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(原沢)


学園内にて、早朝から練習に励んでいる事を…あの1件以来、すっかり仲良くなった田鶴さんから聞いた原沢は、急いで支度をし…学園に向かう。

前日の夜、何を思ったのか?…入浴T中に、念入りに全身を洗ったかと思えば…脳内にて、温かな差し入れを受け取ってくれた彼の顔が浮かんでしまい…全身から湯気を出し、手が止まる。
を、かれこれ3回ほど繰り返しているのだ。

ようやく、洗い終わり…洗い流すまで、かなりの時間が経過していたため、密かに両親が心配していたのは…言うまでもない。


原沢が就寝したのは、深夜前であったが…途中、数度の覚醒により…セットした目覚まし時計に起きれず、時間ギリギリになってしまったのだ。

息を切らして、学園に向かう原沢。
途中、早朝から練習に励むであろう生徒と挨拶を交わし…原沢は、スケッチブックを持つ手に力を込める。
それは、胸中にあるーー…
『もうすぐ、サクラ先輩に会えるっ!』ーー…との、原沢の思いの表れだった。
知らず知らずのうちに、原沢の目が輝きを増して…寒さで赤くなる頬に、温かさが宿る。


が、原沢の足が…学園に着くなり、止まる。
校門前に、田鶴さんの姿が見えたのだ。
懐柔満々の、人懐こい笑顔と…快活な手を振り、原沢を見ていた。
原沢は、急いで田鶴さんの下へ近寄ると挨拶を交わした。

「おはようございます。」
「おはよ!」

朝から元気をもらえる田鶴さんの存在は嬉しく、原沢は…頭を下げて、挨拶を交わすと田鶴さんに案内されるがまま…早朝から練習に励んでいるであろう、ハンドボール部の彼に会いに行く。


途中、女の子同士の会話に…華が咲いたのは、言うまでもない。



ハンドボール部が練習している姿を見た原沢は、思わず感嘆の声を上げる。

以前、制服姿でハンドボールをしていた彼の動きを見て…その動きの激しさを見ていたが、実際には…さらに、激しい運動である事を、目の当たりにしたからだった。

ルールこそ、今の原沢には理解出来ていないが…脳内では、ハンドボールの本を購入する決意を固めていた。


原沢と田鶴さんが、姿を見せた事に気付いたハンドボール部のメンバーが…2人に向かい、挨拶の声を交わして来た。
田鶴さんの、懐柔満々の人懐こい笑顔と快活な会話に…尊敬の眼差しを向けていれば、ハンドボール部のメンバーに自分の紹介を促される田鶴さん。
原沢が、胸の前で遠慮するように、慌てて両手を振ってみせるも…田鶴さんからすれば、逆効果らしく……原沢の肩に手を置いて、前に押し出す。

他意のない…けど、少しだけ、イタズラっ子みたいな笑顔の田鶴さん。に、異性に対する接し方の困惑と緊張も合わさって…あわわわわ!っと、なる原沢。
賑やかになる一角に、流石に気付いたハンドボール部の主将であろう男子生徒が…一緒に練習していた彼を連れ、原沢と田鶴さんの方へ近寄る。


腕にはめたリストバンドと服で汗を拭う2人。
スポーツマンらしい、爽やかさがあるものの…やはり、男臭さなるものを感じて、原沢は思わず…異性。だと、認識してしまう。

周囲には、ハンドボール部の主将と思われる男子生徒のファンだろうか?
女子生徒たちが、黄色の声をかけている。
どうやら、ハンドボール部の主将と思われる男子生徒の名はーー…行間 倫先輩。と、言うらしい。

彼よりも高い身長ゆえに、原沢は彼を見るよりも…もう少し上を見る形になり、体格の良さも加わって、更に大きく感じてしまう。

田鶴さんの懐柔満々な、人懐こい笑顔とフレンドリーさと似ている行間先輩の接し方だが…異性で慣れている彼の方が、今の原沢には安心感があり……思わず、半歩。原沢は、さりげなく…彼の方へ近寄る。

そんな原沢の行動を、何を思ったのか?
田鶴さんと行間先輩の脳内で、何かが一致したようで……原沢は疑問符から、キョトンとした感じでいる。
が、彼の表情は…げぇっ!っと、言わんばかりの表情をしており…傍迷惑、との声すら…聞こえそうだ。





上記から、散々田鶴さんに原沢が揶揄われ…行間
先輩に、彼は揶揄われつつも…お互いに慣れたように、あしらい合う姿があった。

今は、朝練を再開した2人を…邪魔にならない位置で、田鶴さんと一緒に見ている。

「私もサクラ先輩に、…あんな風に差し入れしたら……やはり、驚いちゃいますかね?馴れ馴れしくし過ぎて、引かれちゃいますかね?」

行間先輩への黄色の声と、合間合間に入る差し入れの数々。女子生徒たちからのモノだ。
積極的な女子生徒たちの姿を見て、ハンドボールの邪魔をされてしまい…やや不機嫌な顔をする彼の姿に…どこか、安心感を覚える原沢。
彼に対する差し入れも、無きにしも非ずなのに…受け取らない彼の姿に、自分の差し入れも受け取らないのかな?ーー…と、思いつつ。
しかし、以前…雨の日に渡した、温かな飲み物は受け取ってくれた事を思い出して…原沢は、隣にいる田鶴さんに尋ねた。

彼の姿を視線で追いかけつつ、1人百面相をする原沢。彼の行動に、一喜一憂する姿はーー…まさに、彼に思慕を向ける1人の女の子の姿だ。


やや不機嫌な顔をするたびに、原沢は…以前のように、少しだけ…手を振ってみる。指先だけの、小さな応援。



そんな原沢の、小さな応援に…彼と田鶴さん、行間先輩は何を思ったのか?



近づく文化祭を前に、彼と原沢に動きはあるのか?ーー…な?
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