*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.29:『悪女の企みとは』
3日後------------七条直弥の実母は、過去の前夫殺害と現夫殺害の容疑、そして実子である直弥を毒殺しようとした事により、逮捕・起訴された。
前夫殺害の時の重要証言では、自らの不倫が原因で離婚を迫られていたらしい。
実子である直弥の親権を獲得すれば、前夫の保険金が手に入る。
前夫は直弥の実母ではなく、受取人を直弥にしていた。
しかも万が一を考えてか、直弥が受け取れない場合は孤児院へ寄付すると、正式な遺言書のもとで記していた。
実母がその事実を知ったのは前夫が亡くなった後。
------------前夫は死ぬ前に大声で直弥を呼んでいたらしい。
だが、自分が現場から立ち去る際に、肝心の直弥が布団で寝ていたと思い込み、そのまま外出したのだと観念したと言わんばかりの口振りで実母は証言した。
だが、警察を呼んで事故だと思わせる作戦を練っていた実母は落とし穴と直面した。
直弥が実父の叫び声を聞いていたこと、それに確認のために自分が襖を開けていたことを聞いていたと証言し、事件として扱われてしまったのだ。
だが、直弥はちゃんと声を聞き取っていたわけではなく、実父が生前残した遺言書のこともあり、実母はどうにか直弥名義で保険金を手に入れることが出来た。
水嶋:(そして金が底を尽き始めた頃、"新たな獲物"を見付けたというわけだな…)
歩美の実父も、多額の保険金を歩美名義で遺していた。
だが、今回はちゃんと自分も正式な受取人として記載されている。
とはいえ、貰えるのは半分。
全額を受け取るには歩美の存在が邪魔だった。
だから、先に現夫を『お願いだからすぐに来て!』と大袈裟に真に迫ったような言い方で呼び出し、歩美の時と同様に後ろから襲い殺害した。
歩美も殺すつもりだったが、直弥が思ったより早く帰って来た上、歩美が『逃げて』と叫んだことで彼女は慌てて庭から逃げ出したそうだ。
直弥の実母が犯行時に来ていた黒いレインコートや手袋は、既に処分されていたものの、歩美の目撃証言が最重要とされ、不要となった直弥を毒殺しようとした事実は返す言葉がなく………と、言ったところか。
水嶋:「…それにしても、情報早いだろ。畜生がッ!」
病院の個室のベッドの上で週刊雑誌を読んでいた水嶋は、呆れたような物言いをしながら雑誌を軽く足元の方へ投げた。
雑誌のページには、『保険金目当てで殺人を犯した悪女』と続き、『悪女の実子は復讐者・第7の槐-エンジュ-』と記されている。
水嶋:「長尾のヤツ〜…」
水嶋は額に手を充てながら、めんどくさい性格の雑誌記者・長尾実を思い出す。
最近、部下である姫井に入り挙げているらしく、第5の槐事件の直前もミュージシャンのライヴへ2人で出掛けたとか。
水嶋:「非常に心配だ…」
もちろん、姫井のことだ。
水嶋:(アイツ、男運なさそうだし…)
とか失礼なことを言いながら、水嶋は足元に投げた雑誌の内容を眺めた。
『第7の槐は、殺害された実父と義父の敵打ちをするために実母に復讐をしようとしたが、義姉と警察官が止めに入る。』
『第7の槐事件は事実上、犠牲者0となり警察官僚関係者は指揮官・石塚紀章警部を高く評価。
しかし、第7の槐はこれまでと同様にマインドコントロールを懸けられ、記憶喪失に…』
記事には、警察を称えると同時に直弥の潔白を訴える内容だけが書かれており、直弥が警察である自分を刺したことは一切書かれていなかった。
水嶋:(それには、感謝しねーと…なァ……)
そもそも、自分は直弥を訴えるつもりは端から無い。
それよりも大事なのは、これからの直弥と歩美の処遇について。
若月理沙がいるとはいえ、殺人犯の実子……ましてや第7の槐だった直弥はもうあの中学校へは通えない。
歩美も、今は高校へ通うのは辛いだろう。
だからといって、父親が死んだあの家に2人ぼっちにさせるわけにはいかない。
直弥が退院して帰宅した時、記事を読んだ勘違いな奴らが何を仕出かすかも解らない。
水嶋:(…なら、俺が出来ることは"アレ"しかねぇじゃねーか)
水嶋がそう思いながらフッと笑っていた時、扉がノックされた。
水嶋:「あ、あぁ…。どうぞー」
水嶋が声を掛けると扉が開いて、久しぶりに見た顔がこちらを覗き込むようにして見ながら、姿を現した。
水嶋:「田原社長!」
田原:「水嶋さん!お久しぶりです!
入院したって聞いて、お見舞いに来ました。
あ。加藤も後から来ます!ほら、薫も!」
田原はそう言って、後ろにいた六条薫を病室の中へ誘導する。
薫:「お邪魔します…」
薫は杖を付きながら、水嶋がいるベッドの近くにあった椅子に腰掛けた。
薫は、当然だが気まずそうな顔を浮かべている様子だった。
最後に会った時のこと、少なからず気にしているのだろうか。
だとしたら、救いなのだが…。
水嶋がそんなことを考えているとは知らない田原も薫の隣にある椅子に腰掛けると、水嶋にこう尋ねてきた。
田原:「聞きました。
槐事件の捜査で刺されたそうですね。
…良かった、元気そうで」
水嶋:「ご心配を御掛けして、すみません。
それと、わざわざ有り難う御座います!
怪我は大事ありません。あと5日もすれば、退院する予定ですから。」
水嶋がそう言ったところで、田原のケータイ着信が鳴る。
田原:「ん?会社からだ。
すみません!ちょっと出てきますので、薫をお願いします!」
水嶋:「はい。行ってらっしゃい」
ガチャン------------と、扉が閉まり、2人きりになった病室。
すると、薫はハァ…とため息を付きながら口を開く。
薫:「病人の律さんよりも危ないって思われてるって…。僕はそこまで間抜けじゃないのに…」
口を尖らせながら、先ほどの田原の言葉に対してふて腐れる薫を見て、水嶋は思わず笑みが溢れる。
田原は相変わらず、薫のことを大事に思っている……なのに、当の本人も"相変わらず"で。
水嶋:「薫くんはある意味、危険人物だと俺は認識してるけどな」
薫:「…………そうですか。」
水嶋の言葉で、薫は深く考える表情をしながら黙り込む。
すると、しばらく沈黙が流れた。
だが、その沈黙を破ったのは薫の方だった------------…。
------------To be Continued...