俳優の高良健吾が、異常者のゆがんだ愛の形を描く安里麻里監督の映画『アンダー・ユア・ベッド』で、主演を務めることが発表された。高良君演じる主人公が愛する女性の自宅に潜入し、ベッドの下から彼女をのぞき見る不気味な姿を写し出すカットも公開された。

家でも学校でも誰からも必要とされず、存在を無視されてきた三井直人(高良健吾)は、学生時代に初めて「名前を呼んでくれた」女性との11年ぶりの再会を夢見て、追い始める。しかし、目の前に現れた彼女は別人のように変わっていた。彼女に何が起こっているのか。直人は彼女を監視するようになり、自宅に潜入してベッドの下で真上の彼女を想い過ごし始める。加速度的に暴走していく男。これは愛ゆえの盲目なのか、それとも狂気なのか――。

「リミッターを外せ!」を合言葉にKADOKAWAとハピネットがタッグを組み、ホラーやサスペンスの先鋭的作品を開発・発信し、タブー視される題材にあえて切り込んでいく「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」の第2弾。中田秀夫が監督、飛鳥凛が主演を務める、4月12日公開の[殺人鬼を飼う女]が第1弾作品となる。その第二弾となる作品である『アンダー・ユア・ベッド』で高良健吾が主人公の三井直人を演じることが発表された。

[殺人鬼を飼う女]で知られる大石圭氏の同名小説を原作とし、メガホンをとった安里麻里監督は、[クリーピー 偽りの隣人;'16]の黒沢清監督や[抱きしめたい 真実の物語;'14]の塩田明彦監督などの助監督を経て、04年に[独立少女紅蓮隊]でデビュー。歯切れのよい演出で高い評価を得る。14年に監督した[バイロケーション;'13]ではホラー要素と謎解きミステリー、人間ドラマを融合させるなど、各方面で絶賛を浴びるなど、若手注目株の監督だ。そのほかの作品に大ヒットシリーズの三連作[リアル鬼ごっこ3・4・5][劇場版 零〜ゼロ〜][氷菓]など確かなファンを獲得している。

高良健吾が演じるのは、主人公の三井直人。愛する彼女への一途で純粋な思いと、異常で孤独な男の切なさを持った、繊細な役どころとなる。他人から存在を無視されてきた男が、愛する女性をのぞき見し続けるというゆがんだ形で、悲惨な境遇にある彼女を救おうとする様を描く。


▽高良健吾コメント
いつもより個人的な想いが多くある現場だった気がします。続けてこられたからこそご褒美が多かったというか。若い現場だったのでエネルギーもあって気持ちがいい組でした。
この作品は心から痛々しくて不気味ですから、ご褒美、気持ちがいいという想いは現場中にはゼロ、むしろマイナスになるのですが、それでも、確かにあったと今でも思える日々、現場でした。
観る人をなんともいえない気持ちにさせる作品なのかもしれませんし、R指定がついているので観る人を選んでいますが、笑えるか笑えないかは気分次第の不気味な愛と緊張がある作品だと思います。

▽安里麻里監督コメント
原作『アンダー・ユア・ベッド』は「もう一度名前を呼ばれたい男」の話だ。ただ「名前を呼んでくれた」という些細な事が、主人公・三井にとっては、かけがえのない幸せの記憶。その女を妄想的に想う。変質的であり、純粋でもある。この危ういキャラクターを描いてみたかった。狂気か愛か分からない瞬間をいくつも。緊張感と過敏すぎる空気感。そんなヒリヒリする映画を作ろうと思った。
主人公・三井は高良健吾さんに演じてもらった。繊細な役どころで、同じシーンでもニュアンスを変えていくつか芝居をしてもらう事があった。こちらが一言投げかけるだけで、まるで別人のような顔つきに変わっていて、よく驚かされた。「目を離してる間に何か塗りました?」とメイク部に聞いたほど。とんでもない役者と出会ってしまったと思う。
暴力描写はかなり激し目だ。でも、だからこそ裏腹に、大きな癒しがこの映画にはある。このカタルシスを、多くの人に味わって欲しい。


『アンダー・ユア・ベッド』は7/19に東京・テアトル新宿ほか全国で公開。