なんとなく、沖田ハピバの小話の続き。
沖田ハピバ小話(7/8)を読んでから読んでくださいね。つうか閲覧注意です。
↓以下閲覧注意です。多分キャラはキャラとして生きてないと思われます。イメージ崩したり、「何これこんなのトッシーじゃないわ!!」とか思いそうなファンの方は見ないで下さい。
沖田が去っていったのを見て、土方は消した煙草に視線を落とした。
そうして、自嘲気味に微笑う。
『……本当に欲しいものはたった一つなんでさぁ。…俺ぁそのたった一つを見つけちまった。あとは誰にも渡さねぇように閉じ込めておくだけでさぁ。』
『…俺には、土方さんみたいな生き方はできない。
目の前で守ることを恐れて突き放すような真似は、死んだって出来やしねぇ。
その間に…俺の見ていない間に、大事なものを失うことのほうが、何百倍も恐い…。』
…恐い、か…。
沖田の言った言葉が、誰を指しているのかは土方にはよくわかっていた。
想いを告げることも、守り通すこともできなかった一人の女。
土方「…恐い……か。……そうだな。」
さっき沖田に向けていった言葉を、一人でまた繰り返す。
女は沖田の姉だった。
幼い沖田を、母代わりになって育てた、華奢で儚げで、心根の優しい女だった。
沖田と同じように自分たちの世話も焼くその女を…
俺は愛していたのだろうか?
自分のような男が、彼女を幸せにできるはずがないと、突き放した。
自分ではない誰かと、幸せになってほしいと。
だが、それは本当に愛していたといえるのだろうか?
本当に愛しているのなら………
沖田の言うように、手放すことなど出来るだろうか。
それに気付いたのは、つい最近だった。
主「……さん……。」
土方「???」
聞こえてきた声に、土方は顔を上げた。
月明かりに包まれたそこに、綺麗な着物の女が立っている。
主「土方さん。」
土方「……オメェか。」
土方は、何処か優しく微笑んだ。普段、誰にも見せないその顔は、どこかホッとしているようにも見えた。
主「そろそろ見張り、交替の時間でしょう?差し入れ、持ってきたよ。マヨネーズも、ね。
…あれ、沖田さんは?」
土方「ああ…いいんだ。交替、山崎に任せることにしたから。」
主「…え…。山崎さん、徹夜になっちゃうんじゃない?」
土方「平気だ。山崎なら。」
主「またそんな……。」
クスクス笑いながら、それでも嬉しそうな女は、土方に歩み寄る。
土方はその肩をグッと抱き寄せ、すぐに自分の胸の中に閉じ込めた。
主「……土方さん…」
女は土方の胸に頬を寄せる。
土方の鼓動が少し早くなって、心地よかった。
土方「………部屋、来るか?」
主「…うん。」
そっと囁けば、女は小さく頷いた。
今、ここにいるこの女を手放すことは、多分土方には出来ない。
たとえ、自分より優しく男らしく、誰よりこの女を幸せにできるという男が現れようとも、どれだけ真選組の職務が危なく厳しいものでも
もう手放すことは出来はしない。
…沖田の気持ちが痛いほどわかっていた土方は、改めて認識したその気持ちに苦笑した。
主「…土方さん、どうかしたの?」
土方「…ん?なんでだ?」
主「……すごく、熱っぽい目、してるから…。」
土方「…そんなもの、決まってんだろ。」
主「え?あ……ん…」
荒々しく口付けて、それ以上の言葉を塞いでしまう。
……目の前の女を愛していることに、気付いてしまったから…。
…自分が今まで沖田の姉に持っていた感情は…愛ではなかったことに気付いてしまったから。
沖田の姉が、沖田に注ぐように自分たちに注いでくれていたのは、母のような愛情。
俺たちは一人の例外もなく、それを慕っていた。
土方にとっても、きっとそれだけだった……。
やっと離れた唇に、少し呼吸を荒くした女が、潤んだ瞳で土方を見上げている。
土方「…本当に欲しいものは…たった一つ…それを一つを見つけちまったらあとは…誰にも渡さねぇように閉じ込めておくだけ…か。」
主「え?」
さっきの沖田の言葉を無意識に繰り返した土方に、女は小首を傾げる。
土方「二度と……見ていない間に大事なものを失うことなんか、ねぇよ……。」
沖田に毒づくように呟いてから、土方は女を抱き上げた。
主「きゃ……」
土方「……来いよ。今夜は、帰さねぇ…。」
主「……もう………」
仕方ない、というように微笑む女を抱いて、土方は歩き出す。
月明かりは、未だ煌々と光り輝いていた……。
山崎「……なんでこうなるんだ?」
駄文パート2ですすいません!!!!