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舞台「わたしを離さないで」感想のようなものH(終)【役者のこと&演出的なこと】

※※盛大にネタバレしてますので要注意※※

※※ネタバレOKな方のみ、自己責任で続きをどうぞ※※

※※いつものことですが、無駄に長いです※※

 


…とゆーことで、「わた離」舞台の感想のようなものはこれで最後です。
は!?まだやってたのかよ、って感じですけど、役者さん語りはメインのストーリーの感想とは違うような気がして、省いてしまったので…。
実はもう書かなくてもいいかなーと少し思ったけど、ノートに書きなぐったところのジャンル別色わけで、紫色のペンで「役者的なことへ」とメモして囲ってある部分を書き留めておかないことが、なんか私の中で心残りでしょーがないので(笑)。…そんなに大層なことが書いてあるわけじゃないんですけど、一応。


ではでは、まずはメインの役者さん3人について。三浦さんに関しての成分多めです。

まずは多部さん。生では初めて拝見しました。
いやー、もうね、お顔がびっくりするほどキューーーっと締まってて小さい!!常々りょんさんもとびきりに小顔だなぁと思っていますが、彼と並んでさらに小さいってどんだけ!というほど。パーツも一つ一つ派手ではないけどスッキリ整っているからこそ、舞台メイクもよく映えて、近くの席でも、すこし遠目の席でも、すごく清楚で可愛らしい!でもキリッとして凛として、聡明感たっぷり!…という印象です。

そしてあの小柄な体から溢れている、素晴らしい安定感。そして安心感。私の観た回では、セリフのトチりなど一つもなく…発声、表情、動作、八尋の降臨具合、どれも完璧で圧倒されちゃいました。どの一瞬を切り取っても、そこに八尋が生きている、っていうふうにしか見えない!スゴイです。

あと、声がすごくいいんですよねぇ…。普段のインタビューの声は割と小さめで落ち着いて訥々とお話しする女性だなぁと思うんですが、いったん舞台にあがると…、多部さんのお声、肌触りのいいタオルに包まれるみたいに落ち着ける。小さな呟きのようなセリフもハッキリ聞こえて、耳に心地いいんです。

多部さんがデビューしてからずっとお仕事途切れずにお忙しく活動されてることに、すごい納得。
原作のキャシーは好きになれなかったけど、八尋のことはとっても愛おしく思えたのは、八尋に心情をなるべく語らせない手法をとった脚本の力もあるはずですが、私の中では7割くらいは多部さんが八尋だったおかげかなぁと思っています。

そうそう、八尋ともとむのラブラブ(?)場面、すっごくシックリきました。多部八尋の安定感と三浦もとむの浮世感が、素敵な化学反応を起こしていて印象深かったです♪ あと、個人的に身長差に萌え!(笑)。


そして木村さん。彼女も生では初めてです。…いやーもうねー綺麗な人だったわー。でも、現代的なクールな美人というよりは、業とか湿度とか夕暮れを背負う美人さん…みたいな…こう…灯籠の似合うシットリとした感じ。三つ編みの似合う和風な美しさ。

舞台出演は今回が初めて…ということでしたが、広いステージでの演技に委縮した感じは全然なかったです。また、舞台用の発声が、金属同士が反響してるみたいな印象があるので、「鈴」という名前はそこからつけたのかな?と思ってしまいました。それくらい、声が「鈴」っぽかった!
そして、初めてならではのガムシャラ感というか、脇目も振らずに生のお芝居に集中している感じがありまして、そういう雰囲気がすごく、鈴のなりふり構わずに欲しいもののために潔く行動するところに、ピッタリはまっているなぁと思いました。

鈴って、女性視点からすると、すごく言動様式にデジャヴ感があるというか…「そうそう、こういう気持ち判るわ〜理屈じゃないのよねぇ」「あーー、またこいつ…!クラスにこういうイヤな女いたわ…!」みたいな、なんとも二律背反を抱えてる子なんですよね。「共感」と「反発」がクリームのように混ざり合っている女の子。

一歩間違えると、盛大な嫌われ役だった(主に女性に)危険もあった難しい役だったと思います。でも、木村さんから感じる「業の深い感じ」とか「お芝居に向き合う必死さ」みたいなものに惹きつけられて、鈴ちゃんたらもう…!!罪なことはしたけど、貴方はただ、自分の気持ちに正直に行動しただけよ…!…みたいな、なんかもう許せちゃう愛おしさを覚える鈴をつくってくれた…ような気がします。鈴役が木村さんで良かった。本当にそう思います!
…ただ、できれば、鈴ともとむが幸せなカップルだった時期の生お芝居も、木村鈴と三浦もとむで観てみたかったなぁ…。美男美女の夢のような綺麗な恋人同士の図…険悪時期じゃないのも生で観たかったよ…!!


そしてそして。三浦さん。正直、彼がクレジットされていたから…という理由でチケットを取りました。彼の生のお芝居は、2012年6月に「bambino!FINAL」の新宿2丁目のウリ専ボーイから音楽活動を始める男の子の役と、同年9月の「ボクの四谷怪談」の実兄に恋しつつ男漁りで寂しさを埋める美少年役しか観たことなかったので(…なんていうか、見事にそっち系の役ばかりですね;;;)、こんなにメインで出ずっぱりの舞台は、私も初!でした。

…で…その結果。りょんさんて…贔屓目もあるかもしれないけど、こんなに実力のある魅力的な俳優さんなのか…と、改めて…;;;;;; …えーと、以前。「アンクは別格で、俳優やってるりょんさんよりもアーティスト活動してるりょんさんのほうが好きかも〜」とか、書いたことがありました。

…それはその当時の正直な気持ちでしたが、撤回します。

今回の舞台で、もとむの魂が憑依してるのか、というところまで追い込んで突き詰めて、身体と精神の境界を越えた先で、高い純度で役に溶け合っているかのような「もとむ」を生で観て、「俳優:三浦涼介」って…スゴクいいな!!って、沁みるように思いました。

…今さらかよ!!と全方位からツッコまれそうな気もしますが、本当にそう思い直したので…どうかお許しを…;;;;
いやー、だってさぁ…、りょんさん演じるもとむくんが、なんかもうね、本当に切なくて哀しくて愛おしくてね…。私の心に刺さりまくりでした。
観た後に「あー面白かった…けど、重い話だった…でも丁寧で繊細でいい舞台だったわ」で終わらず、帰り道ではひたすら「それにしても、あーーーせつない。何故、どうして、こーなるの!? なんでなのーー;;;」と色々なことを考え、もとむの人生ってなんだったの?もとむくんは…ちゃんと幸せだったの?あのときもとむは何を感じて、何を考え、どう思っていたの?? …と、もっともっと、もとむのことを知りたくなった。

あの子のことを、ずっと考えていたかった。
舞台で観れたことはもちろん、舞台では省かれてしまったもとむの心の話を、私なりに受け取って感じて、想像したくなった。頭の上に降ってくるイメージや言葉を、ノートに書き留めておこうと思った。

以前に観た二つの舞台では「りょんさん良かった、面白かった!」で完結して「できれば感想書こうかな…うーん…まぁ、サラっと書けたら」みたいな感じでした。
でも結局書きそびれてまぁいっか、で終わっちゃったんですけど(四谷のほうは少し書きかけていたけど、とある大大大ショックな発表がその直後にあって、感想書くどころじゃなかったというのもありますが;;;)、ただ、今回は何故か、心の奥の淵から湧き出る何かに突き動かされるように、もとむがいた世界のことを、ちゃんと考えたくなったんです。

それはやっぱり、りょんさんが演じる「もとむ」が、とてつもなく私の心にメガヒットして熱く響いたからなんだろうな…と、自己分析。ということはやっぱり、そういうことをしようと思える原動力は、もとむ役の三浦さんという俳優の力も大きかったと思うわけで…。
もちろん、もとむ役が相当ハマリ役だったという証左でもある、という気もします。

蜷川さんが「もとむは三浦涼介にぴったり」と太鼓判を押してたそうですが、うん、めっちゃ納得。
14歳から29歳までの年月の、各年代でそれぞれに心の在り方が大きく変化して、かなり印象の違う「もとむ」を、あんなに違和感なく鮮やかに「もとむ」として整合性を保って演じられる…、のは、りょんさんならでは…!だったような気がします〜。
あと、リアルな人間関係にクローンというSF要素を盛り込んだ非現実の世界を体現する人物として、高踏的なりょんさんの雰囲気が、舞台そのもののアイコン的で…包括してるなーと思いました。

クラスで浮きまくる14歳の不安定なフワフワ少年時代、実年齢27歳とは思えないほどの少年そのものの体型、他の子が視ているものとなにか違うものが視えているかに思える、大きくて澄んだガラス玉みたいな黒いお目目、幼げな声色や目線、話し方や表情で、ホントにピュアすぎる14歳に見えたし…。
うん、手足の細長いスラーーっとしたスレンダーなあの奇跡のスタイルと童顔、14歳の芝居で見事に生かせてましたね〜。腰回りの華奢さはアラサー男性と思えないよ(笑)。

初登場シーン、ステージ奥からクラスの男子達と歩いてスローモーションで前方に出てきて、リーダー格男子の「サッカーのチーム分けするぞー!」みたいな盛り上がりにもとむも一応参加しているんだけど、誰からも視線を合わせてもらえてない感じ…そこに居ないかのような扱いをされてる、少年もとむ。
一人だけ明るい髪色だったというのもあるかもですが、雰囲気&姿カタチからもう、他のクラスメイトの男子達とあまりにもこう…「違う」感じ。中性的で綺麗な外見がさらに妖精の取り換え子的で…「美しく異色で歪なモノ」みたいな…。
もちろん、舞台上ではもとむくんの容姿に関しては話の構成上、特に言及されていません;;; 何も触れなくても、蜷川さんの「この集団の中にいるもとむの外見と立ち位置を見れば、わかるだろ色々?」という演出で、すべてが進行していきます(笑)。
この演出との相乗効果で、さすが、超俗感MAX満載のりょんさん!!!(←褒め言葉です)
1幕のあの見事な浮き世っぷり感のためには、りょんさんの持つ個性が必要だったのかなーと、しみじみ感じました〜。そのための三浦さん配役だったんじゃないか、とすら思えました。

でも、段々と自分の心をコントロールできるようになってキラキラと成長したもとむくんも、りょんさんが元々持つ華やかな雰囲気を生かしてるなぁ〜と。そして農園時代の大人びた青年もとむも、回復センター時代の諦観の微笑みがいっそ幼くさえ見えるもとむも…、全部、りょんさんの中に存在する心の襞の引き出しから、然るべき適切なものを繊細に緻密に選び取って、各時代の「もとむ」を表現して、もとむの14歳からの15年間を生き抜いたことを渾身の力で見せて、そして魅せてくれた…ような気がします…。

いやー、なんかねっごちゃごちゃ書きましたけど、つまりヒトコトで言うと、「役者:三浦涼介さん…スゴクいいよね!」とゆーことです(キリッ

ほんとにねー、もとむくんがとてつもなく愛おしかったわ大好きだったわー…。そして無理だと判ってても涙目で幸せを願ってしまったわ…。もとむは、レモラ史上の「心に刺さったキャラクターたち」の一人に入ったし、たぶん殿堂入りになりました♪ 儚くてエフェメラルな、でも可愛くて素敵なもとむくんをありがとう、三浦さん。

今回の舞台、観れて本当に良かったなぁ…と改めて思います。
多部さん木村さん三浦さんの3人の雰囲気やバランスが鮮やかで絶妙だったし、さいたまネクストシアターの若手の皆さんも生徒役や超スムーズな舞台転換に大活躍で、熱くそして控えめに影で支えてくださってる感じがすごく爽やかでしたし、床嶋さんらのベテラン女優勢の貫禄で要所を締めてくださいましたし、役者陣はもう、どの人にも大満足以上!ありがとうございました!…という気持ちでいっぱいです。

蜷川さんの静謐な選出も、倉持さんの鬼畜な(笑)脚本も、さすが…さすがです…という言葉しかないです;;;


★折りたたんで続きます。

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雨ニモ負ケズ 湿気ニモ負ケズ

昨日、優一くんがまたブログ更新してくれましたっ♪
更新ありがとう♪♪ 待ってましたぁ〜。今回は梅雨とゴルフの話題。そしてペンギンな画像(笑)。この脈絡のなさ、まさしく優一くんワールド。

ちなみに、梅雨が好きな人はなかなか稀だと思うけど、優一くんと同く、私も梅雨は嫌いです…。
なにしろ洗濯物が乾かないし!布団干せないし!!靴が濡れるし!!!傘持つのが面倒だし!!!!
ドンヨリした空を見ると、太陽さんが恋しくなりますよね。紫外線は怖いけど…。

でも、今年は風に強い傘とレインブーツを新調したので、一応備えは万全です。
新しいレインコートも欲しい…が、とりあえず今あるもので我慢〜〜。実はもう10年以上着てるんだけど結構な良質のものなので、まだまだ痛んでないのですね。ボロくなったら替えようと思いつつ、もうだいぶ長いこと着ております。

そうそう、湿った靴対策として、海苔とか買うと封入されてる乾燥剤を取っておいて、それを靴の中に入れておくと、そのまま放置するよりも渇きが早いです。同居人の革靴にも夜の間に突っ込んでおいてるのですが、心なしか匂いも取れるような…? 

あと、部屋干し洗濯物には扇風機の風をあてて、とにかく早く乾かすようにしています。
湿ってる時間が長いと、匂いがつくし雑菌も増えますからね。あー…乾燥機付の洗濯機が欲しいなー。
でも、ハウスダスト感知機能付のサイクロン掃除機(…結構高かった…)を消費税増税前に買ってしまったので、今は我慢我慢〜〜。

そうそう、湿気+気温高めだとダニなんかも心配になる時期ですから、新調した掃除機の布団掃除ヘッドでマメに布団も綺麗にしてます。「ハウスダスト発見!!!」の赤いランプが消えないと、いつまでもいつまでもいつまでも掃除タイムが終わらないので、めっちゃ疲れますけど…(笑)。マジで腕が筋肉痛になる;;;;


それにしても…優一くん、まさかのゴルフ!!!
誰かの影響なのかわからないけど、また面白いトコに行きましたね;;;
でも、あわあわしながら下手な感じが想像できる…可愛いなー(笑)

…あれ? そういやマラソンは?;;; でも、梅雨の時期に走るのは大変だし、屋根の下で練習できるゴルフはいいかもしれない。個人プレーだから、一人でやりたいときに自由にできるしね。

優一くんがゴルフ上達するように祈ってま〜〜すっ。まずは前に飛ばすことから!!
…でもそれ…どんだけダメな感じなんだろうと…(笑) …もう可愛すぎるでしょ…!

あ〜、「ZARDのアルバム聴きながら」かぁ〜。でも懐かしい記憶がドラゴンボール絡み…;;;; 優一くんらしくていいわ〜。
私も湿度に負けず、食中毒とかにも気をつけて、優一くんと一緒に(…気持ちだけそのつもりで;;)、梅雨を乗り切りたいと思います。

LIVE DVD「RYOSUKE MIURA SUMMER LIVE」発売決定…(゚ロ゚*)!!

一日遅れで今さら感満載ですが;;;
え〜〜〜〜〜〜〜っっマジっすか!! …現実? いや夢か!これは夢ですか!? いやいや現実かっっっ
いやーーーーーーーもうねーーー待ってましたよ!!ソニックグルーヴさんアザーーーーッス!!!!!
2年前の夏ライブの…ということは、あの妖艶な『紅の元帥様』が再び観れる!!わーーー、うれしーなーーーー!!

発売日は8月6日(水)ね!! 了解いたしました。
消費税増税対策として、今年は趣味娯楽費をガッツリ削る方向で考えてたけど、これは買わねば……。で、…えーと……よく見ると、DVD2枚組とDVD+CD版の2種類あるわけですが。

@Dics-1 DVD
「三浦涼介 SUMMER LIVE 2012」  全公演で歌唱された全16曲を収録予定
「夏だよHONEY!!」「君へのX'mas Song」「escape」のシングル曲MV集

ADisc-2 DVD
他会場でのライブやオフショット等を収録予定(収録時間未定)

BDics-2 CD
未パッケージ化音源7曲+インスト他 全14曲収録予定


…ってことで、DVD2枚組には@+A DVD+CD版には@+B ですね。了解了解。

なんかこう…未音源曲が一気にCDに…っていうのはアルバムの代りに…ってことなんでしょうかね〜。それはそれで嬉しいけど、アルバムはフルアルバムとして一枚出してほしかったなーとも思ってみたり。

でも、ミニアルバムにライブDVDの特典が付く的な感じで捉えればいいのかな♪ 
LIVE DVD同内容2枚も「視聴用」「保存版」を一気に揃えられる と考えれば♪

それにしても…2年前のかぁ…、「まだ2年前」な気もするし、「もう2年前」な感じもありますね。
メジャーデビュー後のファーストライブ、衣装とか構成とかすごく良かったところは一杯あるけど、今のりょんさんのLIVEの様子を知っていると、「今だと息切れ無しで歌えてるなー、もっと声量鍛えられてるなー」とか「ここの歌声は今はもっと伸びがあって艶やかだなー」とか、「今の振付はだいぶ進化してるなー」とか、いろいろと感慨深く観賞することになるんだろうな、今からと思います。

ところで、床から5ミリ浮いて目が泳いでたように見えた、フワッフワ不思議仕切りのりょんさんのデンジャーなMCはどのくらい収録されるんだろう(笑)。まぁ前半の秀くん絡みMCは全カットだとして、後半の…ダンサー+りょんさんとの、山形でやらかしたヒドすぎるお酒の失敗談とか、なっちゃんとの親子漫才(?)トークとか…観たいなー。
あと、りょんさんのオヤジ巻きタオル姿ね!!!! あれ面白かったなぁ…もう一度観たい(笑)!

…あー、そうだ…舞台の感想のようなものの続き…役者さん編をまだ書けてない…今日明日あたり頑張ろうかな…

舞台「わたしを離さないで」関連リンク保存

※全公演終了したので、フリーページから移動、保管エントリとして置いておきます。
※日数経過後のリンク期限切れ等、ご容赦ください。

★折りたたみます。続きは追記からどうぞ。

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舞台「わたしを離さないで」感想のようなものG【主に3幕のこと-2】

※※盛大にネタバレしてますので要注意※※

※※ネタバレOKな方のみ、自己責任で続きをどうぞ※※

※※いつものことですが、無駄に長いです※※




3幕、後半。あの浜辺の再会から、たぶん1年半後…くらいでしょうか。マダムの屋敷にて。
洋館的な広い家の客間の真ん中にテーブル、それを3方に囲む高価そうなソファ。その一つに、大きなカバンを大事そうに抱えつつ、緊張した面持で落ち着かない様子のもとむと、彼の手をギュっと握ってあげている八尋が座っています。3年の執行猶予を申請するために、マダムを待っている様子。
あとで二人がマダムに説明しますが、八尋は一年前からもとむの介護人をしており、もとむはもうすでに3回目の提供を終えているということでした。

客間の後ろには2階に続く階段があり、壁一面には大きな絵が飾ってある感じ。階段の下の壁にも、小さな絵があり、まるでヘールシャムの建物のようだと、二人が気付く。でも少し違わないか?などと会話をしているときに、「それはイギリスのヘールシャムです」と説明しながらマダム登場。

……というか。えっっここから!? 
もとむと八尋がやっとカップルになれた時期の、和やかな場面は見せてくれないのかーーい!!八尋がその気になる前後とかもーーー!!…脚本の倉持さん、端折り過ぎだよーーー!!と思いつつ。…上演時間の問題的に入れられなかったんだろうな〜…わかったわーこっちで想像補完するわよーー!という心境に。

うーん…。
「なにもかも遅すぎる」と貝のごとく頑なだった八尋がその気になったのはやっぱり、鈴から最期に「次はもとむの介護人になって、傍にいてあげて。お願い八尋」とか言われて…。猶予申請のことはともかくとして、鈴の遺言を受ける形で当時のもとむの介護人と交渉して引き継いで…。
やがて介護人と提供者という間柄を越えて再び、お互いの心を通わせて想いを重ねたものの、間もなく3回目の提供通知が来てそれどころじゃなくなって、提供→回復を経て、もとむから切り出したんじゃないかなぁ、と想像しています。
だって、おそらく次の4回目の提供が最大限度だから。チャンスはもう、回復していくらか動ける今しかない、ということになったと思うので…。

うーん…。どんな感じで、もとむは切り出したのかな。…例えば。
「ねぇ八尋、あのカセットテープ、まだ持ってる? 久しぶりにまた聴きたくなったから、今度来るときに持ってきて」とかなんとか言って。もとむの個室で、それを二人で聴きながら。
八尋が、このプレゼントのお礼に…って私も、もとむの宝物になるようなモノを探してプレゼントしようと思っていたのよ、でも叶わずに9年も経ってしまったわ…なんて昔話をしたりして。もとむが、何年経とうがまだ有効さ!八尋からのプレゼント、ぜひ欲しいな♪…なんて言って茶化して。それから八尋が、何か欲しいものがあるの?って聞くの。そしたらもとむが、こう答える。
「欲しいモノはないけど、欲しい時間ならある。八尋と一緒に過ごす3年間が欲しいんだ」
そして、八尋の手のひらにあの小さな紙片を乗せて、「これ、使おうよ」って、もとむが優しい笑顔で言うの。鈴から俺達へのプレゼント、使わせてもらおうよ、って…。

…どーかな〜。これなら八尋ちゃん、その気になってくれるかな。…あ〜、こういう場面、舞台で観たかったわーー。でもそれは叶わないので、私の脳内で多部八尋と三浦もとむキャストで勝手に脳内舞台で上演しておきます(笑)。蜷川さん、倉持さん、脳内とはいえ勝手にすいません;;;


そして…いよいよ、申請本番。
若干しどろもどろながらも前のめり気味に、今日の二人での訪問理由をマダムに伝え、おずおずとスケッチブックをマダムに手渡し、作品は作った人の内面を映すモノだから審査に使うはず…とマダムに絵を見せる意味を説明し、「大人になってからの絵ではダメかもしれないけど、どうかこれで審査お願いします!!!」と必死に訴えて土下座するもとむくん…。「私達が愛し合っていることは、今まで来たカップルの誰にも負けないつもりです!」とかキッパリ断言して彼を力強くアシストする八尋ちゃん…。

観ているこちら側としては、申請結果がわかっているので…もうね…その光景が見ていて哀しくて苦しくて…。マダムがパラパラと開いたスケッチブックに描かれた絵がチラリと見えたのですが、一生懸命描いたにしては、だいぶフワっとした不思議なタッチの絵でね…、それがまた…決して上手い芸術作品とは思えないけれど、もとむらしい味があって可愛くて…そして一層せつなかった…。

(っていうかあの絵、三浦さん本人作…だと…!?もとむ憑依状態で描いたりょんさんの絵か…。なんかものすごい納得…!※6/3と6/4の三浦涼介ブログ参照)

でも、マダムのほうがもっと辛かったようで…猶予の件を説明する役目として、この屋敷で同居しているらしい冬子先生を呼びました。
執事のような男性に車椅子を押され、冬子先生登場。上質のキャビネットを業者が引き取りに来るまでの間だけ…という条件で、八尋達と話を始めます。

まず、執行猶予の噂は事実無根であり、噂にすぎないということ。
それから、臓器提供システムに纏わる、いろいろなこと(※【感想のようなもの@】後半参照)。生徒たちに作らせた作品は、クローンにも心があるという冬子陣営側の主張を、世間に広く証明するために使ったということ。そして今現在、その主張は人間社会の世論的には完全に逆風で下火であること…。

八尋ともとむは、猶予の希望が断たれたことと、自分達の与り知らないところで繰り広げられていた、人間達の勝手な強欲さや利権やイデオロギーが渦巻く、独善的な倫理的政治的世界の話に、呆然と…愕然としていました。
特にもとむは、今聞かされた話の膨大な情報量に頭の理解がいまいち追いつかないようで、置物みたいに固まっていました。

でも、その顔だけは…、ここ10年くらい、どんな顔をしていいかわからないときはとりあえず薄い笑みでも浮かべておけ、というのが習性にでもなっていたのか、2幕前半のときのもとむのように、薄い膜を隔てたみたいなうっすらとした笑みを貼りつけたまま、「猶予なんて、ないんだ…」とか、ポツリとした声で呟いたりして…、……(´;ω;`)ブワッ

冬子先生が客間から去ったあと、八尋は気丈にも、普段の上品な理知的な態度でマダムにお礼の挨拶をしていました。内心、彼女だってショックで傷ついて動揺しているだろうに…これが優秀な介護人と評判になる所以だよな…と思いました。というか、もとむくんは相変わらず置物状態だったから、八尋がそれをするしかないんだけど…、ああ、本当に…この人はとっても頼りになる聡明な女性です…!

ちなみにマダムは、八尋のことをよく覚えていました。女子寮で、八尋が「Never let me go」を聴きながら、赤ちゃんに見立てた枕を抱きしめて踊っているところに、マダムが出くわした時のことを。もちろん八尋も、それを覚えていました。そして少しだけ、その曲の歌詞をアカペラで歌ってみせ、その歌詞の意味の八尋なりの解釈を語ってみせた。

そのときもとむくんは、さっきとは違う感じの、ふわっとした微笑みをそっと浮かべていました。
その想い出話や懐かしい歌が耳に入り、過去の記憶が揺さぶられて蘇り、あっという間に心がヘールシャム時代に跳び、今聞いた難しい話を深く考えることを止めて、いろんな意味で本当に「特別」だった在りし日々に、もとむが還っていっているような感じがしました。


★折りたたんで続きます

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