*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.28:『犠牲者0』
急いで、自宅へ駆け付けた時、既に七条直弥は槐と化していた。
水嶋たちの協力により、直弥の母親を確保することが出来てホッとした------------その時。
水嶋:「あっ……くぅっ…!」
直弥の前に跪いた水嶋が苦し気に声を出し、視線を落とす。
水嶋の腹部から、血液が溢れるように流れていた。
歩美:「……………。」
歩美は、この目でしっかりと見てしまった………直弥が水嶋をナイフで刺してしまうところを。
だが、すぐに直弥の体や手が震えていることに気が付いた。
そして直弥は、震えた声で床でうずくまる水嶋に問い掛けた。
直弥:「み…水嶋さん、だっ…大丈夫、ですか…?」
直弥がそう言った時、水嶋は何かに気付いたように問い掛けた。
水嶋:「な…おや、くん……まさか、一瞬だけ…意識無くしてた?」
直弥:「…っ!」
直弥はそう問い掛けられると、頷きながら涙していた。
震えながら泣く直弥を、歩美は困惑しながら見守っていると、ふと視界に人影を見た。
ダイニングルームに立つ、鳥の仮面を被った人物。
水嶋も、その人物に気付いたのだろう。
水嶋:「鳥の男…!そこにいろ!
今から…俺が、逮捕しに行って------------ッ!」
水嶋は腹を庇いながらどうにか立ち上がり、鳥の仮面の男を追って自分たちの傍から離れてゆく。
歩美:(------------…あ、そういえば…)
槐事件はマインドコントロールによって、槐すら操って事件を起こしている。
ニュースで何度も聞いた情報が脳内に過って、歩美はハッとしたのだ。
歩美:(直弥くんも……操られたんだ…!)
先ほどの鳥の仮面の男に、自分の意思とは関係なく……。
歩美:("自分たちの目的のために"…っ!)
なぜ、直弥がこんな目に遭わなければならなかったのだろう。
なぜ、直弥が"第7の槐"にならなければならなかったのだろう。
なぜ、直弥の周りで悲惨なことが立て続けに起こるのだろう。
自分はこれからどうやって、直弥を守っていくべきだろう。
イジメ問題の時、必死に直弥のことを思って助けてくれた……自分たち家族の絆を繋いでくれた、しかも警察である水嶋を刺してしまった直弥は、裁かれてしまうのだろうか。
マインドコントロールが、立証されるのだろうか。
歩美:(でも、第7の槐だと知られてしまったら…)
歩美がそう考えていた時、義母に腹部を刺されていた直弥の額に熱い汗がだらだらと溢れてくる。
座っていられず、直弥は床に倒れそうになった。
歩美:「直弥くん、しっかり!」
直弥:「うぅっ…」
辛そうな表情のまま、直弥が瞼を閉じてしまった。
歩美も冷や汗を掻き出した時、なぜか2階から足音がして歩美の背後に立ち、歩美の横から顔を突き出して言った。
?:「うげッ!?7代目、誰にヤられたの!」
歩美:「きゃあッ!?」
歩美は咄嗟に直弥を抱き寄せながら、その人物から離れる。
歩美はその人物に心当たりがあった。
確か、ニュースで何度か聞いたことがあった犬の仮面の男。
歩美:「あなた…、アートロ!?」
アートロ:「ピンポンピンポン大せいかーい♪
------------っじゃない!ってかどうしたの?何で7代目の腹から血が!」
アートロは困惑した様子で自分に尋ねるが、歩美の中では不信感が募り、怒りながら訴える。
歩美:「"何が"じゃないわよ!
あなたたちのせいじゃないっ!
あなたたちが復讐なんてさせるからっ…!」
歩美は泣きながら、アートロを責めた。
歩美:「これ以上、直弥くんを傷付けないでよ…!あなたの仲間のせいで、直弥くんがっ……水嶋さんを刺しちゃったんだから!」
アートロ:「!------------それは、鳥の仮面の男か?」
アートロの声音が一変し真面目になるが、歩美は構えなかった。
歩美:「そうよッ!…どうしよう………水嶋さん、刑事なのに!」
歩美は泣きながら、アートロに話していた。
歩美:「直弥くんは…っ……ただ、お義母さんの記憶を消したかっただけ。
それだけのために、槐になんかなって…っ」
アートロ:「……ごめんね。
僕ちんたちも、直弥くんを巻き込むつもりはなかったんだ。
ただ、"直弥くんしかいなかったんだ"…」
アートロはそう言うと、直弥の額に手のひらを充てた。
アートロ:「けど、君の望みは叶えるよ…」
アートロはそう言ってから、ほんの数秒で手を放す。
すると、部屋の奥から水嶋の声が聞こえてきた。
水嶋:「"川平"くん…!------------…ッてぇ!」
水嶋のそんな声がした直後、アートロが鋭くダイニングルームの方に反応を示す。
すると、アートロは歩美にこう言ってきた。
アートロ:「…大丈夫。直弥くんは何の罪にも問われない。
そのために、僕ちんたちがいるんだから…」
アートロはそう言ってから、水嶋のもとへ急行した。
それから数秒後、異変に気付いた高柳たちが家の中へ入り、部屋の奥へ進んで行った。
先に救急車で病院へ運ばれた直弥と一緒に歩美も同行したが、時を同じくしてから水嶋も警察病院へ救急搬送されたことを他の警察官から聞いた。
直弥は自分の母親のことと事件の記憶は消えていたが、自分のことや水嶋のこと、歩美の父親や自分の父親の記憶だけはあった。
------------それから3日後、自宅のダイニングルームのテーブルに置かれた昼食の中にあったコップから毒物が検出され、歩美の父親殺害の証拠や過去の前夫殺害容疑の最重要証言などがきっかけとなり、直弥の母親は正式に逮捕されたのだった。
------------To be Continued...