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波間に沈む一船も、


暗闇に光るうろこ

うつらうつら、虚ろげに

ちか、ちか、剥がれ落ちて

そこに音はない。


彼の口の中には、また更に暗闇があった。

覗きこめば暗転

暗礁

ひらけた海の上で物思いに耽った。

ああ、愛しの













絵のモチーフは鱗

カンバスを埋めていく極彩色は、まだなにものでもない

けれど、もう少し

もう少しで、

この子に名前がつきそうだ。



「波間」

作品のタイトルはこれでいこうと思う。





剥がれた鱗


「全部、めちゃくちゃ」

猪式さんから遊びに連れ回されること1日。

とんでもない疲労感を残しただけじゃなく、ちゃんとタメになることもあったみたい。


わたしはこの間から、製作活動に移っています。


猪式さんの見せた世界は、ぎらぎらとしていて、くるくる世界の色を変える。

目が回る、酔っていく、気を失うその隙間で

なにかがわたしの中に落ちてきた。


それからは学校のアトリエに籠って、ずーっと絵を描いていました。


「表現の場で無くしたプライドは、表現の場でしか取り戻せない。」

そのとおり

今のわたしは、表現すること以外は全部向こうにいっちゃってる

低いリズムが上に上に突き上げていく

吐きそう、飲み込んで

滴る。


「そうでした。わたしって元々が、自信の塊だったんだよ」






産みの苦しみ


深夜です。

あと少ししたら朝日なんて昇ってきます。

製作発表会まで、あと2日

間に合う気がしませんどうしましょうこのやろう。



「いっそ殺せ」

美術科-Aは、只今屍類々となってます。

すべては製作発表会のせい

間に合いそうにないわたしたちは、徹夜組です。


ちょっと前までは、先生がデザートの差し入れとかしてくれて、みんなテンション高かったのに

今じゃ眠いしきつい。


「芸術家とは」

常に、自己嫌悪と陶酔

非難と称賛の恐怖

自問自答の繰り返し

自信を細かく切り刻んで、わたしたちは作る。


「問題は、なにを作るか」

組み立ての進まない、わたしの骨格標本

躍動するまえのジンベイザメ。

そのしたに寝転ぶわたしは、まるで


「食べられる」


目を閉じて。

忍び足の睡魔

思い出すのは、カンバスに向かうあの姿。


芸術家とは、苦痛だ。


「喰われてやるもんか」


そのまま、海の渦に飲まれてしまえ。



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