パリッと乾いたはずなのに、もうシワシワ。

見てたらおかしくなって、顔が熱くなって、少し泣いちゃいました。



『ほんと、僕たち遠回りしすぎ。』



ミントの香り。
歯磨き粉のにおい。
また後ろから抱き締められている。
火照った分厚い胸板が、火照った僕の背中に押し当てられる。


『ねえユノ、』
『なに?』

『とことん、優しくして?』



溶かされて、流れてしまいたい。

混ざりあいたい。










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