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おいてけぼり以外の言葉など無くて、白薔薇を飾る。

タイトル長っ!(ツッコミ)メカを失った門っちだよ。お墓参りです。撻器ちゃんの様になっています。Twitterからのパク…リスペクトです。

【おいてけぼり以外の言葉など無くて、白薔薇を飾る】

「門倉立会人…お話があります」

判事にそう云われた瞬間、嫌な雰囲気になった。
重々しいムードに、わざとらしい咳払いをし、私は、判事の言葉を待つ。

「號奪戦が行われました。結果、目蒲立会人は、亡くなりました」
「…」

呼吸が出来なくなるかと思った。
慌てて、何か言葉を探そうとするも、まるで、台本が無い俳優のように、上手く言葉を紡げず、私は詰まる。

「親友であったと、聞いています」
「メカ…いえ、目蒲立会人の遺体は?」
「荼毘されました」
「そうですか…では、後で行きます。場所は、ナビを頼りにいきますので」
「はい」

判事は淡々と話したが、わしは心中穏やかではなかった。
メカが死んだ?
昨日まであんなに、元気で佐田国様がいかに素晴らしいか、百回は聞いたというのに。
嘘…ではない、現実に向き合うのが、これ程、怖い事だとは…。
にわかに信じがたい。
判事が悪い冗談でもついたのではないか、とも勘ぐったものの、それは無い、という選択肢に達し、やはりメカはこの世にもう、おらんのじゃ。
世界はあまりにも残酷で、わしは伝えられなかった思いを、メカに告げようと思い、午後休暇を貰った。
で、立会人達が亡くなって、保管される墓地の様な処へつくと、管理人が、恭しく頭を下げる。
嘘ではない―。
嘘であって欲しい―。
分からない、何が真実なのか。

「目蒲立会人は?」
「この骨壷ですね」

随分と小さな骨壷を指す、管理人は、場所だけ案内すると、暖かなほうじ茶を一杯、持ってきて、道中、寒かったでしょう、春とはいえ、まだ寒いですからなぁ…と呟く。

「すみません、ありがとうございます。しばらく、二人っきりにさせていただいても?」
「構いませんよ」
「では…」

わしの手には、途中で買ってきた白い薔薇(メカが好きだったんじゃ)を飾り、そのまま、静かに泣いた。
泣く準備もしていなかったのに、溢れたそれは、聲にもならずに、ただ、しゃくりあげた。

「のう…メカ、何も心中なんてすることなかろう?わしは…不器用じゃったから、伝えられなかったんじゃ。親友でいいと思ってたんじゃが、いつか伝えると、先延ばしにしとったんじゃ…メカ、好き、じゃぞ…」

最も愚かで、最も愛したメカは、もう返事をしてくれない。
返事をして欲しかった。
もし、わしに万が一の事があったら、一緒に地獄で会おうや?
わしは、管理人に挨拶をし、帰る。
帰路、何度も、もうメカがいない、傍で笑う事もない、と思うと、わしはどっちが愚かだったのか、問うのだった。

終わり!
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