その日、スィーヅは一人黙々とセンティアに押しつけられた書類の整理をこなしていた。
ひたすらに判子を押していたとき、ひらりと視界に何かが過った気がする。
「……ん?」
顔を上げるとカサッと机の上に一枚の写真が落ちてきた。
そこにあった写真には、長い黒髪を一つに束ね上げた紫の瞳を持つ青年と短いダークブルーの髪に金冠を付けた青みがかった灰色の瞳をした青年の姿が映し出されていた。
黒髪の青年はその背に立派な蝙蝠のような黒い羽を携え、一方の短いダークブルーの髪の青年の背には立派な鳥のような純白の翼があった。
また、二人の表情も対照的だった。
黒髪の青年はどこか意地の悪い表情で笑い、短いダークブルーの髪の青年は渋い表情と呆れたような眼差しを向けていた。
「……センティアの奴」
はぁっと嘆息した後、写真を手に取り、ギシッと椅子に寄りかかって、懐かしそうに眼を細める。
『ほぅ、まだ伸びないのか』
黒髪の青年はまじまじと短いダークブルーの髪の青年のその髪を見る。
『……当たり前だ』
同時にその視線は【誰のせいだと思っている】と言いたげな冷たい眼差しだ。
『早く貴様の髪が伸びるのを心待ちにしているぞ』
ニヤッと笑いながら黒髪の青年はその短い髪に指を滑らす。
その目的を察し、ぴくっと眉を跳ね上げて短いダークブルーの髪の青年は冷たく言い放つ。
『……蒼焔を鍛えたいのはわかるが、止めろ』
パシッとその手を弾き、はぁっと嘆息した。そして、黒髪の青年は弾かれた手をまじまじと見た後、くくっと低く笑う。
『天使にしておくには勿体ないものだ』
『……お前は本当に悪魔らしい悪魔だな』
今でも覚えている。
本当に、彼は意地の悪い悪魔だった。
そして、あまりにも素直ではなかった。
「今では……随分と伸びたものだ」
スィーヅは一つに束ねて金のリングで止めた髪を一瞥し、ぽつりと呟く。
「お前が蒼焔を託した相手は、お前とは違って道具を大切に扱う者だからな」
何度砕かれたことかと思い、目を伏せる。
「……シャレード」
その名を呟いても、もう届くことはない。
当サイトは放置期間含めてめでたく八周年を迎えました。
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今後とものんびりとサイトを運営していくつもりなのでよろしくお願いします。
と、いうわけで……
祝うのがギリギリですが(てかちょい過ぎた)、日常日記のトラブル等々によって遅くなりました(´∇`;)(言い訳乙)
ほとんど目立った更新はなく、むしろ時代と運営交代の悲劇故にコンテンツ一つまるっと消滅しました当サイトですが、その内一部だけでも復活を目指して細々と続けていきます。
今年から来年再来年の未来の目標:未完結を完結させる
を掲げていきたいと思います。
何歳になったかはおいといて、ダメ社会人になっても厨二心と自堕落おっさんモードが抜けずに相変わらず脳内創作は続けております。
そう、ただ書いてないだけで(・∀・)
などと開き直っても仕方ない……(´`;)
ここまで呼んでくださった方、本当にありがとうございます。