話題:今日見た夢
またなんか悪夢じみたもんを見て寝起きが悪かった…。


鼎と御堂の実質初デートから約2週間後。鼎は療養して体調が良くなったのか、復帰の目処が立った。鼎は宇崎に連絡してる。

「鼎、明後日から本部に戻れるのか?皆戻ってくるの待ってるよ。明後日来るのを楽しみにしているよ」
「私がいない間に何かありましたか」
「怪人は雑魚がぽつぽつ出たくらいで、それは『釵焔』改め『狭山蓮』が怪人を撃破した」
「釵焔に何があったんだ?」

鼎も気になっている様子。


「うーん…なんやかんやあって、人間になったんだよ。元幹部だから強いぞ、狭山は。見た目は釵焔まんまだから安心しろ。じゃあ復帰まで休んでなさいな。…御堂、また来るんだろ?今日あたりに」
なぜそれを知っている!?

「和希がさー、俺に相談してきたんだよ。どうしたら鼎の気持ちにもっと寄り添えれるか?…ってな。鼎は和希に安らぎを感じているんだろ?」
「あぁ。和希の手に触れていると落ち着くんだ…」
「そうか…絆、深まっているんだな」

和希は室長に相談してきたらしいが、今の私は和希が側にいてくれればいい。それだけでいいんだ。


「鼎さん明後日、本部に戻れるんですか!?復帰出来るの!?」晴斗は嬉しそうな声を上げた。宇崎が答える。
「だいぶ回復したみたいでな、鼎から連絡があったんだ。声に力が戻ってた。彩音と御堂のおかげだな」


晴斗は2人を見た。御堂さんと彩音さんは献身的に鼎さんの面倒見たり、時々顔出しして安心させていたと聞く。
「御堂さん、これから任務?」
晴斗は出かけようとする御堂に話し掛けた。御堂はぶっきらぼうに答えた。


「これから鼎ん家に行くんだよ。あいつ…寂しがりだからよ。あいつには支えが必要だ。戦いの代償で心身共にぼろぼろの鼎には居場所がいる…!」

最近、鼎さんは元気がなかったと彩音さんから聞いた。ずっとうつむいていたらしいが、御堂と会ってからは徐々に回復したようだ。

鼎さんには精神的支えが必要なんだ。俺よりも深い絆の持ち主が。


ゼルフェノア寮・鼎の部屋。御堂は慣れた様子でインターホンを押す。鼎が扉を開け、御堂を中に入れた。

「和希、来たのか」
「鼎、だいぶ良くなったな。明後日復帰するんだろ?」
「あぁ、かなり回復したよ。これも彩音と和希のおかげだ。ありがとう」

御堂は鼎に小さな袋を渡す。
「フライングになるが、鼎が復帰出来るっていうからお前の好きなスイーツ買ってきた。食えよ」
「わざわざ買ってきたのか」
鼎は中身を見るなり冷蔵庫に入れた。


鼎は寝室へ直行。御堂は棚の上の薬が入った袋を見た。量はだいぶ減っているようだった。戦いの代償のせいで、鼎が薬漬けになっていたと思うと辛い。
「身体は大丈夫なのか」
「発作も出なくなったし、外出も出来るから心配するな。もし、発作が出ても海堂から貰った緊急薬があるし、常に持ち歩いている」

あの太ももに注射するタイプの薬か。初デートの時に鼎に打ったあの薬のことか…。あの時はヒヤヒヤした。

御堂は帰り際、鼎をそっと優しく抱きしめた。鼎の顔は仮面で見えないが、まだ壁を感じているのか体が僅かに震えている。
「鼎はまだ怖いのか…?」
「和希といると安心するはずなのに…わからないんだ…。視界が狭いと怖い時、あるんだよ。仲間でも」


鼎は安らぎを感じている半面、まだ恐怖に苛まれているのかと御堂は複雑になった。御堂は鼎の仮面に優しく触れる。

「今、お前の顔に触れてるの…わかるか?仮面越しだから難しいか…」
「なんとなくわかる。口元に指、触れただろ」
やっぱりなんとなくわかるんだ。

「鼎はさ…直接俺の手が顔に触れるのと、仮面越し…どっちがいいんだ?嫌とかあるだろ…」
「私からしたら仮面は身体の一部だから変わらない…」

変わらないんだ…。鼎は背を向けていた。少しだけ振り替える。白い仮面が僅かに見えた。
「和希…気にかけてくれてありがとうな」


御堂は複雑そうに鼎の部屋を後にした。鼎相手だとコミュニケーションが難しい。御堂に好意があるのは確かだが、相手は顔の大火傷の跡を隠すために仮面を着けた女性。表情が見えないのでわかりにくい。

鼎は鼎なりに声の抑揚やトーン、仮面の角度をうまく駆使して意思を伝えている。それでもズレは生じてしまう、宇崎が本部隊員に何回も言ってるのはこれ。鼎相手のコミュニケーションは難しいと。鼎が繊細なのもある。


鼎が復帰する日。久しぶりの制服姿で鼎は本部に姿を見せた。司令室では鼎を温かく歓迎する。宇崎はニコニコしながら迎えた。

「鼎、おかえり。待ってたよ」
「室長…」
「狭山、改めて鼎に自己紹介だ。鼎は知らないんだからな」
「あ、はい」狭山は鼎の前に出た。そして自己紹介する。
『釵焔』だった怪人は『狭山蓮』という人間になっていた。制服姿ということから、狭山は正式に組織の人間になったことを示す。

「改めてよろしくな。狭山」


解析班。朝倉と矢神は鐡の尻尾を掴むべく解析班含む裏方班と呼ばれる裏方セクションと連携を深めてる。場合によっては警察施設とも連携。

「てっしー、支部の管轄は異変なし?」
「ないですよ。…って、任務中はあだ名で呼ばないでって、朝倉さん」
通信してるのは支部工作班チーフ・勅使河原。
「あぁー、ごめんごめん。本部工作班も動きなしよ。整備班は万全の態勢で戦闘機とかメカを出撃出来るようにしてあるわ」

「鐡の威力はヤバいですからねー。朝倉さん、鐡が潜伏している廃ホテルは動きなしか…」
「そうなのよ。雑魚怪人はぽつぽつ出てはいるけど、鐡とは関係ないみたいでさ。廃墟街と六道町の調査は進んでるの?」
「そこは支部の管轄じゃないって。…調査進んでないのか…。あそこの地下、滅茶苦茶怪しいのに」

「絶対、怪しいわよね」
「怪しい」


本部・研究室。鼎は残りの戦闘回数を考慮して研究室の助手的な任務をすることに。そこには空操(からくら)がいた。

「鼎さーん、おかえりっす〜。研究室、人手不足だったからありがたや〜」
「空操はいつの間に助手みたいなことに…。戦闘隊員だろ?」
「室長は司令も兼任だから研究室、人足りてないんですよ。一時的でもいいから鼎さんがいると頼もしいです。室長は鼎の体調を考慮してこっちにしたみたいですね。鼎さん、事務作業苦手でしょ」
「ずっと戦闘隊員してるからわからない…」

「助手はすぐに慣れますよ。ほら、あそこ。研究室内に鼎さん専用の小部屋もちゃんとありますから。仮面の予備も常にありますし。俺も室長と一緒に仮面の製作手伝いましたからね〜。改良型は市販品じゃないから、時々製作してるんですよ。戦闘兼用だから軽量で頑丈じゃないとならないし。その小部屋は鼎さんのスペースです」
「空操、ありがとう」


宇崎が研究室に来た。

「空操・鼎、早速馴染んでるね。戦闘隊員の駆け込み寺みたいなセクションだからな、研究助手は。ここで装備の研究や怪人の研究が行われている。大規模だとゼノク研究機関に任せてるが。鐡関連は支部とゼノクも連携してるよ」
「敵の動きはないのか?」
「それがさっぱりなんだわ〜。不気味なほどに動きがない。わかっているのは鐡はパワーアップしていることだけ」


休憩時間。御堂は鼎がいる研究室を訪れる。鼎は小部屋にいた。
「鼎、あれ?どこだ…」

鼎は御堂に小部屋から話しかけた。


「小部屋にいる」
「ここにいたのかよ!?」

御堂、鼎専用スペースの小部屋へ初めて足を踏み入れた。そこには鼎の仮面の予備やライフマスクなど、鼎にとって必要不可欠な仮面絡みのものが置いてある。部屋は異質にも見えた。

「この部屋…鼎の仮面絡みのものが置いてあるな」
「室長が私のために作った部屋だと聞いた。この仮面製作もここで行われたと聞く。和希は怖いのか?」

仮面に囲まれた部屋は異質だが、鼎からしたら予備は必要だし…。複雑。
御堂は鼎のライフマスクを見た。4年前に型どりされたものだという。


4年前…鼎がゼルフェノアに入った時、鼎は任命式中に倒れた。原因は緊張と酸欠。
御堂の提案で、鼎の仮面は市販品から戦闘兼用の改良型へと変わることになる。

4年前、鼎は他人になかなか心を開かなかった。開いたのは彩音だけで、任命式の時に救護所で御堂とも少し話をしている。
後に御堂は鼎と組むことになるが、御堂は顔が見えない仮面の後輩とのコミュニケーションに苦戦→鼎の親友の彩音のアドバイスを貰いながらなんとかやることに。

改良型の仮面の試着では鼎が激しい拒絶を起こし暴れるという、騒動が起きる。彩音の必死の説得で鼎はなんとか応じるが、この試着は女性隊員2人がかりでなんとか鼎を落ち着かせることに。


こんな経緯や例の事件という複雑な過去があったせいか、紀柳院鼎のバックアップは組織ぐるみで行うシステムが構築される。仮面生活故の苦労もあることからバックアップが強化。

鼎は最初、心を開かなかった。鼎の孤独は事件以降からずっと今まで苛まれている。仮面を着けざるを得ない状況故の孤独。


御堂は鼎専用スペースの小部屋で話を聞いてあげていた。

「話してくれてありがとうな。鼎…お前泣いてるのか?今…すすり泣く声が聞こえたような」
「な…泣いてなんかいない…」
「色々あったもんな〜、この4年間。俺はまだまだ理解が足りてないみたいだし、精進するからさ。鼎も無理して溜め込まなくてもいいんだぞ?見ていて辛いから…」

鼎はずっとうつむいている。何か言いたげそうに見えたけど。仮面の陰影のせいか?

「どうした?顔上げろよ。あの事気にしてるのか?」
「仮面のことか?」
「仮面だろうが素顔だろうが、鼎は鼎だろ…」

御堂は鼎の仮面の頬にそっと触れた。その後そのまま鼎の手に触れる。火傷の跡を隠す黒手袋が痛々しく見える。
実際は鼎の手の火傷の跡はだいぶ目立たなくなってきてるのに…。人前だと黒手袋なしでは出られないんだ…。


「そろそろ休憩時間終わるから、俺は行くからな。鼎…戦闘回数残り僅かなの、自分を責めるなよ。お前のせいじゃないからな…」

御堂の去り際の背中が哀愁を帯びていた。鼎は何か言いかけたがやめた。
和希は私のことを思って言ってくれたのか…。鼎は御堂が触れた手を触る。手袋越しにぬくもりを感じた。


「鼎の様子、どうだったの?」
彩音は御堂に聞いていた。

「あいつ、怖いんだろうな…。鼎とは4年間一緒にいるが、難しくて…。でも前よりは軟化した気がする。気を許したのかな…」
「気は許してると思うよ。御堂さんと話してる時の鼎、すごい安心してるから」



やけに心理描写と鼎と御堂の描写が多かった。回想もしれっと入ってたり。

ほぼ、鼎さんと御堂メインじゃん…。


裏では裏方班が連携してたり、鼎さんは一時的に研究助手になるなど変化が起きていたが。でも鐡が動けば戦います。
鼎さんの残り戦闘回数2回(最大火力を使うと残り1回)なんで、室長も鼎に居場所を提供してるのだ。

御堂の鼎に対する態度がかなり軟化してる。そして手を触る描写と鼎の仮面を触る描写がなんとなく増えてる…。
鼎の仮面を触れる人間は限られてる=心を許した人なので、かなり複雑なのだ。


復帰前の鼎と御堂、復帰当日の鼎と御堂…なんか複雑…。悪夢じゃないけど、悪夢じみてて複雑でなんか辛くて。


さらっと解析班と支部工作班が調査が進んでない廃墟街と六道町について触れていたんで、そろそろ調査のメスが入るか?
潜伏してるらしい廃ホテルに動きなしだから、ラスボスの鐡がいない可能性もあるわけで…。


やけに生々しかったのは鼎と御堂の描写。ここだけ恋愛ものみたいになってますが、恋愛ものではない。
研究室内の鼎専用スペースの小部屋の描写は異質だが、鼎からしたら必要なので慣れたら大したことないっていう…。