ワーナー・ブラザース映画の新プロジェクト発表記者会見が2/9に都内で開催され、[レイトン教授]シリーズ[妖怪ウォッチ]シリーズなど数々のヒットコンテンツを生み出してきたレベルファイブの日野晃博が製作総指揮・原案・脚本を務め、スタジオジブリ出身でアニメーターとして活躍してきたスタジオポノックの[ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―]がメガホンをとった百瀬義行監督アニメーション映画『二ノ国』の製作と、今夏の公開が発表された。ほか、小岩井宏悦氏(ワーナー・ブラザース ジャパン/エグゼクティブプロデューサー)が出席した。

レベルファイブが09年に発表し、日本国内のみならず世界中でヒットを記録した同名ゲームシリーズを原案にした本作。舞台は現代の日本。山崎演じる主人公の高校生・ユウ(山崎賢人)と、その親友・ハルが、幼なじみの女子高生・コトナをめぐる事件をきっかけに、2つの世界を行き来することに。現実と二ノ国に存在する“2人のコトナ”に命の危険が同時に迫る中、ユウとハル、コトナは「二ノ国」をめぐる“究極の選択”を迫られる。

日野氏は「原作のゲームと世界観とコンセプトは繋がっているけど、映画として完全に新しいものになっている。クロスメディアの新しいアプローチになると思っています」と説明。

また日野氏は「つねに映画化を意識しつづけてきた作品。この10年、さまざまな映画を製作していていつも考えるのが、映画にする意義と言うか、ゲーム原作のアニメ映画を作ることにどんな意義があるのか、どんな効果があるかを考えてきました。でも『二ノ国』はそういう商業的な意味合い抜きにして、いい作品を作りたいと考えていた」と本作への想い入れの強さを明かしたうえで「恋愛もののドキドキと、ファンタジーとしてのスペクタクルを兼ね備えた作品。ゲームではアメリカを舞台にしていたけれど、映画では現代の日本を舞台にした物語になっていることが最大のポイント。これが世界でヒットをすることができれば、日本のイメージも変わるんじゃないかなとワクワクしています」と世界進出をほのめかした。

百瀬監督はゲーム[二ノ国 漆黒の魔導士][二ノ国 白き聖灰の女王]のアニメーション監督、昨年発売された[二ノ国II レヴァナントキングダム]ではキャラクターデザインを務めており、「二ノ国の魅力は、ファンタジーの枠に収まらないところ。面白い作品が作れそう」と声を弾ませた。

ゲーム版でもアニメーターやキャラクターデザインとして参加していた百瀬監督は、本作の魅力について「ファンタジーの枠にとらわれない面白さがあって独特」と語り「ゲームの1作目のときから映画にしたいという話があり、10年近く経ってようやく実現することができたので、面白く作れたらなと思っています」とコメント。

そして会見の場では、本作の主人公ユウ役を務める声優も発表。実写[銀魂]もプロデュースした小岩井宏悦エグゼクティブプロデューサーから名前が呼ばれ会場に姿を現したのは山崎賢人。これが初めての声優挑戦となる山崎は「恐れ多いと言うか……光栄です。まさか声優のお仕事をいただけると思っていなかったのですけど、ずっと挑戦したいという気持ちがありました」と述懐。「脚本を読ませていただいた時にすごく面白くて鳥肌が立ちました。鳥肌です、もう。初めてなのでどういう風に作っていくかもわからないんですが、そこも楽しみながら、本当に素敵なこの作品をこれから声を収録させてもらいますが、どういうふうに作っていくのかも含めて楽しみながら『二ノ国』を作り上げていきたい。ワクワクしています。全力で頑張らないとなと思っています!本当に鳥肌が立つほど面白い作品なので、素晴らしい方々と夏に向けて全力で頑張りたいなと思います。楽しみにしていてください」と意気込みを語った。

「子どものころからアニメをよく見ていて、(声優は)声だけで本当にいろんなことを伝えられるし、考えれば考えるほどすごく魅力のあるお仕事だと思います」と声の仕事へのあこがれを口にした賢人君。

声優への挑戦を「“一ノ国”から“二ノ国”に行くような、そんな自分にとってのファンタジー」と例え、声優の仕事について「一度声優の小野友樹さんにお会いする機会があって、遠い世界のように感じていましたが、声優の仕事を聞いたときに、僕の見たことのない世界が広がっていてワクワクした。声優という仕事は本当に尊敬しています」と話した。

そんな賢人君を起用した理由について、[オオカミ少女と黒王子;'15]でもタッグを組んでいるワーナー・ブラザースの小岩井宏悦プロデューサーは「ユウは現世である一ノ国と二ノ国では全く違う、ふり幅の大きな役。山崎くんは『オオカミ少女と黒王子』でご一緒したのですが、他の作品でもさまざまな顔を見せる、いまの若手ではナンバー1の演技力を持つ俳優だと思っています。この企画は10年以上の歳月を費やしており、演じてもらうなら若手ナンバー1の俳優にこだわりたかった」と説明した。

「ユウは現世ではナイーブな青年。二ノ国に行って環境が変わって、プレッシャーにさらされる中、いろんなことに直面して乗り越えないといけない。それには演技の幅が広くないと駄目だなというのもあって、彼なら演じきってくれるだろうと」と期待を寄せる。

また百瀬監督は「劇中で“二ノ国”に行くとびっくりするようなキャラクターも出てくるから、本当にびっくりするかもしれない。山崎さんらしく演じてくれればと思います」と期待を述べた。

日野氏も、「もともと山崎賢人という俳優が大好きなんです。演技力、魅力もそうですし、(主演ドラマの)『トドメの接吻(キス)』も拝見させてもらいました。ただ収録が楽しみ」と熱烈なラブコールを受けキャスティングされた。

また映画『二ノ国』の内容について問われた日野氏は、「例えば『大好きな人がいるとして、その人には恋人がいて。その人への愛が叶わないとき、異世界に飛ばされて、性格も見かけもそっくりな思い人に出会ったらどうしますか?』というような、きっかけは恋愛ものなんですけど、中身はすごいエンターテイメントスペクタクル」と解説。

さらに音楽はスタジオジブリ、北野武作品を担当してきた久石譲氏が務める。音楽を手がける久石氏に何を期待するかという質問には日野氏は「僕が期待するしないは関係ないです(笑)。毎回、素晴らしい音楽を作っていただいて」と厚い信頼を寄せる。さらに映画を作るにあたり久石氏と打ち合わせをした際には「完成した脚本を持って行ったら久石さんに『これって"二ノ国"だよね? "一ノ国"(現実世界)と"二ノ国"を行ったり来たりする楽しさががないと"二ノ国"と言えないんじゃないの』と言われて」と、シナリオを書き直すことになったという裏話も披露した。またオー・エル・エムがアニメーション制作を担当。

また小岩井プロデューサーは10年前、日野氏に会いに行ったことを振り返り「10年前にジブリの制作協力を得て、久石さんの音楽でゲームを作るっていったいどれだけの豪腕プロデューサーなのかと」と日野に興味があったことを明かす。そしてそれから10年経った今、「二ノ国」の映画化を発表できることについて「いいタイミングでこの日を迎えられて、すごく幸せです」と感無量の様子。さらにゲームから「二ノ国」に携わってきた百瀬は「『二ノ国』にはハイファンタジーとかローファンタジーというような、枠に囚われない面白さがある。ゲームに続いて関われるということで、僕としては馴染みのある作品なのでうれしい」と語った。

賢人君は「本当にとても光栄です。初めての声の仕事でこんなに素晴らしい方々とご一緒できる自分は本当に恵まれているなと思いますし、その分自分も全力で応えるしかないな、全力でやるしかないなと。頑張りたいです」と固い決意で臨む。

また、小岩井プロデューサーは「他の主要キャストについては人気の俳優さんだけでなく、オーディションで決めていく」と明かし「アニメーションはクオリティがすべてなので、慎重かつ大胆に決めて行きたい」とコメント。そしてLINE LIVEとコラボした大規模な声優オーディションを開催することもあわせて発表された。

また本日2/9に『二ノ国』の会見が行われたことについて問われると、「実はこだわったわけじゃなくて、奇跡が起こったというか。日程を調整をしていたら、2月9日が『二ノ国』の発表だったというミラクルが起きたので、この映画、当たるんじゃないかな(笑)」と笑いを呼んだ。


『二ノ国』は2019年夏に公開。続報から目が離せなくなりそうだ。