俳優の寛一郎が今年春に放送されるテレビ東京の開局記念ドラマ『ミッドナイト・ジャーナル 消えた誘拐犯を追え!七年目の真実』に出演することが、分かった。昨年、映画で俳優デビューした寛一郎君にとっては初めてのドラマ出演だったが、「ドラマ初出演ということはあまり意識しておらず、目の前の作品を一つ一つやっていく、というだけでした。佐々部(清)監督も映画のように撮られていたので、ドラマという感覚はなかったです」と明かしている。

「被害者の女児は死亡」――中央新聞の記者・関口豪太郎(竹野内豊)と藤瀬祐里は、世間を震撼させた連続誘拐殺人事件で世紀の大誤報を打ち、豪太郎は支社に飛ばされ、祐里は遊軍にされてしまった。

凶悪事件から7年、豪太郎はさいたま支局にいた。「読者が望んでいるのは真実をより早く、正しく伝えること。それがジャーナルだ」という口癖で新人記者・岡田昇太を叱責しながら、粛々と事件を追い続ける毎日だった。

そんな折、女児が誘拐される事件が発生。豪太郎は7年前の連続誘拐殺人事件との関連性を疑う。事件当時、豪太郎たちは「犯人2人説」を主張していた。「事件にはやはり共犯者がいて、7年前に逃げきった共犯者が、今回、再び事件を起こしているのではないだろうか…」。

豪太郎は本社の元上司、社会部部長の外山に記事にしてくれるように掛け合うが取り合ってくれない。そんな中、本社から応援に駆け付けたのは、祐里だった。

豪太郎は、祐里、岡田と一緒に連続誘拐殺人事件の真実に迫るべく、調査を始める。「スクープにこだわってるんじゃない、人の命にこだわってるんだ!」。

ネットニュースが蔓延する今、新聞記者としての誇りを胸に、事件記者たちが様々な障壁を乗り越え、7年越しの真実に近付いてゆく...。

ドラマは本城雅人の小説[ミッドナイト・ジャーナル;講談社]が原作。家族も子どもも失った「仕事命」の不器用な新聞記者・関口豪太郎が、世間を震撼させた連続誘拐殺人事件で世紀の大誤報を打って支社に飛ばされながらも、7年越しで連続誘拐犯を追いつめるため、真実を求めて奮闘するサスペンスエンターテインメント。元新聞記者である原作者が新聞社のリアルな内幕を描いた社会派エンターテインメント作品で、本城作品を映像化するのは今回が初めてとなる。演出は、映画[陽はまた昇る]、映画[半落ち]などの佐々部清監督が担当した。

竹野内豊が演じる主人公の新聞記者・関口豪太郎とともに、連続誘拐殺人事件を追う新人記者の岡田昇太役の寛一郎は、昨年公開された映画[心が叫びたがってるんだ。][ナミヤ雑貨店の奇蹟]に出演。今夏に[菊とギロチン]の公開も控える。「しばらくは映画しかやらない」つもりだったそうだが、「台本を読んで映画っぽいなと思いました。この台本で佐々部さんが演出して、竹野内さんが主演。どうなるのか楽しみでした。佐々部監督も映画のように撮られていたので、ドラマという感覚はなかった」と話している。初のドラマ現場も「違和感なく溶け込めた」と振り返る。

初共演の竹野内サンについては「ドラマは有名な方が出ているイメージなので、竹野内さんと一緒に名前が載っている台本を見て興奮しました。かっこいい。ものすごくいい声で、声って大切だなと思いました」と笑顔。竹野内サンとの共演について聞くと、「お会いするのも初めてだったのですが、とてもフランクにものすごく優しく接してくださる方でした。岡田を演じるにあたっては、一概に全員とは言えませんが最近の若者をイメージしました。その若者が上司の竹野内さんの熱く直向きなやり方に良い意味で影響・感化されていく話なので、竹野内さんのお芝居にいろいろと岡田を引っ張ってもらいました」と感謝していた。

寛一郎君は、映画とドラマの違いについて「つまらなければチャンネルを変えられてしまうこと」と冷静に分析。「(視聴者から)『竹野内さんの後ろにいるヤツ気になるよね』って言われれば万々歳です」と放送を楽しみにしている。

最後に「報道は今現在、僕達の社会に欠かせないものです。ただ僕達の聴いている、見ている報道は本当に真実なのか。真実を追い求める数少ない記者の物語になっていると思います。ぜひご覧ください」とアピールしている。

撮影では新人らしからぬ自然体な演技で存在感を放ち、「俳優としてのDNAがそうさせている」と制作陣をうならせた。


▽田淵俊彦プロデューサー コメント
私は寛一郎さんの映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を見て唸った。自然体でありながら、触れば壊れてしまいそうな「繊細なピュアさ」や、時折見せる「芯の強さ」という相反する二つの魅力に目が離せなかったからだ。それゆえ、是非この作品の岡田の役は寛一郎さんにやって頂きたいと熱望していた。しかし、「しばらくは映画しかやらない」という話を聞いていたので、無理を覚悟で事務所に交渉した。
すると、共演が竹野内さん、監督が佐々部さんといったことも幸いして、「やらせてみてもいい」という返事を頂いた。そして撮影現場での寛一郎さんは想像以上に素晴らしかった。
一番凄いと思ったのが、「そこにいるかどうかわからないほどの自然体」という存在感である。岡田は確かに半年前からさいたま支局にいて、豪太郎の下で働き続けてきた。そう思わせるような、時間軸を飛び越えた演技表現が見事だと思った。しかし、きっとそれは意識しているのではないと思った。
そして何度か現場の撮影に立ち会い、これは持って生まれたDNAともいえる、俳優としての遺伝子がそうさせているのだと確信した。私は完全に「寛一郎マジック」に掛かっていた。寛一郎さんが演じる岡田の一挙一動から目が離せなくなってしまったのである。意地悪な言い方をすれば粗探しをしたいのだが、粗が無いと言えるほどの「自然体」なのだった。
特に私にとって印象深いシーンがある。後半、豪太郎たちと事件を追ううちに意識が変わってきた岡田が警察官に直接取材をしに行く場面がある。トイレの中まで押し掛けるのだが、その中の台詞の語尾を台本通りではなく「寛一郎流」に変えてきたのである。
テストでその魂がこもった台詞を聞いた時、「あ、変えてきた」と思った。私はそこに寛一郎さんの覚悟を感じたのだ。そんな寛一郎さんの演技表現が見られるのもこのドラマならではである。楽しんで頂きたい。
そして竹野内豊さん、寛一郎さんを取り巻く豪華な出演者陣もこの後発表してゆくので、楽しみにお待ち頂きたい。