道内では、人口減少や高齢化で地域の農業や漁業を担う人材が不足し、大きな課題となっています
こうした中、養護学校を卒業した知的障害のある人たちに農業の分野で働いてもらおうという新たな取り組みが道南の今金町で始まっています
今金町は人口5500人あまり
人口は最も多かった昭和30年の半数以下に減り、3人に1人が65歳以上の高齢者です
こうした人口減少と高齢化は町の基幹産業の農業を直撃していて、農業の現場では必要な人手を確保するのが難しくなっています
こうしたなか、ことし2月、町の人たちが出資して人材派遣会社「i・スマイル」が誕生しました!
この会社に、養護学校を卒業したY・SさんとY・Nさんの2人が今月、入社しました
この会社の主な業務は、知的障害などがある若者たちを農家へ派遣し新たな戦力になってもらうことです
会社の事務局長を務める小林洋伸さんは、「やはり多様な人材を活躍できる今金町にしていきたい
その役割を養護学校の子ども達に担ってもらいたい」と話しています
2人は、入社から4日後、初仕事にのぞみました
派遣先は、町内でミニトマトやコメを栽培している農家です
今金町の養護学校の卒業生は、大半が函館市などの作業所に就職します
新たな会社には、人口流出に歯止めをかける狙いもあります
以前から農業に関心を持っていた2人はこの農家でこれまで研修を受けてきました
初仕事で任されたのは、農業用ハウスの修理でした
この農家では、収穫の繁忙期には20人のアルバイトを雇いますが、その確保は年々難しくなってきているといいます
農家の伊藤司さんは、「10人に声をかけたら1人見つかるかというぐらいで、人材確保はすごく難しいです
その中で若くて力もあってしっかり働ける彼らが年間通して作業していただけるのはすごくありがたいです」と話します
2人は今後、トマトやコメを栽培する本格的な農作業に取り組むことになります
中田さんは、「自分のできることを全力出してやろうと思いました」と話していました
会社では今後、養護学校の卒業生の採用を増やし、町内での派遣先を農業以外にも広げていくことにしています
小林さんは、「これまでの守っていく福祉というのではなく、しっかりと自分の特性を生かして活躍できるような雰囲気作りを町全体でしていきたい
障害があっても活躍できるビジネスを育てていくことで収益を上げていきたい」と話していました
障害者に地元の経済を支える一員になってもらうことで、まちの活性化につなげる…
人口減少に悩む地方が元気を取り戻すためのひとつのモデルとして関心を集めそうです