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まほうのひと。

更新出来ないのが、申し訳ないので、学パロ戌丑。

【まほうのひと】

戌亥に会う為に、施設を抜け出てきた。
戌亥というのは、俺の好きな保険医の事だ。
馬鹿みたいに、純粋に、俺の事が好きなのか、どうか分からないけども、温もりが欲しくて、俺は、駄々っ子のように戌亥を求めてしまう。
戌亥が好き、だ。
角砂糖みたいな甘い恋なンて、求めてなかったし、いらなかった。
それなのに、アンタは俺を甘やかすから。
今日確か、宿直だったよな、と思い、施設で貰った、シューズのまま、保健室の窓を叩く。

「…」

しばらく、無言で、こりゃ、どっかいっちまったのかな、戌亥と思い、寒い中、無駄足踏んだ、と思うと、窓がガラリと開いた。
黄色い難燃性のカーテンが、冬風に舞う。

「どうしたの?丑嶋くん、寂しくなった?」
「馬鹿じゃねぇの。俺が寂しいとか、キモいだろ…」
「キモくないよ。おいで」

と云うと、戌亥は、俺の両脇に腕を突っ込み、抱き寄せた。

「よいしょ…」

といい、保健室に招かれる。
ストーブと、その上に乗せられた薬缶が、今にも吹き出しそうだ。

「お腹すいてない?」
「少し、空いた」
「じゃあ、カップ麺食べる?何がいい?色んなのあるよ?」
「そうだな…じゃあ、赤いきつね」
「うん、そうしよっか」

戌亥の顔を見られるのも、後は数える程。
だから、余計に。
卒業なんてしたくない、アンタの傍にいたい。
駄目だ…俺は、アンタの甘さに負けて、依存している。
今まで、何にも依存したり、寄りかかったりしなかった。
だから、余計なのかもしれない。
俺の初恋が、アンタで良かった。
同性で年上でもいいから、傍にいて欲しかった。
我が儘なンて、いわねーよ?
アンタを困らせるのが、何よりも怖くて。

「うん、お湯湧いてるし、5分待とうか。で、今日は、どうしたの?丑嶋くん」
「別に何でもない…」
「そう。指、冷たいね。今度、手袋とマフラー買いに行こうよ」
「そうだな…」
「浮かない顔してるね…どうしたの?」
「いや、もうアンタに会えるのが、無いのかと思うと、ちょっと辛くて…」

ちょっと?そんな訳無い。
自分でも、怖かった。
否定されたり、拒否されたりするのが、怖かった。

「俺も寂しいよ。冗談じゃなくさ。生徒に手を出す事なンて、今まで無かったンだよ?それなのに、まるで空が照らす様に、君が現れて、俺の人生設計は大きく狂った」
「…アンタにはもっといい人がいるだろ…」
「いや、君以上なんて、考えられない」
「やめてくれ…俺は…」
「嫌ならいいンだ。伝える事が大事だったから」

不意に、戌亥は、そっと俺を抱き寄せ、屈んで、俺にキスをしてくる。
甘い、甘い、キャラメルのような味がする、キス。
初めてのキスが、アンタで良かったと思う。

「ごめん」
「別に」

言葉が上手く紡げずに、俺と戌亥の間に気まずい雰囲気。

「「あの」」

二人で、どうにかしようとして、シンクロした聲。
クスクスと笑いだしたのは、戌亥。
俺もつられて笑う。

「赤いきつね、出来たよ」
「いただきます」
「召し上がれ」
「って云っても、カップ麺じゃん」
「じゃあ、今度、俺の手料理振る舞うよ。何がいい?」
「チキンライス」
「もっと豪華なものでもいいんだよ?」
「いい。俺には、それで充分」
「そう。じゃあ、今度、家においで」

と云って、何かのマスコットがついたキーを渡してくる。

「合鍵。おいでよ。丑嶋くん」
「あ、ああ」

否定も拒否もされない、恋心は、アンタが知りようも無い程、育ってしまったンだ。
そんな自分が気持ち悪い反面、人を好きになるのは、こんなにも暖かな事なのか、と初めて知る。
二人で、きつねうどんを食べながら、こんな時間がずっと続けばいいと思う。
恋に落ちて、良かったと思うから。
まるで、魔法にかかったように。

終わり!

神様キャンバス。

更新しないのが、申し訳ないので、学園物戌丑!

【神様キャンバス】

夏休み、一応、仕事があるので、それをこなしていく。
プールに足を浸しながら、書類と睨めっこ。

「アンタ、何してンの?」
「仕事…あれ?丑嶋くん、どうして此処にいるの?」
「プール入ろうと思って。暑いから」
「丑嶋くんの水着姿…写メ…」
「アンタの携帯、水に浸すわ」
「残念、防水しています」
「変態教師」

丑嶋くんは、ひとしきり泳いで、俺は書類を片す。

「戌亥」

来い、と手招きするので、何かな、と思ったら、ネクタイ引っ張られて、プールに浸かってしまう。

「う、丑嶋くん!怒るよ!」
「アンタがそンなに焦るの、初めてみた」
「もう!」

書類は無事だからいいけど。
俺は罰として、丑嶋くんを抱き寄せ、キスをする。
君の初めては、全部俺のものにしてあげる。
忘れない恋をさせてあげたい。
でも、忘れて欲しいという気持ちもあって。
柔らかな唇に触れた瞬間、俺史上最高のキスだったと思った。
君が好きだ。
分かっている、別れがくることが。

「丑嶋くん、最後の夏休みだけど、俺と海行かない?」
「行かない。今日だって、やっと抜けだしてきたンだぜ?」
「そう。クーラーきいてるし、アイスもあるから、保健室においでよ。着替えてね」
「おう」

消毒して、プールを出る。
替えのスーツがあってよかった。
でも、白衣に替えが無いことに気づき、やってくれたな、丑嶋くんと、憎めないどころか、それすら愛おしいなンて、俺も病気だな。

「戌亥、着替えてきた。アイス」
「俺目当て?アイス相手?」
「どっちも」
「狡いな、君は…」

アイスを舐めている君の姿が可愛くて、写メ撮ろうとしたけど、やめた。
こういうものは、無くなるから、恋しいんだ。
美しいものが、破壊衝動を駆り立てるように、ね?

「アイス、食べたら、施設まで送るよ」
「ああ、悪い、戌亥」
「いいよ、気にしないで。っていうか、凄くプールの香りがする…」
「悪かった」
「いいよ、別に」
「水に濡れたアンタが、すげェ色っぽかった」
「へ?」

俺は間抜けな顔をしていたのか、慌てて繕う。
15歳の君に、翻弄される俺。
君の一挙一動が、俺を乱していく。
永遠に夏が続けばいい。
ずっとずっと、君といたい。

「泳いだら、疲れた。戌亥、ベッド借りるぞ」
「いいよ。少し眠りなよ。あっ、丑嶋くんが好きそうな漫画、置いといたよ」
「…ああ、これか。じゃあ、起きたら、施設まで送ってくれ」
「分かった」

我が儘な眠り姫に、俺は、恋の奴隷になっていった。
カーテンを閉め、寝てしまう丑嶋くんに、春が来ないように、祈るのだった。
(そんな事祈っても、時は無情に流れていくンだけど、俺の些細な願いは、叶いそうに無い。だから、お願いだ、神様、丑嶋くんを俺にくれ―)

終わり!

神様のいない午後。

短文なので、こちらに掲載!学園物です!

【神様のいない午後。】

※学園物。

「戌亥、マラソンしたくね…っていねぇのかよ…」


戌亥っていうのは、保健室の俺を贔屓、いや、好きなンだろうな、と思う変態保険医の事だ。
この間、お好み焼き屋(実家らしい)で、豚玉を奢ってもらった。
俺には両親がいなく、施設で育っているせいか、戌亥の母親のくすぐったい愛情が、とても嬉しくて、両親がいれば、俺は真っ当な人生を歩めただろうか?と思う。
ベッドにダイブし、寝ようと思った。


「丑嶋くん、サボりは良くないな〜」
「いたのかよ!」
「今、職員会議から戻ってきたばっかりだよ?」
「そうかよ」
「いいけど、芋ようかん食べる?」
「餌付け?」
「そう。好きな子の胃袋を先に掴んどくのが、一番でしょ?」


何の臆面も無く、そう云える戌亥が、くすぐったくて。
初めて、人に好意を抱かれた。
だから、どうしていいのか、分からない。
俺はどうしたい?
分かンねェ…自分でも分からないンだ。
恋なンて、甘い感情は要らない。
それなのに。


「はい、牛乳と芋ようかんだよ。相性バッチリだね」


と云いつつ、戌亥は、うまい棒を齧っている。
俺はベッドから起き上がり、机の側、ストーブの傍にいく。
この冬が過ぎたら、俺はもう、アンタの傍にいないんだ…。
アンタの傍は凄く、居心地が良くて。


「いただきます」
「どうぞ」


芋ようかんを、爪楊枝で刺して食べる。
牛乳は俺が背が低い事を、気にしてるせいだろう。


「写メ撮っていい?」
「…アンタ、本気でキモい」
「失礼な。一応、教師なンだから、そんな生意気な口聞いちゃ駄目だよ?」
「生徒に手を出す保険医なんて、聞いた事ねェよ」
「とりあえず、写メ撮るね」


盗撮じゃねェだけ、マシかな、と思いつつも、芋ようかんを頬張る。


「クリーム系にしとくんだったな」
「黙れ、変態」
「酷いな…ああ、来年なンて、ずっと来なければいいのに…もうすぐ冬休みだね。丑嶋くんは何か予定ある?クリスマスにデートしない?」
「施設でクリスマスパーティがあるから、無理だな」
「そう…。君を引き取りたいんだけど…」
「いい、アンタにそこまでさせる気ないから」


ごちそうさまをし、ベッドで眠る。
冬が終われば、アンタと会話出来る機会も無くなる。
怖かった。
そう、自分の気持ちと向き合うのが、怖いンだ。
好きだと、認めてしまうことが、何より怖かった。
執着してしまうことが、嫌だった。
眠りながら、俺は、ただ、永遠にも似た、何かを探していた。


終わり。

スロウダンス。

※偽物です。資料が無いので、高田さんの口調が訳わからん事になってます。
マサル→高田さんです。Twitterで書いたものを、加筆修正しました。糖度が高め。

【スロウダンス】
朝、マサルは中々起きない。

「マサル、朝だよ」
「あと、5分寝かしてくださいよ〜」
「駄目、起きて!ほら、今日、頑張れば、給料日でしょ?」

と云うと、起きた…瞬間、腕を掴まれ、マサルの腕の中に収まっていた。

「高田さんの髪、凄ェイイ香りがする」
「マ、マサル!ふざけないでよ!」
「ふざけてませんよ。俺、高田さんなら、抱けますよ?」

聞きたくないよ…朝から余計な情報ありがと、マサル。
目潰しをくらわせると、マサルが悶絶してて、楽しい。

「イタタタ!高田さん、なんて事するんですか」
「マサルが調子こいてるから、キモいな、って思って」
「…高田さん、容赦無い…」
「アハハ、マサル、面白いね」

俺が笑うと、つられたように、マサルも笑う。
二人で、フフフ、と云いながら、マサルがおでこをこつん、とぶつけてきた。
もう、俺には、人に恋したり、愛したりする事なんて、権利無いのにね。
マサルが、土足で、俺の心に踏み込んできたから。
マサルの事は嫌いじゃない。でも、俺には、まだ…。

「マサルって、ホモ?」
「違いますよ!男になんか、興味無いっす!高田さんだけは別ですよ!」
「へぇ…」

なんで、こんな時だけ、男前なんだよ、マサル。
馬鹿の癖に。
でも、憎めない。

「俺には、人に恋したり、愛したりする資格が無いからさ、マサルはもっと可愛い子と幸せになりなよ」

「は?高田さん、馬鹿なんですか?」
「失礼な。馬鹿なマサルに云われたくないな」

ずい、と、マサルが近づいて、云ってくる。

「高田さん、恋愛に資格なんて必要ないんですよ?俺は、いつか、高田さんの心、溶かしてみせますよ」

だから、なんで、こんな時だけ、男前なの?ズルいよ、マサルは。
同棲してるようなものだ。

「で、高田さん、朝ごはん何ですか?」
「急に色気無くなったね」
「えっ、もしかして…もっと色っぽい事が良かったんすか?」

マサルの額に、デコピンをくらわせて、

「今日は、トーストだよ」

と告げる。
もぞもぞとして、抱きしめる手を止めて、マサルは起き上がる。

「高田さん、マジ、嫁に来てくんないんですか?」
「…マサル、本当にキモい」
「高田さんからだったら、『キモい』も褒め言葉ですよ!」
「…うん、マサル、一回、社長にしめてもらおうか」
「冗談、冗談っすよ!」

…やっぱり、マサルは丑嶋社長が怖いんだな、と思う。
マサルは、起きて、歯磨きして、(勝手にマサルが買ってきた)寝間着から、ブランド物の服をまとう。

「高田さん、今日の俺、イケてません?」
「…はいはい」
「適当じゃないですか!もっと、こう!褒めてくださいよ!俺は褒めれば、伸びるんですよ!」
「それ、自分で云ってちゃ意味無いんじゃないかな?」
「高田さんのケチ」
「マサルは、かっこいいよ、いつでも」

俺が真剣な顔をしたせいか、マサルも深刻な顔になってる。
まるで、夫婦みたいだな、と思う反面、この関係をどうしたものか、悩む。
分かってる、俺はまだ、愛せない、恋出来無い。
でも、マサルが慕ってくるのが、くすぐったい。
何だか、嬉しい。後輩が出来たのが、嬉しいのか、それとも、マサルだからなのか、俺には分からない。でも、がらんどうだった、俺の部屋に植物を買ってきたり、まめまめしい、マサルが、好き―…じゃないよな。
俺、冷静になれ。
相手は、マサルだぞ?朝食を食べると、一緒に出社する。

「暑い…」
「暑いね」
「アイス食べましょうよ〜高田さんのおごりで」
「なんで、俺なの?マサルがおごるべきでしょ?」
「ガリガリくんだったら、いいですよ」
「何その、譲歩。まァ、いいや、マサル、ガリガリ君おごって」

甘えるのが、下手なくせに、マサルにすら、甘えてしまう。
いや、マサルは凄い年下だけど、いざというとき、怖いくらい、度胸を見せる。
だから、時折、俺はまるで永久凍土のような恋心に、少し、暖かさを感じてしまうんだ。
マサルで良かった。
マサルが良かった。
俺だって、そっちの気は無い。
こんな夏の日も悪くない。
で、アイスを食べた俺とマサルが遅刻して、正座されるまで、5分前。

終わり!

恋愛テロリスト。

Twitterで書いた分。ちょっと、修正してます。あと、さりげなく、同棲しています。戌丑です。

【恋愛テロリスト】

戌亥にキスをされたいと、云われたが、潔癖症なんだよね、駄目か、ごめんと謝られた。
いや、お前なら、平気だけど、と返したい反面、未だ、過去のトラウマのせいで、人との接触が怖かった。戌亥になら、構わねェと思って、昼寝してる戌亥に、そっと額にキスをする。
気持ち悪く無い、平気だ。
なァ、戌亥、好きだ。
そっと、その薄めの唇にキスをしてみようと思うが、怖くて、怖くて、俺はこんなに臆病だったのか、と思い知らされる。
こんなんじゃ、カウカウファイナンスの皆に笑われちまうな。
戌亥にキスしようとする、と。いきなり、戌亥がバッと目を開けた。

「…可愛い事しないでよ、丑嶋くん。俺が必死で我慢してる意味なくなるよ?」
「…いつから起きてやがった?」
「うん、君が俺を見つめてるあたりから?大丈夫?潔癖症なのに…」
「お前相手は特別だ」
「ねェ、丑嶋くん、其れって誘ってるの?」

戌亥は、ちゅ、とキスをしてくる。俺のファーストキスの相手が戌亥だという事も知ってる。
中坊の滅茶苦茶荒れてた、リンチもされた俺に、病院にお見舞いに来たのは、竹本と戌亥だけだった。戌亥は、俺が意識が無い時に、キスをした、と後で、告白した。
ちょっと、戌亥の雰囲気が変わったのは、その頃か?戌亥になら、何でも許せた。
でも、俺には、此れが限界だった。
なのに、戌亥は、

「もっとキスしてもいい?」

と聞いてきやがる。
スーツ姿の戌亥は、初心だよね、丑嶋くんって。こんな姿見られるなんて、特別だよね、と云って、ギュッと抱きしめられる。

「うん、抱き心地いいな〜」
「そうか?」
「うん、まァ、俺も遊んできた方だけど、丑嶋くんは前から特別だよ?」
「そうかよ」

柄にも無く、照れた俺が、顔を逸らすと、

「だ〜め〜、俺しか見ないで」

と云って、またキスをしてくる戌亥が、好きだ。

「…戌亥」
「何?」
「お前なら、多分、抱かれてもいい」
「素直だね。抱いちゃうよ?今夜」
「…いつまでも、お預け喰らわすわけにはいかねェからな」
「大丈夫、焦らなくても、時間がたっぷりあるからさ。じゃ、コーヒー飲んだら、家出て行くよ」
「おう」
「じゃあ、今夜、楽しみにしてる」
「…戌亥」
「何?ヤダ?やっぱり」
「いや、その絵面的に逆じゃねェか、って思ってな」
「いいと思うけどな…じゃあ、いってきます」
「おう、じゃあな」
「そっちも仕事頑張ってね」
「おう」

俺もコーヒーを飲もうと思い、良く洗った「丑嶋くん」と書かれたマグカップで、インスタントコーヒーを入れる。

終わり!
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