*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.30:『後悔の古』
------------沈黙を破ったのは、六条薫の方だった。
薫:「…本当は、水嶋さんとは一生会うつもりはありませんでした。
今日だって、社長に言われたから来ただけです……」
薫はそう言い訳のように口にしながら、気まずそうな顔を浮かべている。
水嶋:(まぁ、そりゃそうだろうな…)
第6の槐事件の犯人は、薫------------水嶋がそう告げた時、薫は否定していた。
薫が万が一、本当に槐だったとしても違っていても、彼が佐々木カケルと矢代佑、そして六角恵梨香を憎んでいることは紛れもなく事実なのだ。
水嶋は、やはり薫のことは放っておけない。
水嶋:「……薫くん、俺はやはり…復讐なんて賛成出来ない。
俺は、薫くんみたいに復讐心を抱き…無茶をした少年を、知っている。」
水嶋の脳裏に、一人の少年が思い浮かべる。
薫:「槐たちのことですか?」
薫がそう聞くと、水嶋は首を横に振ってから言った。
水嶋:「もう…17年前になる。」
薫:「17年前…」
薫の脳裏に、"ご主人様"の言葉が過った時、水嶋は話をした。
水嶋:「俺は、ある事件で顔見知りの……自分を慕ってくれた子たちの危険を知って、彼らに駆け付けた……」
------------そう、あの『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』。
水嶋:「駆け付けた時、一人の少女が既に死んでた…。変わり果てた姿で……、可哀想に、犯人に好きなように扱われて………」
大人しくて、清廉だった少女が、服を見出して涙の跡を頬に残したまま、双子の少女たちと一人の少年の中で亡くなっていた。
水嶋:「犯人が、まだ近くにいて……しかも、なぜか拳銃を所持していた。
俺はそれに気付いて、咄嗟にあの子たちの盾になった……」
水嶋の話を聞いていた薫は、怯えたような表情になりながら耳で話を真剣に聞く。
薫:(水嶋さんの話しは……ひょっとして------------…!?)
いつか、"ご主人様"から聞いた話と似ている気がした薫は迷ってしまう。
自分は、この話を聞いて良いのだろうか。
水嶋:「……男の子は、死んでしまった女の子のことが好きだったんだ。」
薫:「------------…」
水嶋の一言で、薫は"ご主人様"の言葉を思い出した。
『私は、彼女を…大好きだった人を助けてあげられなかった。』
『しかも、自分たちを守るために……水嶋さんが…ッ……------------拳銃で、撃たれたんだ。』
薫:("ご主人様"……そうか、あなたの目的は------------…)
薫が、槐ゲームのすべての謎を理解した時、病室の扉が開いた。
------------ガラッ!
高柳:「水嶋先輩っ!」
入室してきたのは、高柳だった。
高柳は一瞬、第6の槐かもしれない薫を見て驚いたような顔を浮かべる。
水嶋:「…どうした騒々しい。
お前、ここは病院なんだぞ?」
高柳:「す、すみません…。
ああっいや!そんなことより!
大変なんですよ…!」
高柳がそう言っていると、後から田原と花束を持った薫の同僚女性・加藤智秋が入ってきた。
だが、高柳は遠慮せずに伝えてきた。
高柳:「…警察病院の、精神科医の川平先生が突然、辞職する手紙を上司の机に置いて消息を断ちました------------しかも、"3日前"だそうです!」
水嶋:「!なっ、何だと!?------------ッくぅ!」
水嶋は無理やり動き出そうとして、腹部を痛めてしまう。
高柳:「水嶋先輩!落ち着いてください!
僕たちもついさっき、沢田先生から聞いたんです!今、姫井先輩と沢田先輩が川平先生の自宅を訪ねに行ってます」
高柳の言葉を聞いて、薫はハッと思い出す。
あの…誠が死んだ日以来、真っ暗闇だった視界が一時的に開けたあの夜に見た、白衣姿の鳥の仮面の男こと、Rのことだ。
水嶋:「早く!アートロたちよりも先に見付けて逮捕すんだッ!
でねぇと、アートロのあの口振りからしたらマジで川平くんが----------!」
田原:「と、とりあえず落ち着け水嶋さん!
元々が強面なのに迫力満点だぞ?」
水嶋:「っ!…す、すみません。
けど、けど、けど------------…!!」
水嶋はベッドに拳を叩き付けて、眉間に皺を寄せながら辛そうな表情をして言った。
水嶋:「槐事件が発生して、一つ…また一つって追い続けるたびに………っ!」
水嶋は、ずっと心に溜めていた想いを吐き出した。
水嶋:「17年前もそうだ!
目の前に犯人がいたのにっ…逮捕することが出来なかった!
槐事件も、俺はまだ…誰一人逮捕出来ていないっ!」
高柳:「水嶋先輩、それ以上は………!」
その時…高柳は、気が付いた。
水嶋:「嫌なんだ…っ……!
槐事件が始まるたびに、俺があの事件の中心にいるって核心突かれるたびに、あの時のことを思い出す!
あの時…っ……あの時、アイツを逮捕しなかったことを……復讐されているように思えて……」
涙が、大粒でポツリポツリとベッドの布団に落ちて、染みる。
水嶋の孤独を急に目の辺りにして困惑する高柳の側で、薫は同じく水嶋を心配しながら心の中で問い掛けた。
薫:("ご主人様"……あなたは、水嶋さんを傷付けたいんじゃないんでしょう?)
薫は、素顔の見えない"ご主人様"にそう思いながら、両手を握って願う。
薫:(お願い……"あの時の言葉"が嘘でないなら、これ以上…槐ゲームは止めた方がいい。)
それに、先ほどの高柳の話も気になる。
鳥の仮面の男こと、Rが消息不明の状態になってしまうだなんて。
それでは、自分の復讐…ラストゲームはどうなるのだ。
彼は、何かしてしまったのか。
それとも、"ご主人様"からの命令を受けて行動に移している?
薫:(水嶋さんも、きっと…いや、僕以上に何か予感を察しているはず…)
薫がそう思っていた時、水嶋が泣き顔を上げて小さく言った。
水嶋:「…槐事件……川平くん………アートロ…………。嫌な感じがしてならない…っ………それに、俺は入院をしている場合じゃねぇ」
少し冷静さを取り戻した水嶋は、高柳を見て、ある衝撃的な発言をする。
それを聞いた高柳は、しばらく唖然とその話を聞いてから、上司に報告するために一度、警察署へ戻って行く。
水嶋も、薫も、それぞれ思惑を胸に秘めながら、鳥の仮面の男の動向に恐怖すら感じていたのだ。
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