五島軒は明治の創業当時のレシピで作ったソーフケーキを復活させました
昨年春の北海道新幹線の開業で注目が集まった函館
観光客をひき付けようと、函館市と沿線の地元の菓子職人らが腕を振るいます
レシピを忠実に再現して明治時代のケーキを復活させたり、地元食材を使ったアイデアスイーツを販売したりしています
いま函館はご当地スイーツが花盛り!
函館を代表的する老舗レストラン、五島軒でじわり人気が出ているスイーツがあります
1879年(明治12年)の創業当時から作られてきた「ソーフケーキ」です
カレーで有名な五島軒のスイーツは水準が高く、以前から知る人ぞ知る名品と呼ばれていました
そこで同社は人気スイーツ9品目を選んで「ブーケ」シリーズとして2016年11月に販売を始めました
初代料理長の五島英吉氏が故郷の長崎のカステラを基に作り上げたといい、外見が似ています
函館は国際港だったため外国航路の船内で販売されていました
外国人の間でも人気があったといいます
いつしか一般向けには販売されなくなりましたが、残っているレシピを忠実にたどって再発売!
五島軒の歴史と文化の詰まった逸品ですね
では試食…
濃厚なバターの風味としっかりした甘みが印象的です
軽くさっぱり感が前面に出る最近のスイーツとは一線を画します
再発売するとそのおいしさが口コミで広まりました
新幹線で訪れるお客には、お土産とする人もいます
「今ではブーケシリーズのトップ」(原田健吾取締役)といいます
函館は昆布の名産地です
昆布を使ったスイーツも今年2月に登場しました
内外の航空機が発着する函館空港にあるレストラン、ポルックスが提供する「海藻ゼリー」です
食物繊維を多く含む、がごめ昆布が原料で、がごめ昆布のエキスを固めました
ハーブシロップをたっぷりかけてからレモンを絞ると、ゼリーがピンク色に染まります
お口に入れると、くどくない甘みとさわやかな酸味、そしてハーブの香りが広がります
プルンとしたゼリーの喉越しは快感!
堀川雄司料理長は「気温が上がる夏場に注文が増えるのでは」と期待します
函館からローカル線で西へ1時間
道内最南端の北海道新幹線の駅、木古内駅がある木古内町でも新たなスイーツが生まれました
同町のゆるキャラ「キーコ」をイメージした焼き菓子「Ya!キーチョコ」で、老舗和菓子店の末廣庵(同町)が商品化しました
キーコは同町で肥育するあか毛和牛がモチーフで、体の色が赤い
「Ya!キーチョコ」も最中の生地を赤くするため、地元産の黒米の粉末を練り込みました
中身の焼きチョコの茶色は焼き肉をイメージしてあります
販売店は木古内町の道の駅など一部に限定しました
「どこにでもあるお土産品ではなく、木古内に来てもらって買うお土産品にしたい」と竹田光伸社長は話されました
最中のパリパリとした歯応えの後に、チョコの苦さと甘さが広がる…
和菓子と洋菓子を合わせた意外な味わいに、竹田社長の菓子職人としての鋭いセンスを感じます
北前船の寄港地で、北海道唯一の城下町、松前町のお菓子も函館で花開きました
老舗菓子店の北洋堂は4月、函館市中心部にオープンした複合施設「シエスタ ハコダテ」に進出
これまでは松前町でしか買えなかった同店の商品が函館で楽しめます
北洋堂は創業が1937年の老舗で、現在は3代目の木田一店主が切り盛りします
木田店主は「函館進出は先代店主の悲願で、実現できて感無量だ
函館で松前スイーツをアピールして商圏を広げたい」と意気込みます
人気商品の一つが「純生桜ロール」です
桜葉の入ったブリュレと生クリームを、桃色のスポンジでくるんだケーキ
松前町にある松前城は、1万本の桜の木に囲まれた桜の名所
その桜を前面に押し出して6年前から販売している隠れた名産品です
スポンジはふわふわと柔らかく口のなかで溶けるような感じ
桜の葉の風味がアクセントになっていますね
函館山からの夜の眺めは世界三大夜景に数えられます
世界的な観光地である函館には、老若男女の心をひき付けるスイーツもあります
函館では官民が協力して函館スイーツをアピールしています
函館市や函館商工会議所、菓子の業界団体からなる函館スイーツ推進協議会は4月に道南のお菓子を紹介する冊子「KA・NO・KA」を発行しました
今後も年1回発行します
函館スイーツのロゴマークも今夏に刷新、存在感を高めますよ
新幹線開業を追い風に、2016年度の同市の観光客数は過去最高の560万人に上りました
「道南には和菓子と洋菓子を楽しむ文化が根付いている
優れたスイーツを多くの観光客に知ってもらいたい」と願っています