そもそも私は素直過ぎたし、馬鹿過ぎた。
夢見る少女から卒業するには、これくらいが丁度良かったのかもしれない。

昼間は会社員。夜は所謂、水商売をしている。
男性からいただく「可愛い」という言葉が「1回ヤりたい」にしか聞こえなくなった。
心配しろとも言っていない。お前の魂胆は見え見えだと思うようになった。
駆け引きなどできないと思っていたけど、手探りで駆け引きをするようになった。
効率よく稼ぐ為の。


あの人を追いかければ追いかけるほど、自分が暗い沼へ沈んでいく気がした。それでもいつも、綺麗過ぎる月みたいに照らしてくれた。そしてそこにあるだけだった。

綺麗なものを見ると泣きたくなる。あの人に教えたいと思う。
でももう戻らない。あの夜私は確かに独りだった。見上げても無かった。
私と居ると風を感じるし、鳥の鳴き声がよく聞こえると、泣きながら言っていたことも、もしかしたら計算だったのかもしれない。小説のような言葉で触れ合える人だった。あまりにも綺麗過ぎた。


もう戻らない。二度とはない。
えー、なので、明日も仕事頑張ります。1時間早く出よう。
悪良いして気持ち悪いですが、おやすみなさい。