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巫山戯んな

こんなの恋なわけあるか!

冗談じゃねー…気の迷いだ気の迷い。

なにもかも綺麗にしてさっぱりだ。
さて、これでゆっくり飲みに行ける。

とぷん。

頭の上からつま先まで、すっかりの水の中。

思考の海につかる。

思うことはたったひとつだけ。

抱きしめた背中の広さは

まるで、何もかも飲み込まれるような気がして。

罪悪感だのなんだのはどこかへ消え去ってしまった。

戯言でも、甘く囁かれれば縋ってしまう。
傍にいる資格なんて、微塵もないのに。

緩やかなシーツの波が素肌にふれる心地よさ。
腕の中に閉じ込められる感触。
初めて呼び捨てにされた名前。

その何もかもが宝物のようで。

もうすぐお前はいなくなるから、これは恋なんかじゃないと俺は自分に言い聞かせる。

でも、脈打つ心臓の音がこれは恋なんだと俺を窘める。

次に会う約束なんてとりつけてもいない。
でも、きっとまた逢ってしまう予感がある。
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