*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.27:『強さ』
一週間後の午前------------歩美は不安な気持ちを抱えたまま、急いで荷物を纏めていた。
義弟の七条直弥のことも気になるし------------…それに、義母が来る前に警察の、水嶋たちに会いに行かなければ。
歩美:(やっぱり…、直弥くんに殺人なんてさせちゃダメ!)
その時、歩美はふと亡くなった実父が直弥に言っていた言葉を思い出した。
『直弥くんが"第7の槐"だと言うことは、何が何でも信じるつもりはない------------』
歩美:(そうよ…、お父さんは直弥くんに復讐してほしいだなんて頼んでないわ)
だけど、歩美には気になることがある。
『…っ……でも僕、もう……ムリだよ------------…"あの人"のこと、忘れたいんだ。』
直弥も自分の父親を失い、やっと親しくなれた歩美の実父も実母が殺害し、しかもその実母は直弥の父親を殺しているかもしれない。
直弥には、耐えられないのだ。
『"槐ゲームに参加すれば"…………お母さんの記憶を消してくれる。』
……そういえば、槐事件の過去の容疑者は全員、共犯者たちにより催眠術でマインドコントロールをされ、記憶喪失になると何度もニュースで聞いたことを、歩美は思い出した。
直弥は、最初から自分の父親を殺害した女を復讐した後、記憶を消すことを望んでいたのか。
歩美:(気持ちは…分かる、けど------------)
そのために殺人をしなくちゃいけないっていうのは、絶対に違う………そう思っていた時、病室の扉がノックされて、扉が開かれた。
水嶋:「歩美さん。失礼して、大丈夫ですか?」
歩美:「あ…、はい!」
歩美は荷物を纏め終わったところで、ボストンバックのチャックを閉めてから後ろを振り返る。
水嶋以外にも見たことのある刑事さんが顔を揃えるなか、一人だけ知らない初老の男性を見付けた。
歩美:「…?」
水嶋:「あ、あぁ。初めまして、だよね。
歩美さんたちが暮らしている街の警察署の刑事課所属で------------…」
舘巻:「舘巻哲也、と言います。よろしくね。」
舘巻という男性は、わざわざ名刺を手渡してくれる。
歩美:「あ…あの、初めまして。
七条歩美です!……でも、どうして地元の刑事さんが?」
歩美は小首を傾げながらそう尋ねると、水嶋はこう言った。
水嶋:「こちらの舘巻さん。
直弥くんの実のお父さんが溺死した際に、事件を捜査している人なんだ。
…今は難航していて、詰まってしまっているそうだが」
舘巻:「水嶋ァ!!余計なことは言わんで宜しいっ」
と、言った直後に軽く拳を作って水嶋の頭を殴る舘巻を見て、高柳や石塚たちがちょっと困惑していたが、歩美だけは少しおかしくて笑ってしまう。
なんだか、ただ同じ刑事だという関係ではないようだ。
歩美:「…ご、ごめんなさい。」
舘巻:「いやいや。
お父様が亡くなったばかりだと聞いていたから、お話が出来るか心配だったんです。
……私の話、聞いてもらえますかね?」
舘巻からそう聞かれた歩美は、強く頷いてからこう言った。
歩美:「…私も、水嶋さんたちに急いでお話をしたいと思っていました。
あの日、私を襲った犯人のこと………それから、」
歩美は一度、一息飲んでから彼らに言った。
歩美:「直弥くんのことを…」
水嶋:「…先ずは、歩美さんの話を聞くのが先みたいだな。」
水嶋の言葉で、一旦それぞれその場で落ち着いてから、歩美は正直に話を始めた。
歩美:「……私を襲ったのは、お義母さんです。
黒いレインコートを着ていて、血も…付いてた……っ…だから、お父さんも…っ!」
歩美は必死に涙を堪えながら、震えた両手を膝の上で強く握り締めている。
水嶋はそんな歩美を見て、申し訳ない気持ちになる。
水嶋:(あの時…可能性に気付くのがもっと早ければ…!)
水嶋も後悔をしていた。
もっと早く、もっと早く……と、今さら思ったところで歩美の父はもう二度と帰って来ない。
一週間が経過した本日、父親の遺体が司法解剖などの検収から解放され、戻って来る。
だから今日は一日、葬儀のことでいっぱいになるはず。
落ち着くまでは、何も起こらないはず------------…。
歩美:「…直弥くんのお父さんも、たぶんお義母さんが殺したんです。
一週間前、直弥くんが話してくれました…。
"アンタのせいで"って、言ったんですよね……あの人ッ」
歩美は悔しさを滲ませた表情をしながら、目を熱くさせる。
信じていた人間に裏切られ、大切な人間を失った彼女…。
犯人の顔を知ってしまった彼女には、憎しみが募っていた……それはよく分かる。
だが、歩美はすぐに不安な表情をしながら、こう言ってきた。
歩美:「…直弥くんが、一週間前に言ってました。
"槐ゲームに参加すれば、お母さんの記憶を消してもらえる"って……」
高柳:「直弥くんが…っ」
白波:「なぜ、早く我々に教えてくれなかったんですか」
白波が責めるようにそう言うと、歩美は俯いたまま、無表情で言ってきた。
歩美:「気持ち、分かるから…。
私も…出来るなら、あんな嫌なこと、すぐに忘れたい。
直弥くんは…2人もお父さんを殺されたんです……!
殺したいほど憎い相手も分かったのに、その相手は私も赦せない人間なのに……ッ…"記憶を消したい"って言われて…っ……私…私……!」
姫井:「歩美さん……ごめんなさい。デリカシー無くて」
両手を顔で覆いながら、声を出して泣く歩美の隣で、姫井が彼女を抱き寄せて慰める。
姫井がキッと白波を睨みながら、"黙れ"と無言で訴えると、白波は口を尖らせて黙る。
歩美も、今日まで悩んだ末、ようやく打ち明けてくれたのだ。
とはいえ、穏やかではないことは確かである。
水嶋:「直弥くんは、槐ゲームに参加するつもりなんだな?
今日、直弥くん……ここへ来る予定は?」
歩美:「ふッ……っ……い、いいえ。
お義母さんが……昼頃に迎えに来るって。」
そう言った後、歩美は怯えた表情で言ってきた。
歩美:「どうしよう…っ……私、お義母さんが迎えに来たら、何処かで……っ…こ、殺されちゃう。
その前に、直弥くんが…っ……槐になっちゃったら---------…」
歩美は息も飲めないまま、水嶋たちに向かって言った。
歩美:「…独りぼっちになっちゃう。
だから…っお願いします!
今すぐ直弥くんのところへ行ってください!
直弥くんのことは、私が責任持って……守りますからっ!」
歩美は立ち上がるなり、深々と頭を下げた。
水嶋がその姿を見ていると、舘巻は水嶋をじっと見てきながら言った。
舘巻:「俺の話より断然、一刻を争うな。どうする?」
舘巻からそう言われた水嶋は、歩美の方を見ながら言った。
水嶋:「行こう…。歩美さんも、一緒に。もし、槐になっていたら…止められるのは、歩美さんしかいない。」
歩美:「!はいっ!連れてってください!」
水嶋の判断で、歩美も一緒に七条家へ向かうことになる。
石塚と舘巻は、もしもに備えて逮捕状を請求・受け取りへ警察署へ向かい、水嶋は歩美と、高柳、白波、姫井を連れて七条家へ急行したのだった。
------------To be Continued...