今日は主人の実家で迎え盆だった。
飾りの置き方も地方によるみたいで、並べ方がわからないから、ネットなんかを参考にしたけど、後で見たら、手直しされていた。
お迎えの時は、周りのお墓を見てはいけないとか、お迎えの行きと帰りは違う道で、とか、本家生まれの家で育ってない私にとっては、昨年初めて経験した迎え盆で面食らうばかりだったけど、とりあえず今年はやれるだけやって、後は義理のお姉さんの子供と遊んで過ごした。
稽留流産だろうと言われる2日前から、確かにあれほど酷かったつわりは弱化した。
それでも、頭痛と吐き気は残っているから、それはまだ「いる」証なんだとは思ってる。
でも、気持ちの上でもう私は、ゆめの魂が母体にはないと考えてるから、前ほど自分の体に気を遣わなくなった。
ネットで取り寄せた葉酸サプリも飲まなくなった。
あれから散々泣いて。
その後。
ゆめがいい方向に行けるようにと。
お世話になってる神社に、私は主人と行くことにした。
11日。
ひさびさに行った神社。
手水を終えて。
拝殿に向かう門をくぐった瞬間。
不意に、「 死んでますよ」と娘娘に言われた。
え、と面食らって言いかけて、すぐ私は口をつぐんだ。
「神さまが言ってました。ゆめちゃんのことだと思います」
「…そっか。そうだよね」
「神さまが言ってました。「分かってます」って。もう全部わかってるそうです」と続けられ、私は何も言えなくなった。
そうだ。
神さまはいつもお見通しだから。
「神さまにお願いしてくる。ゆめのこと」
静かに呟いて、私は、拝殿に向かった。
かつて、拝殿に向かうあの門をくぐる度、理由もなく急に涙が出たり、娘娘に神さまが何か言ってる、と色々聞かされたりしたけど。
これほど心臓に重く乗った言葉は、あまりなかったと今思い返す。
主人の後に二礼二拍手をしてから、手を合わせた時。
私は、参拝ができなかった謝罪、妊娠報告と、ゆめの紹介。
そして、生死に関わらず、ゆめをいい方向にお導きをとのお願いをしてきた。
かつて、憑かれたとき。
上総さんに神社で神さまにお願いする方法を教えてもらった。
神さまに初めて、正式な参拝をして、憑いていた女性を神さまにお願いして以来。
何かあるたび。
ここでは お世話になってる。
体の異常が消えたとき。
私は多分初めて神さまの存在を強く感じた気がする。
その神社で。
あのストレートな娘娘のセリフを聞いたら。
ああ、と納得もする。
娘娘いわく、神様がわかってる、とおっしゃるその心は、報告してるうちに、私が泣き出すだろうと配慮しての神様の配慮だったようだが。
わかってても、お願いするのが、たぶん私の役目だと。
私は神様にお願いをした。
目頭は熱くなったけど。
無事。お話はできた。
その神社での一件を経てのお盆。
神社でゆめのことをお願いしてから、娘娘は、ゆめちゃんが少し遠いところにいるから、わからなくなったと言い出した。
要は、今近くにいないのだ。
でも、まだ、私の体には肉体はいるわけで。
だから、一応魔除けの鏡を腹には据えた。
あくまでも念のため。
昨年、墓まいりに行った後、「連れて」来てしまったから、余計だった。
神社でお祈りをしてから、不思議と感情の重たさと辛さ、涙は、落ち着いてきたけど、やっぱり、ご先祖にゆめの報告をする時は泣きそうになった。
妊娠しているが、無事に生まれるかわからないこと。
もしそちらに行くことがあれば、よろしくお願いしますと。
そう伝えた。
義理の姉は、妊娠8ヶ月。
義理の姉同士が、生まれてくる子のための準備をたのしそうにしているのを見るのが、少し辛いのは、きっと仕方ないこと。
ただ。
妬みではあってほしくない。
一瞬でも暗い気持ちで義理の姉の腹部を見てしまった自分が、怖くなった。
このタイミングで。
義理の姉と対面するのは。
少し、複雑だった。
それだけだ。
だから。
ずっとご実家にかけられているご先祖様の肖像画が、報告が終わったとき、そして帰る挨拶をしたとき。
その表情が、悲しそうに歪んで見えたのは、気のせいだ。
いつもは、怒ってるように見えたから。
少し、驚いた。
でも、思う。
報告した子供は。
この本家の唯一の直系。長男の子供だから。
私は、ご実家に帰っていらしたご先祖様に、辛い報告をしてしまったのだ。
でも。
今生きてる人たちに、この報告はできないから。
申し訳ありません。