夜の空港。周りを山林に囲まれたその場所は、市街地とは違う雰囲気を漂わせている。
静かな中に突如現れる巨大な人工物。
キラキラとした沢山のライト。様々な場所へと旅立つ人達。











浩太「壱が旅行に行ってる間、色々考えてた」



私「何を?」



浩太「俺には覚悟がなくて。未来への覚悟」



私「………」




浩太「壱が最近結婚意識してるのは知ってたんだけど、いざ!って思うと恐くて。なかなか先に進めずに、気付けば付き合ってもう3年半も経ってて。」




私「うん」



浩太「壱が今回旅行に行って、一人で家にいたんだけど。…壱がいないうちの中がすげー寂しくて。やっぱ壱がいないと嫌だなって思って」



私「うん」



浩太「そう思った瞬間、覚悟できたから」




そう言って浩太は小さい箱を手渡してきた。




中には、高級時計が。





浩太「同じ時を刻むっていう意味で。お揃いの婚約時計。…俺と結婚してください。」




ビックリした。
確かに私は結婚を意識し出してはいたけど…浩太に強要はしたくなかったから結婚の話を出した事は無かったし、いつの間にか「結婚」というワードは私達の中で禁句のようになっていたから。
浩太がこんな事を考えていたなんて。昨日の夜に電話した際はいつもと全然変わらずだったのに。



でも、本当に。本当に嬉しかった。






私「はい、喜んで!」






小さな日本の、小さな田舎町に生まれ。
特別な才能もなく平々凡々に育ってきた私は。



そんな中でも色んな人と出会い、別れ、そしてまた出会い。
永遠を共にしたいと思える人を決めました。





空港のネオンに照らされ、車の中で。
私たちは永遠の誓いを立てました。




浩太「あ、因みに時計の他に指輪もあります」



私「マジで?」



浩太「俺が会社の機械で作りました」




私「さすが職人!!」









もう少し続きます。