▼あらすじ
小さな鉄工所を営む中村健一(堺雅人)は五年前のひき逃げ事件で最愛の妻を亡くして以来、深い喪失感と共に虚無的な日々を過ごしている。その頃、刑期を終え出所したばかりのひき逃げ犯・木島宏(山田孝之)の元には、"復讐決行日"までをカウントダウンする匿名の脅迫状が届くようになる。二人の男と、取り巻く周囲の者たちそれぞれが抱える孤独、葛藤、願い。そして妻の五回目の命日の夜、二人は遂に対峙する。二人の魂がぶつかり合うなか、中村が木島へと向けた刃は意外なものだった。中村の想いとは・・・。
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・堺さん目当てに前々から見たいと思ってた映画
・はじめつまらないかな〜と思ってたけど、クライマックスに向けてどんどん面白くなっていった
・堺さん演じる健一は全編通して冴えないというか、開始早々亡き妻のメッセージを繰り返し再生しながらプリン食いまくって、お見合い相手の川村と会ったときすら妻の話を振られてはじめて饒舌に喋りだすし、しかも妻のブラジャーをポケットに詰めていて、もう狂気的というか、ああ壊れてしまってるんだなあって印象
・山田孝之の木島はとんでもなく加害が似合ってた。ていうか自分がボコボコにした相手をチャリの荷台に乗せて二人乗りするっておかしいよな??ねえそれ今どんな気持ち??
・シーンとんで、「平凡でいたい」って言った小林(綾野剛)に対する青木(新井浩文)の「平凡は地道に築き上げていくもの」っていう言葉が重くて、それまでの健一にお見合いを勧めたり川村にバイト代払ってまで健一に付き合ってもらったりのシーンが意味を持つなと思った。青木が小林に対して語気を荒くしたシーンにしても、健一を前に進ませようとしてた青木は別に久子のことを忘れたわけでも蔑ろにしてたわけでもなく今を生きる人間として必死に平凡を築き上げていこうとしてたんだなって思わせる
・クライマックスで健一と木島が対峙するシーン、最初はエッと思ったけどあとから単なる殺し合いにならなくてあのクライマックスで良かったなって思った
・木島は本当にただのクズか? 人を轢いておきながら救護義務を果たさず逃げたのは間違いなくクズだけど一歩間違えれば誰にでも振りかかってくる事象だと身に染みる。もちろん免許持ってる人間としては絶対轢き逃げはしないけど。はじめを間違って、そこからはもう落ちていくばかりで一線を越えることに躊躇いがなくなっていく。それまで矛先を向けていたのに急に「飽きた」て言ってふっと静かになるのが幼い子供のようですらあった
・クライマックスを越えて、道路を歩く健一が車に乗った川村に声をかけられて、川村に「おでかけですか?」って尋ねるのすら、たぶん木島と対峙する前ならできなかったことなんだろうなあと思って、健一にとってはあのクライマックスはとても大事なものだったんだなあ
・ラストシーン、プリンを塗りたくって最後にふっと笑う瞬間の健一は堺さんだった。堺さんの笑顔かわいいなっていうのと、健一もようやく過去から解放されたのかなって二重の感想