*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋4』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第4章です⇒
story.30:『アートロ』
水嶋:「例え、本当に心当たりがなかろうと俺たちは貴方の安全確保のために来ました。
槐にはシュウ以外にもまだ確認されていない仲間が---------!?」
水嶋はそう言いかけた瞬間、ハッとしていきなり埼の肩を掴むと、すぐに姫井の方へ突き出した。
埼:「きゃっ!?」
姫井:「------------水嶋!」
姫井に名前を呼ばれた時、水嶋は声を上げた。
水嶋:「どけー!!」
水嶋はそう言った瞬間、埼の背後に立っていた男を突き飛ばす。
------------ドンッ!
それと同時にナイフが埼と姫井に向かって投げられた。
姫井:「!」
高柳:「姫井先輩!」
姫井は埼を咄嗟に庇う体勢になったが、すぐに埼と一緒に床に突き飛ばされる形で横たわった。
高柳:「ッ…」
姫井:「!た、高柳!?」
すぐに高柳が助けてくれたことを知った姫井が起き上がったが、ナイフは映像撮影用のカメラレンズに命中しており、高柳も無事で済んだ。
だが、それだけでは終わらない。
水嶋は突き飛ばした当人が、埼に向かってナイフを投げただけでなく、その直後に後ろ向きにステップを踏み、水嶋たちから距離を取ったことに気が付く。
水嶋:(あの身のこなし!)
間違いない、槐の仲間だ。
水嶋がそう確信した時、スタジオの机上に着地したのは、茶色い癖ッ毛頭の男性ADだった。
やたら前髪が長くて、ここにいるスタッフも顔をよく覚えていなさそうな…。
男性ADはどこからともなく、犬の仮面を取り出し、顔を覆った。
そこでようやく猫背だった背筋を伸ばし、こちらに向けて顔を上げた。
すると、男は机上で立ち上がるなりこう言ってきた。
仮面の男:「…あーあ。
失敗しちゃったなぁ……せっかくシュウくんの弔い合戦してやろーかなーって、思ってたのに」
水嶋:「心にもねー事言ってんじゃねーぞ、ガキ」
仮面の男:「えー酷いなぁ…。
僕ちん、本気と書いて"マジ"っすよ〜!」
犬の仮面の男は、小馬鹿にしたような態度で机上で片足立ちをしたりして踊ってみせる。
仮面の男:「まぁ、シュウくんには悪いけど……僕ちんは言われた通りここには来たし、今御用されちゃうのはヤだしぃ〜〜」
仮面の男はむくれたようなことを言ってから、人差し指を出してこう続けた。
仮面の男:「それに、僕ちん今回だって何にも悪い事してないし?
ちょっとカメラレンズを壊してみたかっただけだしぃ!?」
水嶋:「よく言ってくれる…」
水嶋は顔色一つ変えずに、仮面の男を睨み据えながら問い掛けた。
水嶋:「お前は誰だ。
あと、どうして槐に協力する」
水嶋がそう考えると、仮面の男は腕を組みながら仁王立ちしてこう言ってきた。
仮面の男:「僕ちんの名前は…そうだな、敢えて"アートロ"とでも名乗ろうか♪
あ!その先はぁ、ひ・み・ちゅwww」
そう言うと、犬の仮面の男こと、アートロは天井へ向かって大きく飛び上がる。
鉄筋に掴まったアートロは、こちらに向かって言ってきた。
アートロ:「じゃあ、またいつか逢おうね水嶋律さん☆」
姫井:「!待ちなさいっ!」
アートロはそう言って、天井にあった空気孔へと逃げ込んだ。
姫井と高柳が追い掛けようとした時、石塚がそれを止める。
石塚:「今から行っても間に合わんよ」
高柳:「ですが、警部!」
水嶋:「高柳、姫井。
石塚さんが言うんだから従え」
水嶋はそう言いながら、再び埼のところへ近寄るなり言った。
水嶋:「"今回は"見逃してもらったみたいですが、まだ油断なりませんから……とりあえず番組は降板して、署の方に来てください」
埼:「で…すから、私は…」
水嶋:「分かってます。
名前だけ聞かれても分かりませんよね。だから、確認してほしいんです……本当に知らないのか、どうかを、ね。」
埼:「………………………。」
水嶋の問い詰めるかのような誘いに、埼はもうこれ以上言い返せなくなり、無言で観念すると、水嶋たちと共に警察署へ向かうこととなったのだ------------。
--------------------------…
日和テレビ放送局・屋上。
その空気孔から、先ほどの犬の仮面の男・アートロは出てきた。
アートロ:「ぷっはー!生き返った〜!」
そう大声を上げながら、アートロは勢いよく外へ出たが、一つある問題と直面した。
アートロ:「ってか寒ッ!!
スタジオん中、温かかったから完全に油断した〜!!」
薄手の長袖一枚という格好だったアートロは、身を震わせながら屋上からふと地上を見下ろした。
すると、先ほどの水嶋と他の3人の刑事が埼美代を引き連れて車内に乗り込む姿を見付けた。
と、その時------------水嶋がこちらをパッと見上げた。
アートロ:「おっ、気付いた?
オーイ♪お勤めごくろーさん!」
アートロはそう明るく言いながら大きく水嶋に向かって手を振ったが、水嶋は怪訝な表情を変えぬまま車内に乗り込んだ。
アートロ:「ありゃ…ありゃりゃりゃりゃりゃ〜……無視かよ!」
水嶋たちが乗った車はすぐに神奈川警察署へ向かって発車する。
アートロ:「あーあ、行っちゃったなぁ…」
アートロはつまんなそうに言ってから、星が少ない澄んだ夜空を見上げながらこう口にした。
アートロ:「水嶋って人、良い感じだなぁ…」
"ご主人様"が言っていた。
槐ゲームの登場人物は最初から決まっていたんだ、と。
自分たちはもっぱら"エキストラ"に属しているから、今回のような結果や前々回のリオこと、酒田雅春のように自殺するのは基本的に自由なのだ。
アートロ:「いや、僕ちん死にたくはないんですけどねぇ…」
つまり自分たちがエキストラならば、"ご主人様"は製作者兼黒幕と言ったところだろう。
被害者たちは"ターゲット"。
アートロ:「槐たちは、攻略対象……つまり"ヒロイン的存在"。」
だから、槐ゲームでの彼らは決して主役ではないと"ご主人様"はお考えなわけだ。
アートロ:「槐ゲームの本当の主役は------------"水嶋律"。」
とは、言ってなかったものの。
少なからずあの水嶋は槐ゲームを進行するに必要な存在であることは間違いないらしい。
アートロ:「彼は、主役か…キーマンか。どちらにしろ"ご主人様"は水嶋さんを槐ゲームの登場キャラに入れたからねぇ…」
ということは、ひょっとしたら水嶋を殺してしまえば、この槐ゲームはあっさり終わるかも。
アートロ:「なら、僕ちんがすることって決まってるじゃん?」
アートロは陽気に身体を動かしながら、夜空に向かってこう声を出した。
アートロ:「ゲームを盛り上げつつ、槐たちと水嶋さんを最期まで守護するのが僕ちんの役目!」
アートロは両手を広げながら、楽しげに呟くように言った。
アートロ:「ねっ、"ご主人様"…」
自分も、憎い奴がいる。
そいつを殺す時が来るまでシュウのような失態は犯さないよ。
------------だって今、最っ高に楽しいんだもん♪
アートロ:「……はーっくしょんっ!!」
1月の凍えそうな真冬の夜。
薄手の長袖一枚だったアートロはその後、熱を出して寝込むことになる。
------------To be Continued...