少女小説家の榊梨花が好きでした。私が知る前、ずっと前の榊梨花です。
 今は、いくら待っても新刊を出してくれない。出したら出したで文章の崩れ方がどんどんひどくなる。構成力も明らかに落ちている。元々感性の部分が大きい人なのにそこの良さが抜けてしまって拙さみたいなのが前面に出てしまっている。
 商売だから売れなくなったら出なくなる、はそれっぽいことを言ってるだけの欺瞞です。どのレーベルもずっと出す気を見せていた。下手な作家よりは行けるって思われてるし実際そうだった。皆待っていた。
 好きなものをそんなふうに言うなんてと思われるかもしれないですが、劣化は劣化です。良くも悪くも標本みたいに切り取ってそこだけ愛でることが許される、創作物ってそういうところがあります。美しい思い出だけ切り取って大事にすれば良い。でも私はそれは嫌なんです。一度嫌になったらもう遡ってすべてが嫌になる。いえ、作者の人格はどうでもいいです。そんなもの消費してもどうしようもない。文章がすべてです。そこに出る人格ならそれだけの話です。それ以上でも以下でもない。
 だから私が榊梨花になります。文章AIは踏み込みが浅すぎる。サンプル少ないにしても浅すぎる。何も分かっちゃいない。私がやります。私がなります。支離滅裂なことは分かっています。私の愛の遣り場に私自身が成ります。



 樹神アイの文章ってルーツはどこなんですかね。割と古い……ずいぶんクラシックな空気出してくるなってたまに話題になるんですけど、影響を受けた作家の話ってしてましたっけ? してませんよねやっぱり。あまり自分のこと語ってるの見たことがない。
 うーん、どうなんだろう、坂木悠輔、真凛カリン辺り? さすがに古すぎますか。……ああ、そういえば坂木先生の著作お好きでしたね、そっちの視点からだとあまり似てはいないんですか、失礼しました。
 あー、孫引きみたいな距離感と言われるとちょっと納得しちゃうかも。言われてみるとたしかに坂木フォロワーですね。名字も。
 何にせよ、遅筆は変わらないんですねえ。
 ああいう作風は書き方にもよるけどそうなりやすいから、さもありなんとは思いますけどね。坂木先生も、ほら、大分遅かったですし。



 樹神アイ好きなんだけど続きが全然出ない。
 いやいやいや、そうはならんでしょ。無いなら書けとか言われてもさあ。シリーズものいっこ追いかけてるだけ。あと読み切りにいっこ好きなのあるくらい。樹神アイじゃなくて『ips』好きって言った方が正しいね。そう、続き物なんだから自分で書けと言われてもどうにもならないの。的外れ。そもそも客に言うことか? まあ影響受けてるから文章は似てるよ、表面を撫でただけの二次創作だけど。
 うん、私、脇キャラの越水くん推しなんだけど、ちょっと最後まで生き残る気がしないってのはある。ニコイチの加賀谷が悲惨なことになったしね……ちょっと先が見えちゃったというか。逆に加賀谷推しは今「自分で描いてる」んだろうけど。
 あーそいつ、越加賀の元大手でしょ? 商業デビューでペンネーム変えてるけど。越水くんと加賀谷の二次創作みたいなもんだよ。解釈まんま。いや、実際のキャラとは全然違う、加賀谷はもっと性格きつい。きつい中に隠しきれない面倒見のよさと責任感が見えてくるキャラなんよ。越水くんももっと肩の力抜けてる。そうそう、あくまで二次の王道解釈だからかなり違う。こういうのって編集の人が指示したりするんかな。



――影響を受けた作家は?
榊梨花:坂木悠輔先生と、久利木花先生です。ペンネームもあやかってます(笑)