私は車の後ろの座席へ…
荷物(ショルダーバッグや病院のスタッフのお土産)を持って乗せてもらいました
いいのかなぁ…
康介さん?
私なんか相手にしていて?
とても忙しいはずよね…
康介さんの職業は医官なのに…
医官(いかん).....
医師の資格を有する陸・海・空自衛隊の幹部自衛官のことです
一般的な軍隊の軍医に相当します
ただね、歯科医師の資格を有する者は「医官」とは別の制度で「歯科医官」となりますよ
医官(自衛官)になるためには、防衛省所管の防衛医科大学校を卒業するのか、医師の免許を持つ者が防衛省の公募する「医科歯科幹部採用試験」に合格することが必要になるの
防衛医大卒業生は、卒業と同時に陸・海・空のそれぞれの幹部候補生となり、「曹長」の階級が与えられます
幹部候補生学校ではおよそ6週間、幹部自衛官としての教育を受けますが、あくまで基本的な内容に留まります
それはね
一般の幹部自衛官とは職務内容が大きく異なり、あくまでも「医師」としてのお仕事であるため、体力的な訓練や統率、指揮などの教育はあまり必要とされません…
公募により採用された医官・歯科医官は、免許取得後の実務経験年数に応じて階級が定められるため、入隊時に突然、2佐に任命されることもあるそうよ…
幹部候補生学校の卒業と同時に、2等陸・海・空尉に任官し、研修医官となります
旧軍でも医科大学卒の者の軍医としての振り出しは軍医中尉からでしたが、これは医師という特別な技能を有する者に、兵科将校とは別に尊重する必要があるためでした
任官までの修業年限が長いことに対する調整と、他の職業と異なり医学における莫大な学費を投じたことに対する調整という意味合いです
以前は大半が防衛医大の研修医になったそうですが、今は自衛隊中央病院と防衛医大をそれぞれ計2年間になるカリキュラムで研修します
研修医のマッチングは行われていないし、防衛医大や自衛隊中央病院は他大学卒の初期研修(マッチング)対象外です
研修内容は厚生労働省の定めるものに沿った研修ですね
2年間の初任実務研修が終了した後、いよいよ、それぞれの部隊に配属されます!
この時期(初任実務研修終了直後)の医官は陸上であれば、方面衛生隊などの衛生科部隊配属が基本です
配属直後に、陸自衛生学校でBOC(幹部初級課程)へ入校が命じられます
海上自衛隊の医官の6割は潜水医学実験隊での潜水医官課程で....
航空自衛隊の医官と海上自衛隊の残りの4割の医官は、岐阜病院教育部及び航空医学実験隊での航空医官課程にて、それぞれ1カ月半ほどの教育を受けます
※
部隊にもよりますが、最大週2日の部外通修が認められるので、その間に研鑽を積む者も多いそうよ
病院配属であっても、その所属だけでは医師としてあまりにも症例が不足(医師としては経験が足らない…と言う意味)しているケースが大半です
部隊勤務1年半を経過した1月に、全員が1尉に昇任!
その半年後に、専門研修医官となります
その間、潜水医官課程・航空医官課程を修了した海・自・及び空自の医官は、それぞれ潜水医官記章及び航空医官課程修了後2年間の部隊勤務経験を経た後に航空医官記章が付与されます
概ね2年間の部隊勤務が終わると、専門研修が命ぜられます
ほとんどの者は防衛医大、自衛隊中央病院で研修していますよ
専門研修医官(専修医)は、常に人手不足に悩む防衛医大の各医局にとって、貴重な実戦力でもあります
専修医は2年…
これを終了すると、陸では衛生学校のAOC(幹部上級課程)に入校します
海と空では、それに相当するような教育課程はありません…
専修医を終わっても、学位は授与されません…
それ以上の医学を研鑽したい者は防衛医大研究科を受験します
受験科目は英語と専攻科です…
研究科は大学院に相当し、4年間在籍して審査を経て、「博士(医学)」の学位が大学評価・学位授与機構から与えられます
※
防衛医科大学校には学位授与権がないのです
それぞれの科にもよりますが、採用人員は年に1〜2名程度と少ないですよ
研究科を修了した者のうちで、研究者・教育者に向いていると判断された者は、しばしばUC転官を勧められ、制服を脱いで、文官たる防衛医大助手(防衛教官)になり、防衛医大を支える人材に…
防衛医科大学校・卒業生は、全員が医官として自衛隊で勤務することになりますが、卒業後9年以内に退官する場合は、教育に要した経費(卒業後の勤務年数によって異なりますが、最高で約5000万円程度)を国庫に償還することになっているそうです
「綾奈ちゃん!
時間あるかい?
少し寄り道したいんだけと…」