学園祭のような盛り上がりを見せる中、佐々木も参加する意向を示したものの…頬杖をついて、口には新発売のポッキー(ビターチョコ&オレンジ味)を咥えて、悩んでいた。
各家庭、各々が自分の好きな仮装に身を包み、討論をしている姿を見て…さて、俺は何の仮装に身を包むべきか…?と、かれこれ1時間以上…悶々と自問自答を繰り返していた。
『ヨーロッパ圏にエジプト圏、か…。』
ハロウィンっつぅったら、コレだろっ?!…的な仮装を見て、先着順に遅れを取ってしまった事に、肩をがっくし落として…日本海溝よりも深いため息を吐き出す。
「カタログ、見ますか?」
同親から生まれた原沢が、眉尻を下げて…ハロウィンの仮装カタログ集、なる本を胸に抱えていた。少し、困ったように笑う原沢を見て…佐々木は、カタログ集を受け取るように片手を差し出した。
「他の皆さんと被らないように選ぶのは、結構大変ですよね。」
「だな。仮装は先着順だから、出遅れた俺らが悪いからなぁ〜。」
カタログ集を1ページ1ページめくりながら、佐々木と原沢の会話が続く。
各家庭、各々が自分なりに似合うであろう仮装を選んでいる姿や既に仮装で撮影する姿に、佐々木と原沢が穏やかにし、微笑む。
「あっ。私、この仮装がいいな。」
めくったページに載っている仮装を見て、原沢が声をあげる。
その仮装は、まだ誰も手を出していない圏のもので…佐々木も、似合うんじゃないか?と、肯定の意味を込めて笑いながら、数回ほど頷いてやる。
「じゃ、私…さっそく着替えて来ますね。佐々木先輩、また後ほど。」
魔法の本のように、カタログ集から仮装を受け取ると…原沢は、仮装を手にしてフィッティングルームへと消えていく。
残された佐々木は、更に数ページ…カタログ集をめくり、ようやく意思を固めたように本を閉じた。
原沢がフィッティングルームで仮装に身を包み、お披露目するも…佐々木は、先ほどまでいた大部屋には居らず…原沢は、キョロキョロと見回す。
「佐々木先輩?あれ?どこにいったんだろ?」
原沢が周囲を再び見回していると、背後から佐々木が肩越しに原沢に声をかけた。
「俺は、この仮装にしたわ。似合うだろ?」
佐々木が、イタズラをする少年のような…屈託のない笑顔と、ドヤ顔を合わせた感じになり…原沢は、佐々木の仮装を確認する。
「良いと思います。圏的には被ってるけど、似合ってると思います。」
(ってか…佐々木先輩、そこまでこだわりるんだ…。)
仮装した佐々木を見て、内心…やや汗をかいた状態の原沢は、呟いた。
原沢…キョンシーの仮装。
佐々木…大鎌を手にした、首ナシ騎士の仮装。←
(佐々木は、仮装に関しても遊び心を忘れません。こだわりも強いタイプなので、ややリアリティーのある仮装を好みます。
原沢は、周囲と被らないように…気を遣うあまり、浮いてしまう仮装を選らんでしまうタイプ。
うちの子の仮装は、こんな感じです。
お粗末さまでした。
紺碧の砂糖菓子。)