俳優の佐野史郎と勝地涼が11/10放送のフジテレビ系特別ドラマ【世にも奇妙な物語 ’18秋の特別編(21:00-)】内オムニバスドラマ『幽霊社員』にW主演することがわかった。佐野サン演じる存在感ナシ、定時になるとすう〜っと帰ってしまういわゆる“幽霊社員”の工藤良治と勝地君演じる過労の末若くして死んでしまった本物の幽霊・里山秀平のちょっと変わった友情を描く人間ドラマとなっている。
主人公の工藤良治は、とある建設会社の社史編集室でひっそりと働くサラリーマン。周囲からは「あんな人、ウチの会社にいましたっけ?」と陰口を言われるような覇気の無い人間で、仕事への情熱はとっくの昔に失っており、定年まであと4年、余計なことをせずに平穏に過ごそうと心に決めていた。ある日、会社のトイレに入った工藤は、過労死したはずの若手社員・里山に遭遇。里山の姿が唯一見え、しかも会話までできてしまう工藤は里山から、「最後の仕事をどうしてもやり切りたいんです! どうか力を貸してください!」としつこくせがまれ…。
同シリーズに“特別な思い入れがある”という佐野サンは、1990年放送[超・能・力!]で初出演。その後、2008年放送の[推理タクシー]まで計9本、今作がちょうど10年ぶり10本目の出演となる。勝地君は、2000年公開の映画[世にも奇妙な物語 映画の特別編]の[携帯忠臣蔵]、2010年放送の[ニュースおじさん、ふたたび]、今作は3度目の出演にして初主演となる。
生きているのに死んでいるような工藤と、死んでいるのに生きているような里山を演じる佐野サンと勝地君はこれが初共演。同ドラマを演出するのはドラマ[僕の生きる道;'06]や映画[笑の大学;'04]などを手がけてきた星護監督。星監督は、1990年の第1回放送から本シリーズに携わる創始者の一人で、本作が31本目、11年ぶり。佐野サンとは1994年放送の[世にも奇妙な物語]の名作SFスリラー[恐竜はどこへ行ったのか?]などでタッグを組んでいる。
▽佐野史郎コメント
――「世にも―」について
「世にも―」には特別な思い入れがあります。今回これでちょうど10本目の出演作。90年代、共同テレビの強烈な演出陣との作業が本当に楽しかったので、その熱を久々に思い出させていただきました。
もともと幻想怪奇の世界は好きでしたし、そういうものがドラマでシリーズ化できないかなって思っていたときに「世にも―」のような作品が出始めて。
当時はバブル経済が崩壊しかけていた時で、世の中が落ち着かない、何を信じたらいいのか分からないような状況で。そういう時代だからこそ、かえってファンタジーやホラー作品を、生身で生きてる人たちが求め始めたんでしょうね。
幻想怪奇の世界は、幽玄で捉えどころのない面もあるけれど、ままならない市井の人たちに安らぎを与えてくれるような、そして演じている僕らも救われるようなメッセージが込められていると思いますし、見ている人と作り手の魂の合流ができればいいなと思って演じています。ハートウォーミングな、救いのある、でも容赦ない、大好きな作品です。自分にとっても10本目の記念すべき作品ですので、他の作品との組み合わせも楽しみにしています。
――勝地の印象について
勝地さんとは今回初対面でしたが、非常に真面目な方ですよね。正直で、自分の気持ちを大切になさっていて。嘘のないよう、現場で常に葛藤しながらだったかも知れませんけれど、温度もその分高くて。
僕とは対照的だったかもしれないけれど、コンビっていうのはお笑い芸人のボケとツッコミじゃないですけれど、そういう組み合わせのほうがいいと思いますよね。
――星監督について
昔と変わらず映像のイメージがはっきりなさっていて。イメージをすり合わせたり、折り合いつけたりするのに悩むこともありましたけれど、葛藤が多ければ多い分、成立した時の喜びは大きいですよね。その熱が各シーン、各カットに表現されていると思います。
▽勝地涼コメント
――台本を読んだ感想
面白い台本だなと思いました。幽霊の話だけど、ほっこりする話で。生きているのに死んでいるような人と、死んでいるのに生きてるような人が交わる不思議な話ですが、“死んだからといってそれで終わりじゃないんだ”という、生きている人に勇気を与えるテーマ性に共感しました。
主人公の工藤も、幽霊と出会ったことがきっかけで新しい第二の人生が始まるわけですし。上司に裏切られたり、手柄を横取りされたりするうちに心を閉ざしてしまった工藤。その心を開くのが幽霊だった。いい作品ですよね。
――佐野の印象について
佐野さんとは今回初めて共演させていただくのですが、佐野さんのこだわりをもった役作りを間近で見ることができて楽しいです。クスッと笑えるシーンもあるのですがコメディー要素を出しすぎないような微妙な線引きを、佐野さんがリアリティーを持って演じてくださっています。
僕は幽霊を演じるのは初めてで、どれくらいの“死んでいる感”と快活さを表現すべきか難しかったですが、現場で探りつつ、監督の意見とすり合わせながら演じさせていただきました。
――もし幽霊になってしまったら?
僕自身、もし今死んでしまったらやり残したことだらけになってしまいます。その気持ちは里山と一緒ですが、里山のように幽霊になって何かをするというより、生きている人が死んだ人のことを思って頑張る、というほうが僕は好きなんです。
いつ死んでも、“あの人はこうしていたもんね”って言われるような人生にしたいと思います。友達にも、結婚した相手にも、仕事関係者たちにも…。しょうがないことですけれど、昔テレビで見ていた俳優の先輩方も、亡くなっていってしまうんですよね。
最近特に考えるのですが、僕自身、(次の世代に)与えていく人になっていければと思っています。それに、年の離れた友情って僕はすごく好きなんです。「幽霊社員」は脚本から面白いので、ぜひ楽しんで見ていただけたらうれしいです。