血晶花の散花

例えるならそれは
錆び付いた
干涸らびた
干上がった
涸れ果てた
油の切れた

彼女の心。

愛のストックが無いのに他人に愛を振りまけるわけが無い。

彼女を再び動かすには、潤滑油が必要だ。
雨乞いが必要だ。
嵐が必要だ

涸れたモノを満たすために。

頑張れ頑張れと責め立てられながら、自分で自分の首を絞め、僕らにしめられ。

どうしたら彼女の心はもう一度満たされるだろうか。

彼女の湖を、井戸を、満たす方法は何所にある。

「彼は私にとってヘロインのような男なのだ。
私に向けられた言葉が、匂いが、声が、待つことに疲れた私に毒のように入って来るんだ。
甘い甘い死の毒だ。
私は７年待った。
７年も待った。
もう、疲れた」

そういった。 

僕たちは彼女にこうも言える。
７年も待てたんだ。君なら大丈夫だ。
と、
君のその失敗が今世をぶちこわすんだよ。

どちらにしても辛い言葉かもしれ無いが、後者の方がまだ、傷は浅く済む。

ただ、どちらにしよ彼女はもう疲れ切っていることに違いは無い。

あと４年
あと、３年 
あと・・・２年 

責任感の強い、強すぎる人格だったきがする。

それもそうか、一国を背負ってたんだ。

だけど僕はそれを許すことはでき無い。
十分休んだだろさあ動けと攻めたてることができる。

もし彼女がもう一度表にでてきたとして、彼女はもう一度そのドラッグを求めて道を踏み外して、また別の男に依存するか、もしくはもう一度あの男に戻るんだろうな。

もう手首を切るだけじゃ、彼女の傷は癒され無いのだろうね。

僕やマイラのように最初っから心の一部がかけていたなら、きっと彼女は僕らの女王様のように強く強く歩めただろう。
でも、そうなれなかったのはきっと神様がそうしろと、女王様がそうあれと許さなかったからだろう。
ただただ写真を見つめて会えますようにと、私を覚えていてと、忘れ無いでいてと７年も泣いたんだ。
僕にそれができるだろうか。
神の道を歩くにはすごく辛いのに、地に堕ちるのは一瞬なんだ。
彼女は本当に弱いのだろうか。
まぁ、彼女のことを庇護するつもりは無いけど。
国語の教科書だったか道徳の教科書だったか、初恋の人を１００年間待ち続けた話どっかにあったよね。
僕たちは１０年待てたんだ。１００年２００年待てるさ。
そうしたら次はもっと上手に生きられますように、て。

君の中身を再構築できるのは君しかい無いんだよ
アイリア。
どうか負け無いで。
僕たちには神様の加護が、女王様の加護があるんだから。
だからどうか薬物のような男の誘惑に負け無いで。折れ無いで。
僕に凛々しいその背中をもう一度見せて。

そうしたら僕はきっと、安心して眠れる。

五年経ったら髪伸びる。
五年かぁ。長いな。
今の長さだと五年は必要だよね。多分。
バリカンでじょりじょりしちゃったし。

先にあの子の髪が早く伸びるんだろうな。

まだ前のバイト先で働いてる夢を見る。
火曜出勤日だったからかな。

最後のチャンスだからね。
あの男が来ても来なくても君は必ず行くんだよ。

残りの１週間、愚かなお前のために。

僕たちに安息の眠りが訪れますように。

せき止められた痛みがもう一度流れるから、それに耐えられる心を、育てられますように。

tarantella

この子の７つのお祝いに 御札を納めに参ります いきはよいよい かえりはこわい こわいながらも とおりゃんせ とおりゃんせ

きつね きつね 狐 御狐様

油揚げは捧げられないけど、血液ならだばたぁっと できます

きつね きつね 狐 御狐様


あそこの公園も、たしか、狐。

許されればいいわけじゃ無い。
自分がどんなことをして彼女の怒りに触れたのかちゃんと理解し、噛み砕いて、味わって、嚥下しなきゃ、永遠とそのままなんだよ。
髪の毛が無いと泣き喚くよりも前に、やるべき事があるんじゃ無いかな。
マイラが唯一生き残ってなきゃ、壊れてたのは分かっていただろ？でも誰かがそれを寸でで引き留めてくれたから、マイラが何とかして２年も頑張った。
それなのにまだその闇の中に右半身横たわらせてぬくぬくするつもりかい？
僕たちがどれだけ動こうが始めた君が終わらせなきゃ僕たちの中の彼が消えることは無いんだよ。
ねぇ、気付いてる？約束された日まで三ヶ月無いんだよ？
君が彼女の言葉を聞かず、欲の内の声に耳を傾けた罪をいい加減自分で背負ってくれないかな。
膝が重くても動けよ。肩が重くても動けよ。思考に霧靄がかかってようがたった１つの目的を完遂しろよ。

落魄れた魔女め

彼女の最後のチャンスを無下にしないことだね。

呪いとなってしまったのなら呪い返しを。

言葉を返してやろう。

ねぇ