知人にお金貸した
生活できない助けてと泣きつかれたし可哀想に思って私も金なんて無いけど貸した
友人に白目むくほど説教されたわ
その金は二度と返ってこんぞこの馬鹿がと罵られた
でも私白目むきつつ感動したんだよ
こんなにも私の為に怒ってくれるなんてと思って
この気持ち母さんに伝えようと電話したら
小便チビる寸前まで怒鳴られた
この年にもなってこんなに激怒されるなんて
生まれたての小鹿みたいに体が震えた
こんな目にあうなら金輪際誰にも金は貸さないと誓う
でも私は絶対に返してくれるって信じたから貸したんだよ
実は明日返してくれることになってたからさっきメールしてみた
「明日お金返してくれるんよね?何時にどこで待ち合わせにしよっか?」
返ってきたメール
「もちろん返すけど??
何時になるかはわかんないよ??」
なにぃ…まさかのちょっと偉そうだとぉ…?もっと謙虚であれよ…
はじめてですよ…ここまで私をコケにしたおバカさんは…!
私のこの53万の戦闘力で花火にしてやろうか?あの惑星ベジータのように
この温厚で有名な私をこんな修羅の様な心持ちにさせるなんて
なかなかやりますな
とりあえず金だけ置いて去るんだな、このシーチキン野郎
もうお前に金貸さんからな!くそして寝ろ!
巨人の星が最近気になってる
飛雄馬愛らしくない?
受けの顔してるわ
勝ち気なのに泣き虫って感じでこの子が受けなら万倍輝くだろうと思ってる
野球と父ちゃんを憎みつつそれらから離れられない所もそそるね
養成ギプスとか完全に拘束具だと思っている
あんなに小さくて愛らしいショタ飛雄馬に拘束具とは父ちゃん流石ですな
借金の形に飛雄馬が悪いお兄さん達に連れていかれそうになるんよな
「邪魔するぜ」
飛雄馬が返事をする間もなく、トタンの扉をいとも簡単に蹴破り、スーツを着た見知らぬ男が二人、乱暴に部屋へと上がりこんできた。
「な、なんですか…」
飛雄馬は驚き男達を見上げる
「なんだ、坊主一人か…あの頑固親父は仕事だろ?綺麗な姉ちゃんはどこだよ」
「…明子姉さんは…いま出かけてる」
「そりゃあ残念、あの姉ちゃん金になりそうだったのにな」
破壊された扉から冷たい風と雪が吹き付ける
「…明子姉さんに…変なことするな…」
飛雄馬は小さく体を震わせた。
寒さのせいだと自分に言い聞かせる。
「ハハッ!変な事ってなんだよ、坊主。」
そんな飛雄馬を一笑した男は突然真顔に戻り後ろにいた男に命令する
「あの姉ちゃんいねぇなら用は無ぇや、ヤス、金目の物全部もっていけ」
ヤスと呼ばれた男は「ヘイッ兄貴」と返事をしニヤニヤと笑いながら箪笥を物色し始めた。
「やめろ!勝手にさわるな!」
たまらず止めにかかろうとした飛雄馬だが強い力で男に肩を捕まれた
「じっとしてろよ、坊主。それともお前が金払うってか?」
「…」
このまま、家を滅茶苦茶にされるのは堪えられなかった。
飛雄馬はカラカラの喉で唾を必死に飲み下し答えた。
「俺ができることなら…なんでもする…」
飛雄馬の肩に手を置いている男の目が輝く
「ほう…なんでも…か、坊主」
強い目力で見つめられる
飛雄馬も負けじと見返した
「なんでもだ」
男はニヤリと笑い
「ヤス!」押し入れを物色していた最中のヤスを呼び寄せる
「坊主は借金の形に自分の体を犠牲にするってよ!ヤスお前チト教えてやれ!」
ヤスは「ヘイッ兄貴」と返事をし飛雄馬の元へ駆け寄ってきた
男は飛雄馬の小さな体を強引に畳に押し倒すと耳元で囁いた
「いまからヤスがお前に『大人の変な事』教えてくれるからな…ヤスのは控えめだから安心しろよ」
そう言って飛雄馬の首筋に唇を寄せ強い力で吸い上げる
電流のような痛みに飛雄馬は小さく悲鳴をあげ、眉を寄せる
「父ちゃん…」
誰にも聴こえぬだろう小さな声で
そう呟いた
その時だった
爆音と共に飛雄馬の家に何かが飛び込んできた
重低のモーター音、地の底まで響くかの様な振動
恐る恐る飛雄馬が目を開くと
半壊した屋根から降り続ける白い雪、レッドスターの如く真っ赤なスポーツカー
そして運転席には
「花形…満…」
『花形満』と飛雄馬に呼ばれた男は
掛けていたサングラスを華麗に空中に放り投げ立ち上がった
「やぁ、星君。」
彼こそが花形財閥の御曹司であり
飛雄馬の宿命のライバル、花形満その人である
「花形…なぜ突然」
「話しは後だよ星君」
目を丸くする飛雄馬をさて置いて、花形は助手席に積み上げられていたスーツケースを三つ、畳の上に放り投げた。
「そこに三億ある。これで星家の借金は返済のはずさ、万が一足りなかったりしたら花形財閥まで連絡するといい、一先ずこれでお帰り願えるかな?」
まだ唖然としている男達にそう言い放つ
「なぁんだテメー!なにもんだよ!」
我にかえったヤスが花形に怒鳴り掛かるのを男がとめた
「よせや、ヤス…てめぇ花形さんとこの息子の顔もわからねぇのか…恥かかすんじゃねぇぞ!」
男はヤスを一喝し、花形に言う
「三億、キッチリ払っていただきやした。」
男はヤスにスーツケースを運ぶように命令しそのまま立ち去った。
ヤスはスーツケースを覚束ない足取りで運びつつ「待ってくださいよ、兄貴」と、情けない声を上げフラフラと雪の中へ消えて行った。
「間に合ってよかったよ、星君」
いまだ放心状態の飛雄馬を支え起こし、優しく肩を抱く
「花形…なぜここに…」
「明子さんが知らせに来てくれたのさ、飛雄馬が危ないって。」
「姉さん、姉さんは無事なのか!?」
「もちろん、今うちで保護しているよ」
「よかった…」
飛雄馬はいままでの緊張が一気にとけ、瞳を潤ませながら誓った
「花形、この借りは必ず返す」
「もちろん、返してくれたまえ」
花形は飛雄馬の涙を指で拭いながら答える。
「ああ、必ずだ。バイトができる年になれば全額返済にあてる、今の自分の小遣いも…」
「金じゃなくていい」
『金じゃなくていい』
その真意が読めなかった飛雄馬はもう一度聞き返そうと口を開くが
とうとう言葉にはならなかった。
花形の唇が飛雄馬の唇を覆ったからだ。
「星君、キスの時は目をつぶるんだぜ」
花形のその言葉に反射的に飛雄馬は思いっきり目を瞑った
花形の優しい笑い声がする
「お返しは体でもらうからな、星君」
そう言って花形は再度飛雄馬の唇を奪った。先程の悪戯の様なものとは違う、情熱的なそれだ
白い雪で覆われたスポーツカーが、まるで二人のこれからを照らし指し示す夜空の星の様に、ただただ赤く祝福の輝きを放っていた。
〜巨人の星 第一話 完 〜
多分だいたいこんな内容だとは思うけど
原作ちゃんと観ることにするね
ヨウスケRENT出演胸が張り裂けんばかりにおめでとう
絶対に観に行く