そこに居たって、なんの抑止力にもならない。
父親という存在がいても、私の心はがっつり母親から傷つけられて、アフターケアなどなかったので今でも傷口はふさがってない。

巻かれるバームクーヘンはいつもいつもいびつに傷が入ってる。

中村さんと付き合って4か月たった。
中村さんと会える土日がとても幸せで、家に帰るのがいつもいつもつらい。
家に帰れば母は父に喧嘩を売り、姉は死んだ目で酒におぼれてる。
死人の巣窟に帰るのがいつもいつもしんどくてつらい。
生きてる人間はこの家にいない。
私の本体は死んでる。本当の私なんてもういない。3歳のころ母に殺された。

そんな家に帰りたくなくていつもいつも帰りたくない気持ちを少しだけこらえて中村さんのお家の玄関を出る。

家がシェオルだとすれば、「今は」中村さんの傍がエデン。

自分の父親は決して悪い父親ではないのはちゃんとわかってる。
浮気もしなければ、借金もしてない。ちゃんと働いてるし、ちゃんと家に帰ってくる。
ただ、あまりにも子育てから逃げてた。

人間完璧な人なんていない。

そう思って父に失望するのもまた自分を助ける手立てかもしれない。

でも父親が子育てを母に丸投げし、眼を背け続けた結果が今の姉と私であって、幼少期のころ、母の理不尽な言動に晒された私たちを父がきちんとケアしていたら、きっとすこしだけ未来が変わっていたのかもしれない。

父が、もう少しお金のかかる趣味を自粛してくれてたら、私たちの未来は少しだけ変わっていたかもしれない、けど、こんなこと後の祭りだ。全部全部全部!”!!!!全部後の祭りなんだ。


もし、中村さんが父親になったらって、考えるんだ。
きっと優しい父親になると思う。けど、きっと子供の心を育てることに関しては避けるんだろうなって思ってしまう。
先ず、私が子供を虐待する確率が100だから作る気はないんだけど。

私は自分がされてきたとおりの教育、育児しかできない。
できないわけでは無い。ただ、お手本がそれしかない。
間違ったお手本、反面教師に思い返しながらなんて、傷ついたバームクーヘンを癒さずそんなこと耐えられない。

先ず私や姉は愛のうちに、望まれて生まれてない。
姉は金、私は次いで。


さて、こんな環境で育った私と、多分きっと普通の家庭に育った中村さんと、つり合い、意識のすり合わせはできるでしょうか。
答えは、NOではないだろうが、すごく難しいでしょう。