こんばんわ
頂き物のワラビをモリモリ食べたら先程から腹痛の止まらない男です
なしてこんなお腹弱いんじゃろ?
んでだ
今日からとあるお施主様のお宅の増改築工事に着工致しました
息子夫婦と同居するに当り、手狭な部屋を広くしてさらに増築いたします
新築工事はきっちり年期を明ければよほどのバカで無い限りは、五年目の新人でもできます
ですが、
増改築となるとそうはいかないのです
しっかりと図面を読み込む力
その上でその建物の各所への力の掛かり方や、特色などを見極め、さらにそこから現行躯体に無理な力が掛からぬように新たな部屋を作り上げる
積み木とハリボテみたいな家を作って
大工面してる方々にはとてもじゃないけど無理なお仕事
偉そうコイたけど私もまだまだあまり得意では無い仕事だったりする
でもね
得意では無いと言え、親方とお施主様に任せられたと言うことは信頼してもらってる証拠
得手不得手とか言ってるばやいじゃない
むしろ、不得手な事が分かっているから不備と失敗の無いように1から10の仕事を細かく砕いて1から100位まで見直す
お施主様に後悔の無いように
勿論大工としての自分に後悔の無いように
そんなわけでここんとこずっと深夜まで図面とにらめっこしてましたよ
実際は元の大工さんの腕と目利きが素晴らしく、ほっといても後4〜50年は持ちそうな家なのでそんなに大変では無いのですが
問題は一本の柱
お施主様の意向に沿った工事となると、どうしてもその柱が邪魔になるのです
息子さんは
「無くても問題ないならこの柱を無くして貰いたい」
とおっしゃっており、お父様も
「息子の言う通りやってあげて下さい」
と仰っていたので、柱をぶっこ抜く気マンマンだったのですが
息子夫婦様方の不在の日に、私がたまたまお施主様のお宅の近所を通りかかったのでお茶菓子を持って伺ったのですよ
これが地獄の始まりじゃった
お茶菓子を届け、すぐおいとまする予定がお茶を勧められ一服頂くことに
お施主様「わざわざありがとねぇ」
わし「いえいえ、たまたま近所を通ったので」
お施主様「ところでこの柱じゃけど」
わし「あ、大丈夫です、その柱を抜いても大丈夫なように仕上げますよ」
お施主様「そうかい」
わし「?」
わし「心配でしたら、構造耐力の耐力計算書もお出しできますよ?」
お施主様「いやいや、家の事はお宅に任しとけば疑いよらんけぇええんじゃ」
そして茶を啜りながら柱を眺めるお施主様
釣られて私も茶を啜りながら柱を眺める
すると
多分御自分で塗り直されたのであろう柱を良く見ると無数の傷が
今はあまり無いのかもですが、私の幼い頃も、その家の子の成長の記録として柱にその子の身長を記していたのです
柱の傷は家族の歴史
家族の歴史は家の歴史
まだまだ大工歴14年目の駆け出しとは言え、柱の傷を見落として、延いてはお施主様の建てられたお宅への気持ちを見落としたのは失態以外の何物でもなく
早々に茶を飲み干し
私「すいません、やっぱりこの柱は抜けません」
お施主様「何か問題でも?」
私「構造上は図面通りに別の場所に柱を建てれば問題はないです」
お施主様「」
私「ですが、この柱が無ければこのお宅の歴史が無くなると同義と思い直しました」
お施主様「そうですか」
私「若輩者とは言え、柱の傷を見逃し、お宅様への配慮が足りませんでした、申し訳ありません」
お施主様「ええんよ、ワシも言い出し辛くてのぅ」
私「すいません、図面引き直してまた伺います」
そこから多分1日二時間睡眠で頑張ったのですが、どうしてもその柱を抜かねば息子夫婦の理想のお宅には成り得ないのです
その旨をお施主様にお伝えしたら
お施主様「仕方ないならええよ」
私「申し訳ありません」
お施主様「しかし余程頑張ってくれたみたいじゃね」
私「いえ、努力不足です申し訳ありません」
お施主様「眼が死んどるよ(笑)」
私「、、、結果が伴わない努力は無意味です」
お施主様「そこまで気を遣って貰って、むしろ申し訳ありません」
私「」
お施主様「あの柱は確かに我が家の歴史です、ですが、これからはあの柱に変わり、貴方に新しく建てて頂いた柱に息子達が新たに歴史を刻んで行くのでしょう」
自分の力量不足に対するお施主様の温かい言葉
危うく泣きそうになりましたがグッとこらえ
私「申し訳ありませんがこの柱は移設とゆー形で再利用させて頂きます」
お施主様「え?」
私「いや、この柱はまだまだ使えるので、新しい玄関口の見付の柱に使います」
その時、一瞬だけでしたが、ものすごい笑顔を見せてくれたお施主様から頂いた和菓子とお宅で浸けられた南蛮漬け?みたいなのをツマミに本日は久しぶりの晩酌です
明日からも頑張らないといけないので軽めでしたが、日記を記してる家に目頭が熱くなり、気付いたら3合瓶が空になりました
そんなわけで寝ますわよ
ぐんない米米
ちゃお